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シチリアの旅⑤ ~キアラモンテ・グルフィ リストランテ・マヨーレ編~

ヴィットーリアからラグーザに戻り、今度はラグーザの少し北にある街、キアラモンテ・グルフィに向かいます。
その街に「リストランテ・マヨーレ」(Ristorante Majore)があるからです。

このレストランは、あるお知り合いの方に教えていただきました。
というのも、そのお知り合いというのは、今僕が働いているレストランに数週間研修でいらっしゃったのですが、話をしているうちになんと鎌倉に同じ時期に住んでいたことが分かり、しかも通っていた美容室も美容師さんも同じだったという奇跡。ほんとに世界は狭いもんですね。
その方はヨーロッパ滞在が長く、イタリアの美味しいレストランにも精通している方でした。
教えていただいた後に、そのレストランをネットで調べてみると、食通の日本人も数多く通う隠れた名店なのでした。
しかも豚肉料理専門店という珍しいお店です。

ラグーザを出発したバスは、羊や牛が草を食む放牧地帯を抜けると山道に入ります。
しばらく曲がりくねった道路を進んで行くと、山の上に街があります。

キアラモンテ・グルフィ中心街の広場
大聖堂
路地
街の端から見える絶景

リストランテ・マヨーレは街の中心広場から歩いてすぐのところにあります。

入口
テラス席に案内されました。
店内
厨房

まず一品目は生ハムの盛り合わせです。
加工肉は当然美味しいのですが、写真右にあるのは豚肉のゼリー寄せ。
ゼリーは酸が効いており、滑らかな触感で、パサつきがちな冷たい肉も違和感なく食べられます。

Antipasto

二品目はメニューにあったラビオリとリゾットのハーフ・ハーフを頼んだはずなのですが、なんと普通のサイズのラビオリが出てきました!
ホールスタッフが新人だったので、動きを見ていてすごく嫌な予感がしていたのですが的中しました。
すかさず他のベテランスタッフが「リゾットすぐ作るから、ラビオリはサービスだ」と言ってきました。
いや違うんです。たくさん食べれるからラッキーの年代は終わってるんです。それに自分がレストランに行く時って、注文する量に対してかなり気を使ってるんです。
なぜならお腹いっぱいの状態では美味しいものも美味しく感じなくなるから。
でも頑張って食べます。

リゾットをすぐ作ると言われてから、3分後にハーフサイズのリゾットが出てきました。
早っ。
なんだか一気に不信感が募りましたが…料理の味がそれを打ち消してくれました。

豚肉のリゾット
イブレイ地方の郷土料理。豚のスーゴのラビオリ

リゾットも十分美味しくて人気のあるメニューですが、僕はラビオリの方が好きでした。
中のリコッタチーズは水分がけっこう抜けているのですが、これは意図的なもので、豚の滑らかなスーゴに絡めて食べると、ちょうどいいバランスになります。上のデカデカと乗っている角煮も柔らかくて、崩しながら食べると更に舌を楽しませることができます。

そしてなにより、このリゾットとラビオリ、塩味がバッチリなのです。
ワインも進む1%弱の塩分量。僕はこれが好みです。
トラットリアやオステリアの味ってこうやって塩でつくるんだなぁと再確認できました。

さて楽しめたのはここまで。

豚肉のコスタータとサルシッチャ

メインは名物料理らしいのですが、お腹いっぱい過ぎて…。
しかも肉の中に茹で卵が丸々1個入っています。
でも頑張って食べるしかありません。
ん。美味しいのか、これ。うん。味はいいよなあ。味は…。
だから言わんこっちゃない。
食べ終わると、すかさず新人スタッフはデザートをすすめてきます。
いやいや。
代わりにカフェを頼んだら、カフェは無いとのこと。
その真偽は分かりませんが、他のバールでカフェを飲んで、この街で床に就きました。

あまり印象がよくないように書かれているように思うかもしれませんが、実は大満足です。
リストランテではない、トラットリアの真骨頂があのラビオリに込められていたと感じたからです。
料理人として気づきを与えてくれるお店は重宝します。

翌朝バス停の位置が土日は変化するという、イタリアらしいトラップに引っ掛かりそうになりましたが、何とか走り去ろうとするバスを強制ストップさせて、またラグーザに戻ることができました。

さて明日はパレルモに向かいます!


※補足

ラグーザからキアラモンテ・グルフィへのバス情報で割と多くの日本人が困っているようなので、情報を挙げておきます。(2023.8)

ラグーザ発 キアラモンテ・グルフィ着
7:15  12:15  14:00  17:30

キアラモンテ・グルフィ発 ラグーザ着
7:20  8:15  12:50  14:30
(土日は停車場所がcarabiniere前からBalcone di Siciliaの方に変わります。)

ラグーザには電車の止まる駅と、バス専用のターミナルが二種類あるので分かりにくいですが、バス専用のRagusa Bus Terminal Nodo Zamaから出発します。
そして実はそのターミナルの受付の人は、カターニャ行きのバスしか管理していないので、聞いても何もわかりません。
そこから一番近い「Tre Passi Avanti」というカフェでバスの切符も買えますし、ラグーザ発のバスのことは何でも知っているので、相談してください。
キアラモンテ・グルフィ行きのバスも基本的には1日4本ずつあるはずなのですが、土日祝や季節によっては変則もあるようなので気を付けてください。

ラグーザのバスで困ったらこのカフェへ。
時刻表もあります。

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