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【自己紹介】星野リゾートに入ったら、入社1年目で沖縄のビーチでカフェ店員になり、北海道のスキー場でリフト乗り場の係員になった話。

皆様はじめまして、熱海のマサと申します。今回は初投稿ということで私の自己紹介をしたいと思います。

箱根芦ノ湖を見下ろす場所にあるブランコを漕ぐマサ

私は星野リゾート・マネジメントに新卒で入社し、現在4年目です。東京で生まれ育った生粋のシティボーイです。でもいまだに渋谷では迷います。井の頭線から地下鉄副都心線まで一発で辿り着けたことがありません。

どちらかというと新宿派の人間なもので…。学生時代はよく新宿の紀伊國屋書店に行ってましたね。ところがどっこい、先日、久々に新宿駅に行ってみたらもう浦島太郎…!俺の知っている新宿はどこにやったんだコノヤロウ…!ってなもんで全く見覚えのない駅になっていました。西口から東口に改札を通らずに行ける通路が開通して駅の構造が変わってしまったんですね。何も文句はございません。便利になったので良いと思います。

まあ、それはさておき、私と星野リゾートの馴れ初めをお話ししましょう。

時は2019年、訪日外国人観光客数は3000万人を超え、「日本はこれからは観光立国ですのよ、奥さん」という世の中の流れの中で、就職活動をしていた私も「これからは観光なのでは!?」と思って星野リゾートの選考を受けることにしました。もともと旅行好きだったというのもありますが。

新元号令和をお祝いしている頃、ザギンのオフィスで選考を受けました、シースーは食べずに帰りました

星野リゾートの説明会ではいろいろな横文字が並べられており、学生の身分で生意気に「なんだあ!横文字ばかり使いよって!」と思っていましたが、他の企業様に比べて際立ってしっかりとはっきりと戦略のことを話す会社だな、とも思いました。

書類選考や面接を経て内定をいただき「この会社ならおもしろそう」ということで入社を決めました。

2020年春、「さァ、さァ、俺も敏腕ホテルマンとしてバリバリ働くぞ!」と思っていた矢先、まさかの事態に見舞われます。

新型コロナウイルスの流行です。

政府や行政から外出自粛が要請される中で旅行どころではありません。観光業界自体が存在意義を問われることになり、夢や希望を抱いて社会の大海原に船出するつもりが、これじゃゴムボートで漂流しかねないぞ!という心持ちでした。

とはいえ、乗りかかった船。もう進むか、沈むかです。沈んだらそれはその時、と腹を括って入社の日を迎えました。

研修期間を経て最初に配属されたのはリゾナーレ小浜島。

こはま…?おばまじゃなくて…?オバマ元大統領と同じ名前で有名な福井県の小浜市ではなくて?

どこ…?

調べてみると東京から約2000km離れた沖縄県八重山諸島にその島はありました。地元から出たことのない若者にとって初めての土地、初めての仕事、初めての一人暮らしは不安じゃないはずがありません。

石垣島行きの飛行機から眼下にひろがるふるさと東京の街並みを見送りました。機内放送で流れる桐谷健太さんの「海の声」を聞きながら、ボロボロと涙を流したのは言うまでもありません。

さらば我が故郷…、いつの日かまた帰ってこようぞ…。

ちなみに人生3回目の飛行機

そんなこんなで飛行機は南ぬ島新石垣空港に到着、空港ではリゾナーレ小浜島の支配人と総務の方が出迎えてくれました。その日は石垣島に一泊しました。

翌日、石垣島離島ターミナルからフェリーに乗って小浜島に向かいました。この時初めて八重山の海を間近で見たのですが、ものすごく透明度が高くてびっくり。深夜にNHKでやってる「日本の海、世界の海」みたいなタイトルの綺麗な映像がただ流れるだけの番組、あれだ…、などと思っているうちに船は小浜港に到着。

小浜港に入港するフェリー

石垣島から小浜島までは所要時間もそれほどかかるわけではなく、地元の町から新宿まで急行で行くのと同じ感じだな、と思いながらお迎えの車に乗り込みます。

窓の外には、のどかなサトウキビ畑が広がります…、と言いたいところのなのですが、サトウキビって冬から春にかけて収穫するので私が小浜島に赴任した時は季節柄あんまり「ザ・サトウキビ畑!」って景色でもなかったはずです。(3年前のことなので少し記憶が曖昧ですが…)

ちなみサトウキビの収穫は12月ごろからはじまりますので、サトウキビが一番「ざわわ」してるのは11月ごろです。冬に収穫する理由は様々あるのだと思いますが、夏に収穫しようものならものの15分でぶっ倒れてしまいます。もうね、太陽との距離が他所とは違いますから…。

半ざわわ

初めての配属先リゾナーレ小浜島での生活は、当初の不安とは裏腹に仕事もプライベートも充実した楽しいものになりました。感染対策を十分にした上で多くのお客様にお越しいただきました。

リゾナーレ小浜島では、フロント、レストラン、客室清掃、ナイト業務といろいろと携わせていただきましたが、特に思い出に残っているお仕事が二つあります。

一つ目はシャトルバスの案内係です。現在は変更になっている可能性もありますので当時のお話として聞いてほしいのですが、私がリゾナーレ小浜島にいたときは、島の玄関口である小浜港からリゾナーレ小浜島までのシャトルバスにスタッフが乗り込んでお客様のお荷物のお手伝いやご宿泊のご案内をおこなっていました。

小浜港でお客様をお出迎えし、シャトルバスにご案内し、ホテルに向けて出発。ホテルに着くまでの間、小浜島のことやリゾナーレ小浜島のことをご紹介しました。

もちろん、ホテルでのご滞在に関することなど必ずお伝えしないといけないこともあるのですが、それ以外の内容はある程度スタッフごとにアレンジしていました。

小浜島で撮影されたNHKの連続テレビ小説『ちゅらさん』のお話や小浜島の中央にそびえる標高99mの大岳(うふだき)のこと、小浜島の水道水は西表島から来ていること、一方電気は石垣島から来ていることなどなど…。

あと、人より牛のほうが多く住んでいるとか(牛の写真がなかったので写真は馬です)

では、ここで私が実際に話していた小ネタをひとつ。

沖縄方言、いわゆる、うちなーぐちでは、東西南北を他の地域とは違う読み方をします。

西は「いり」。そのため西表島は「いりおもてじま」と読みます。なぜ「いり」と読むかと言うと、太陽が水平線に入っていく方角だから「入り」と言うそうです。では、東はなんと言うかというと「あがり」です。太陽が上がってくるからですね。

太陽が入っていく場所を「いりおもて」と言うのなら、その反対側に太陽があがってくる「あがりおもて」という場所があってもよさそうですよね。

なんと、その「あがりおもて」がまさにリゾナーレ小浜島があるエリアなんです。

現在は変わってしまいましたが、リゾナーレ小浜島の住所はかつて沖縄県八重山郡竹富町小浜東表(あがりおもて)だったのです。

ということは皆様、リゾナーレ小浜島は太陽が上がってくる方角に面したリゾートということです。その地名の通り、ご宿泊者様専用のビーチからは、登ってくる朝日をご覧いただくことができます。

「あがりおもて」からあがる朝日

ぜひ少し早起きなさって、朝のビーチを散歩してみてはいかがでしょうか。

……といった具合にお話ししていました。おしゃべり大好きな私にとってはとても楽しいお仕事でしたね。

もう一つ、思い出に残っているのはBOOKS & CAFEでのお仕事です。BOOKS & CAFE は、本とお飲み物とゆっくりとしたお時間をお楽しみいただけるカフェでリゾナーレ小浜島のBOOK & CAFEは、ご宿泊者様専用ビーチに併設されています。

私はお昼のタイミングでBOOKS & CAFEを担当することが多かったのですが、お昼は出発のお客様は出発されてしまった後だし、到着のお客様はまだこれからお越しになるということで、カフェをご利用になるお客様もそれほど多く無い時間帯でした。

その代わり、数少ないご来店のお客様とは楽しく色々なお話をさせていただきました。真夏の太陽の下でキラキラと輝くエメラルドグリーンの水面を眺めながら、「あの島はなんですか」「あれは竹富島です、あっちが石垣島、夜になると石垣島の夜景が見えますよ」なんてお話ししながら白い砂浜の上で、本当に楽しい仕事でした。

BOOKS & CAFE と石垣島の夜景

ある時お越しになったお客様は、世界中を旅されてきたということで旅先の様々なお写真をお見せくださいました。コロナ禍ということで海外旅行は中断されて国内を巡っていらっしゃるとのこと。私は国内旅行は結構してきたほうですが、海外旅行は学生時代の卒業旅行の一度きりでしたので、お話をお伺いして大変興味深かったです。

プライベートでは、なんと、船の免許を取りました!

1級小型船舶免許です。一定の大きさまでの船なら世界中どこまででも操縦できます。ちなみに「世界中どこまでも」というのは1級小型船舶免許の資格上のお話です、沿岸100海里以上離れて航行するには6級以上の航海士を同乗させる必要があります。さらに船自体の航海範囲が定められており、エンジンのしゅつry……

えー、マサさん、船の免許って取るの大変じゃないですか!? 車の免許ですら、2週間はかかりますよね〜!? 船の操縦なんて全然イメージつかないですよ〜!?

……実は、1級船舶の免許は最短4日で取れちゃうんです。ちなみに2級ならたったの2日。(認定教習所の場合)

えー、でも、そういう特殊な免許って教習所の受講料もお高いんでしょう〜?

……いえいえ、車の免許よりもお安くとれちゃいます。私がお世話になったところは10万でお釣りが来るくらいでした。

えー、でも、マサさん、船、持ってないですよね?

……そうですね。

そうなんですよねえ、船、ないんですよね。ペーパー船長まっしぐらです。なので石垣島で教習艇を操縦したのが最初で最後です。透き通る海の上を滑るように船を走らせたのは今でも最高の思い出です。普通に走ってる八重山観光フェリーの船とすれ違うときはめちゃくちゃ怖かったですけどね。

石垣港で教習しました

船を免許を取る中でひとつ学んだことがあります。座学の授業中、教習所の先生がこんなお話をしてくださいました。

「みなさん、良い船長っていうのは、操縦が上手い船長だと思っていませんか。荒波もうまく乗り越えられる船長だと思ってませんか。違います。本当の良い船長というのは、船を出さないという決断ができる船長です」

これにはハッとしました。船長の仕事は船を安全に航行させること、そして、安全に航行できないのであれば船を出さないという判断をすること。この言葉は、船長以外の事柄にも当てはまるように思いました。仕事でも日常生活でも「何かをする」という決断以上に「何かをしない」という決断が重要だったりします。

ただがむしゃらにやればいいわけではない。何をして、何をしないか、その見極める力が運命を左右するのです。

しかしそれでは、2020年の春、22歳の私が社会という大海原に出るとき、コロナ禍という嵐の中で星野リゾートという船に乗ったのは、向こう見ずな間違った決断だったのでしょうか。

いえ、それは違います。

この船でしか見れない景色をたくさん見させてもらいましたし、今も見ています。

そんな景色の話をこのnoteで綴っていきたいと思います。

さて、次回「気温差60度! 30度の南の島からマイナス30度の北の大地へ! 試される身体!(仮)」をお送りします。それでは、また。

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