見出し画像

道徳の所見をChatGPTに書いてもらう夢;A dream about having an ChatGPT write a moral evaluation.

 この記事では、AIに道徳の所見をサポートしてもらうツールを提供しています。ツール自体は個人的に自由にお使いいただいて構いませんが、第三者への直接配布は避け、代わりにこの記事のURLを共有してください。バグが見つかった場合は、随時修正し、このページに掲載したいと思います。また、ファイルそのものを無断で他サイトに転載することはご遠慮いただきたいと思います。

AIによる所見作成補助ツール「道徳ショケンの骨格」
下のリンクからコピーしてお使いください。


1.はじめに

まずはこちらの動画をご覧ください。

ChatGPTのAPIを使って、子供が書いたふり返りの記述から、道徳の大くくりの評価の下書きを生成するスプレッドシートを作成しました。
はじめに確認しておきますが、僕は、所見は愛を込めて丁寧に書くことが一番の理想だと考えています。(本当です。)そのための下書きをChatGPTに書いてもらうツールです。

以下が、AIの評価をもとに作成した道徳所見の骨格、つまり下書きです。下書きは、文を入れ替えたり、児童のふり返りの必要ない部分を削除したりはしましたが、ふり返り自体も児童が送信したものを関数で読み込んでいるため、基本的には一文字もキーボードを打たずにツールだけを使って作成することができます。あとは、この下書きをもとに先生がきちんと所見を書いて終了です。

道徳の授業を通して、平和を実現するためには願うだけではなく、積極的に行動することが大切であるということを理解し、平和な社会の実現に向けて行動しようとする意識を持っていました。特に、「折り鶴にこめられた願い」の学習では、「平和になるためには、願うだけでは、なくちゃんと行動に移すことが大切だということがわかりました。どうして人間は暴力を振ったりたまに欲が出てしまうのかということに疑問を持ちました。」など、暴力の要因や欲が人間に影響を及ぼしていることに疑問を持ち、よりよい生き方について考えていました。

「ショケンの骨格」で作った所見の下書き

もちろん、評価はGPT-3.5-TurboのAPIを使って、児童が書いたふり返りの記述から、以下の内容で、大くくりな評価を行うようにスクリプトの中で事前に指示しています。

  • 道徳的諸価値についての理解(~に気づいた。~がわかった)

  • 自己を見つめる(自分はどうだったか)

  • 物事を多面的、多角的に考える(他の意見 他の視点)

  • 自己の生き方について考えを深める(これから~したい)

2.APIの利用料金(無料期間あり)

AIが所見を書いてくれる夢の話なのにお金がかかります。ただし、2023年3月時点は、3ヶ月の無料期間が設けられているようです。

以下はサイトからの引用です。

ChatGPT APIでは、OpenAIが現在ChatGPT製品で用いているモデルと同じ「gpt-3.5-turbo」を利用できる。料金は1000トークンあたり0.002ドル。システム全般にわたる一連の最適化によって、2022年12月からChatGPTの計算コストを約90%削減しており、GPT-3.5モデル(Davinci:1000トークンあたり0.02ドル)の10分の1の料金に抑えた。

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230302-2605267/

3.アカウント作成・APIキーの取得

ここでは、OpenAI APIを取得するまでを解説します。APIとは、アプリケーションプログラミングインターフェース(Application Programming Interface)の略で、ソフトウェア同士が互いに連携・通信するための規約や手続きのセットです。APIを使用することで、あるアプリケーションが他のアプリケーションの機能やデータを簡単に利用できるようになります。例えば、OpenAI APIを利用することで、OpenAIが開発したAI技術を自分のアプリケーションやウェブサービスに組み込むことができます。OpenAIは、AI技術を研究・開発する企業であり、そのAPIを活用することで、様々なAIアプリケーションを手軽に構築できます。

手順1: OpenAIアカウントの作成

  1. まず、OpenAIの公式ウェブサイト(https://openai.com/product)にアクセスしてください。

  2. 画面中央にある「Get started」ボタンをクリックします。

  3. 「Create your account」の下にある、Google、またはMicrosoftアイコンのいずれかを選択して、既存のアカウントを使って登録するか、メールアドレスとパスワードを入力して新しいアカウントを作成してください。

  4. 必要な情報を入力し、利用規約に同意の上、「Sign up」ボタンをクリックします。

  5. 登録したメールアドレスに送られる確認メールを開き、メール内のリンクをクリックしてアカウントを有効化します。

OpenAIの公式ウェブサイト(https://openai.com/product) 画面中央の「Get started」をクリックしてアカウント作成に進みます。
アカウント作成画面

手順2: APIキーの取得

  1. アカウントが有効化されたら、再度OpenAIの公式ウェブサイト(https://platform.openai.com/signup)

  2. 画面右上のアカウントアイコンをクリックし、ドロップダウンメニューから「View API keys」を選択します。

  3. 「API keys」タブに移動し、「Create API key」ボタンをクリックします。

  4. APIキーが生成されるので、表示されたキーをコピーして安全な場所に保存してください。このAPIキーは、後でAIツールに組み込む際に使用します。また、APIキーは第3者に知られないようにしてください。

画面右上のアカウントアイコンをクリックし、ドロップダウンメニューから「View API keys」を選択
「Create API key」ボタンをクリックしてAPIキーを取得

4.スクリプトの実行を承認

ショケンの骨格のメイン画面、リボンの中にカスタムメニュー「ショケンの骨格」が追加されていることを確認してください。

カスタムメニューをクリックして、「準備1:APIキーの保存」をクリックしてください。

はじめて「ショケンの骨格」のカスタムメニューを使うと、「このドキュメントに許可されたスクリプトを実行するには、あなたの許可が必要です。」と表示されます。「続行」をクリックしてください。

「続行」をクリックすると、「このアプリはGoogleで確認されていません」とポップアップが出ます。左下の「詳細」をクリックしてください。「dotoku(安全ではないページ)に移動をクリックして進んでください。

めちゃ危険そうな画面ですが、左下の「詳細」をクリック
不安になる気持ちはわかります。「dotoku(安全ではないページ)に移動」をクリック

下にスクロールして、「許可」をクリックしてください。

下にスクロールして「許可」をクリック

5.スプレッドシートにAPIキーを保存

カスタムメニューをクリックして、「準備1:APIキーの保存」をクリックしてください。

ヘルプの右にある「ショケンの骨格」メニューをクリックして「準備1:APIキーの保存」をクリック

「APIキー」というポップアップダイアログが出るので、「値」のところに、先ほど取得したAPIキーをペーストして「Save」をクリックしてください。

6.児童の氏名をインポート

次に「ショケンの骨格」メニューから、「準備2:児童の氏名をインポート」をクリックしてください。

アカウントのダミーデータ

他のスプレッドシート、またはエクセルファイルから、児童のクラス、出席番号、氏名、アカウントの情報をコピーしてください。テスト用のダミーデータを載せておきます。(ChatGPTで作った130人分の架空の児童のアカウントリストです。)

児童名簿から、クラス、出席番号、氏名、アカウントをコピーする。
先頭行はコピーせずに、範囲コピーしてください。

「ショケンの骨格」に戻って、真ん中のテキスト入力欄にそのままペーストして児童情報を貼り付けてください。(一番最後の改行は削除してください。)

「〜と一致しません。」が出ても問題はありません。「OK」をクリックしてください。

Googleドライブの「マイドライブ」を確認すると「学習者のアカウント一覧」という名前のスプレッドシートができています。クリックして開いてください。

スプレッドシートを開いたら、URLをコピーしてください。

スプレッドシートのURLをコピー

「ショケンの骨格」に戻り、一番下の入力欄にURLをペーストして貼り付け、「Import」ボタンをクリックしてください。クリックしたら、ポップアップダイアログの右上の「×」をクリックしてダイアログを閉じてください。

アクセス許可が求められるので、「アクセスを許可」をクリックしてください。アカウント一覧に登録された児童の名前が表示されます。

B2セルの「アクセスを許可」をクリック
B1セルの「4組」をクリックするとクラスが選択されます。(5クラス以上の場合は追加してください。)

7.道徳ふり返りフォームの作成

「ショケンの骨格」では、児童にGoogleフォームを使って授業のふり返りを書いてもらうことを想定しています。ここでは、1学期、2学期に予定している教材名を登録し、ふり返りフォームを作成する手順を紹介します。

1学期の教材名を記入(下部のタブで移動)
2学期の教材名を記入(下部のタブで移動)

教材の入力が終わったら、「ショケンの骨格」メニューから、「準備3:道徳ふり返りフォームを作成」をクリックしてください。「Create」ボタンをクリックすると、「フォームがマイドライブに作成されました。」と表示されます。マイドライブを確認してください。

Googleドライブの「マイドライブ」に道徳ふり返りフォームが作成されています。クリックして開いてください。

道徳ふり返りフォームの使用について

道徳ふり返りフォーム、1年間同じフォームを使用します。途中で削除しないように気をつけてください。ちなみに入力するふり返りは最小文字数を100字に指定してあります。いろいろ試したのですが、100字以下だと児童のふり返りのクオリティが下がってしまう印象があります。僕の授業のせいだとは思いますが。
また、ふり返りのフォームは、可能であれば学年全員が使えるようにしておくことをお勧めします。クラス間でのふり返りの共有など、いろいろと活用できると思います。

1年間使うふり返りのフォーム

「回答」タブに移動して「スプレッドシートにリンク」をクリックしてスプレッドシートを作成してください。スプレッドシートが開いたら、URLをコピーしてください。

「回答」→「スプレッドシートにリンク」
「新しいスプレッドシートを作成」にチェックが入っていることを確認して、「作成」をクリック
スプレッドシートのURLをコピー

「ショケンの骨格」に戻って、ダイアログの一番下にURLペーストして貼り付けて、「Import」をクリックしてください。もし、ダイアログが閉じてしまっていたら、もう一度「ショケンの骨格」メニューから「準備3:道徳ふり返りフォームを作成」をクリックしてダイアログを表示させ、作業を再開してください。

「Import」をクリックすると、自動でダイアログが閉じ、「マスター」シートに移動します。A1セルの「アクセスを許可」をクリックしてください。

アクセスを許可をクリック
道徳ふり返りフォームから、データを読み込み、ショケンの骨格で使えるようになります。

ここまでくれば、1学期が始まる前の準備は終了です。毎回の道徳の最後に、端末を使ってふり返りを児童に書いてもらってください。

児童が毎回の道徳の時間でふり返りを書くと、以下のようにマスターにふり返りデータが溜まっていきます。

テスト用ダミーデータ(ふり返り)

テスト用のダミーデータを置いておきます。コピーして使ってください。(4組、2学期の分のふり返り一覧です。ChatGPTで作成しました。)

8.所見に使用するふり返りの選択

「ショケンの骨格」メニューから、「評価1:ふり返りを選択」をクリックしてください.

児童のふり返りを選択するダイアログが出ます。上から、

  • 児童氏名

  • 推奨のふり返り

  • 授業に対するふり返りの一覧

となっています。推奨は、ただ一番文字数が多いものを出してるだけです。選択の参考にしてください。

右下のボタンは左から、

  • Prev→前の児童に戻る。

  • Next→次の児童に戻る。

  • Submit→ふり返りだけを登録して、次の児童に進む。

  • Ganarete→GPT関数を使って、登録されたふり返りから評価文を生成

となっています。おすすめは、一旦ふり返りを全員分選んでから、評価文を生成する方法です。

Ganareteを押しても、上のように「ふり返りが登録されていません」と出たら、右上の「x」を押してもう一度やり直してください。

9.GPTを使用して所見を生成

「ショケンの骨格」メニューから、「GPTを使用して所見を生成」をクリックすると、20秒ほどして、下の画像のような評価文が生成されます。評価の際には、実際の児童の様子から、一番適切だと思われるものを選択してください。以下は、右下に配置されているボタンの説明です。

  • Submit → 選択した評価文をスプレッドシートに貼り付ける。

  • Select Student Comment →ふり返り選択画面に戻る。

4つの評価文を出すので、少し時間がかかります。

10.所見の原案を詳細編集に出力

「ショケンの骨格」メニューの「評価3:所見の原案を詳細編集に出力」をクリックすると、「詳細編集シート」に所見の原案が出力されます。あとは、児童一人一人の顔を思い浮かべながら、最後の仕上げを先生自身の手で行なってください。

詳細編集 シート

11.おわりに

APIの使用とGASへの適用は、下記のサイトを参考にしました。

また、プログラムの作成にあたっては、当然ですがGPT-4を使用しました。僕はプログラミングの知識はほとんどないので。GPT3.5と比較して思うのは、GPT-4は「ゆらぎ」の部分が少なく、毎回同じような返答を返してくれます。その辺が、プログラミングの正確さにつながっているような気がします。

しかし このゆらぎの無さ、AIを授業で使った時に、少し問題があります。その件もお話しできたらと思います。

この記事が参加している募集

AIとやってみた