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1学期の振り返り ~ 対面とオンラインの併用は理想的か

中3公民の1学期の授業が昨日で終わりました。備忘録も兼ねて、この1学期の間に取り組んだことや考えたことなどをまとめようと思います。

◎授業方法
6月中旬から分散登校(35分の短縮授業)が始まりましたが、最終的にオンデマンド授業を13回分作りました。オンライン授業を行うためのLMSの使い勝手の悪さにイラつくこともありましたが、何だかんだ環境には恵まれていたと思います。「Zoomを使って対面とオンラインを同時にやってもいい」と言われましたが、さすがに回せる自信がなかったので、オンラインの回はオンデマンド、対面の回は映画視聴や質問へのフィードバック、という形で分けることにしました。反転授業と言えば聞こえは良いですが、割と苦肉の策だった感はあります。
学習科学も若干かじったので、授業の冒頭に「前回の復習」を入れたり、最後に「以下の問いについて、自分なりの言葉でまとめてみてください」というリフレクションを入れたりしてみました。「今までそんなこともやっていなかったのか」と怒られそうですが、授業内容だけでなく組み立ても意識しないとなぁと改めて思った次第です。

◎授業内容
国際関係史を中心に扱う構成で、三十年戦争から第二次世界大戦の勃発まで進めました。今までも現代社会の授業でウェストファリア体制やウィーン体制・ヴェルサイユ体制を扱ったことはありますが、戦間期の動向をきちんと解説するのは今回が初めてでした。1920~30年代はやはり難易度が高いですね…
2学期は戦後史に入る予定ですが、生徒から「戦争裁判については扱うのでしょうか」と聞かれました。戦争裁判を真正面から取り上げた授業実践ってあるのでしょうか。夏休み期間に勉強したいと思います。

◎生徒とのやり取り
Web上で簡単なアンケートを週に一回提出させて、質問や感想を書いてもらいました。ちょっとした感想から生徒の状況や理解度を把握できたのは良かったのですが、質問へのフィードバックを作成するのが正直一番大変でした。授業内容に関する質問を毎回挙げてもらう中で、質問の練度も上がってきたので、自分の説明不足や勉強不足を痛感することも多々ありました。
また、「これまでの授業内容に関連する問いを2題作成し、それぞれ300字程度で解答しなさい」という中間レポートを出しました。問いを作る系のレポートということで、面白いものも結構ありましたが、中3だと「問いの大きさ」をあまり意識できていないなという印象でした。また、完全にアウトな剽窃レポートが一件出てしまったので、引用についても2学期以降きちんと扱わないとなぁと思っています。

◎特別授業
1学期中に、任意参加の特別授業(Zoom)を2回実施しました。内容はそれぞれ建築(設計競技と市民社会)と20世紀ドイツ史(ファシズムの史学史)でしたが、いずれもゲストの方にご参加いただいて、ゲストの方からのお話とディスカッションで構成しました。Zoomのチャット機能を使って生徒からの意見を拾っていくやり方は、議論に広がりが出て楽しいですね。こうしたオンラインの強みを活かした授業も積極的に仕掛けていきたいところです。

◎感想
久しぶりに歴史系の内容を扱いましたが、昨年度までの授業を使い回せる部分がほとんどなかったので、授業作成・オンデマンド授業の撮影・質問への回答・レポートの採点を回すのでギリギリでした。質問へのフィードバックなどはもう少し楽できたかもしれませんが…
対面とオンラインのハイブリッドは、上手く組み合わせればかなりの学習効果を発揮しそうですが、教員側の準備の負担が相当増えることは覚悟しなければならないなと思いました。知り合いの公民科教員も、「定期テストができない想定で小レポートをたくさん出してしまったので、採点が追いついていない」と言っていました。
また、生徒の側からも「動画は面白かったが、正直大変だったので2学期からはフルの対面に戻ってほしい」という感想が割と多くありました。オンライン授業で課題が鬼のように出るのはどこも同じなのかもしれませんが、やはり対面の方が気が楽というのはあるようです。
一方で、「何のために授業をするのか」「何のために課題を出すのか」という根本の部分をきちんと考え直すきっかけになったのは良かったと思います。いたずらに生徒の負担を増やさないようにするためには、そもそもの問いにきちんと向き合うことが大事なのだなと改めて感じました。

◎授業作りの参考図書(メインで参考にしたもの)

◎授業作りの参考図書(部分的に参考にしたもの)



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