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アタランタの23/24シーズン総括

 今年のアタランタはリーグ戦の成績こそ過去最高とはいかなかったものの、ヨーロッパリーグ(EL)での優勝、コッパ・イタリアでの準優勝、セリエAでも4位と全てのコンペティションで優秀な成績を残し、戦術面・スカッド共に安定感と爆発力に満ちたサッカーで数々の記録を塗り替え、非常に充実したシーズンを過ごした。私自身も4年間応援してきた中でも過去一番ワクワクして楽しいシーズンだった。そんな今季を在籍した選手たちの活躍を中心に振り返っていきたい。

成績

セリエA

最終順位:4位
勝ち点:69(勝:21 引き分け:6 負:11)
得点:72 失点:42 得失点差:+30

UEFAヨーロッパリーグ

最終順位:優勝🏆
グループステージ:1位 勝ち点14(勝:4、引き分け:2)
決勝トーナメント:ラウンド16-スポルティング、ラウンド8-リヴァプール、準決勝-マルセイユ、決勝-レヴァークーゼン

コッパ・イタリア

最終順位:準優勝🥈
トーナメント:ラウンド16-サッスオーロ、ラウンド8-ACミラン、準決勝-フィオレンティーナ、決勝-ユベントス

個人評価

GK

1.ファン・ムッソ 70点

セリエA:11試合/6クリーンシート,23セーブ
EL   :12試合/5クリーンシート,26セーブ
コッパ :1試合/1クリーンシート,3セーブ
トータル:24試合/12クリーンシート,52セーブ

 昨季終盤、当時第2GKだったスポルティエッロにレギュラーを奪われ、カルネセッキの復帰が決まったこともあり、夏には放出候補となっていた彼だが、交渉が成立せず残留。カルネセッキの控えとして扱われるかと思いきや、開幕からスタメンとして出場。カルネセッキとの併用ではあるものの、出場機会を得て重要な場面でのゴールキャンセルで存在感を示していった。カルネセッキの台頭とともに出場機会が減り、シーズン後半はEL専門となっていったが、飛び出しの上手さでチームの危機を救い決勝進出に大きく貢献した。油断するとポジショニング修正を怠ってしまうようだが、重要な一戦になると爆発する。特に印象に残っているのはリヴァプールとの2戦、飛び出しのタイミングとフィードの正確さで2試合ともに輝いていた。第1GK を望んでおり今夏で退団が濃厚だが、今季は開幕当初の期待に対してかなり好印象を残せたのではないだろうか。

29.マルコ・カルネセッキ 85点

セリエA:27試合/8クリーンシート,79セーブ
EL   :1試合/0クリーンシート,3セーブ
コッパ :4試合/0クリーンシート,11セーブ
トータル:32試合/8クリーンシート,93セーブ

 クレモネーゼでの修行で一躍名を上げての復帰となった。シーズン序盤はムッソの活躍もあり出場機会は多く与えられなかったが、中盤よりスーパーセーブを連発するようになりリーグ戦・コッパイタリアでのスタメンに固定される。彼の活躍がなければリーグ戦・コッパイタリアでこれほどまでに好成績を残せていなかっただろう。プレスをかけられた際の足元は不安定だったが、それをも凌駕するセービング力で3月のMOMにも選ばれた。特にサッスオーロ戦(ホーム)の2連続PKストップやナポリ戦(アウェイ)のセーブ連発によるクリーンシート、フィオレンティーナ戦(コッパイタリア1st leg)のニコゴンザレスのヘディングシュートのセーブなどはファンの記憶にも色濃く残っているだろう。来季以降、足元の技術も向上させていけばイタリア代表でドンナルンマからのポジション奪還も夢ではないだろう。

31.フランチェスコ・ロッシ -

セリエA:1試合/0クリーンシート,1セーブ
EL   :1試合/0クリーンシート,0セーブ
コッパ :出場なし
トータル:2試合/0クリーンシート,1セーブ

 アタランタ一筋の彼は第3GKとして今までチームを盛り上げ、近年は毎シーズン1試合ずつ出場していた。今季は最後の1試合を残してグループステージ1位通過を決めていたこともあり、32歳にしてキャリア初のEL出場も果たした。また、セリエAでもトリノ戦(ホーム)にも出場しビッグセーブも決めた。長年支えてきたチームで初タイトルを獲得できたことが彼にとっては何よりの喜びなのではないだろうか。

DF

2.ラファエル・トロイ 30点

セリエA:18試合/0G,0A 5🟨,1🟥
EL   :5試合/0G,0A,1🟨
コッパ :1試合/0G,0A,1🟨
トータル:24試合/0G,0A,7🟨,1🟥

 今季でアタランタ9年目となった彼だが、年齢からか怪我が度重なりコンディションが上がらず、出場しても身体が重く低調なパフォーマンスが目立った。チームキャプテンにもかかわらず、試合中にカッとなってしまう場面も見られ出場時間に対してはかなりの数のカードをもらってしまった。唯一の救いとしてはシーズン終盤戦にようやく復調の兆しが見えたことだろうか。なんにせよ9年目にして念願のチームタイトルを獲得できたことはかなり感慨深かった。

3.エミル・ホルム 60点

セリエA:22試合/1G,1A,5🟨
EL   :7試合/0G,0A,2🟨
コッパ :3試合/0G,1A,0🟨
トータル:32試合/1G,2A,7🟨

 昨夏にスペツィアからレンタルで加入。前半戦は出場機会を与えられるも適応に苦戦し、自身の強みを出すことが出来ず、気性の荒さのみが目立っていた。しかし徐々に適応していくと、スピードやドリブルでの推進力、レオンを抑えるほどの守備の粘り強さを活かして、ザッパコスタからスタメンを奪うほどガスペリーニからの信頼を得ることに成功した。終盤はモンツァ戦での負傷により離脱を余儀なくされた。アタランタは買取オプションを行使しないことを決定し1年での退団が決まってしまった。個人的には彼の負けん気や野心は見てて熱くなるのであと1年は見てみたかった。

4.イサク・ヒエン 85点

セリエA:16試合/0G,1A,3🟨
EL   :6試合/0G,0A,3🟨
コッパ :4試合/0G,0A,1🟨
トータル:26試合/0G,1A,7🟨

 昨夏にも移籍の噂はあったが実現せず、今冬にエラスヴェローナから加入。最初はやはりアタランタの独特な守備スタイルと足元の技術が求められる状況に苦戦していたが、短時間で適応する。ルカクやオシメンといったスピードやパワーなどのフィジカルに優れたフォワードをことごとく完封し、さらにはフィードの正確性も向上。これ以上ない完璧なセンターバックへと成長した彼を来年も見れると思うと今から楽しみである。

6.ホセ・ルイス・パロミーノ -

セリエA:4試合/0G,0A,0🟨
EL   :1試合/0G,0A,0🟨
コッパ :1試合/0G,0A,0🟨
トータル:6試合/0G,0A,0🟨

 昨季はドーピング疑惑にかけられ前半戦を棒に振り途中から復帰。昨夏や今冬に度々母国などへの移籍の噂が立ったが実現せず、残留となった。しかし、度重なる怪我やコンディション不良から出場機会は激減。チームにも帯同しなくなり、EL優勝パレードなどでも姿を見せることはなかった。去年・一昨年の苦しい時期にチームを救っていた功労者なだけに、彼がトロフィーを掲げる姿も見たかった。

19.ベラト・ジムシティ 90点

セリエA:37試合/0G,1A,4🟨
EL   :12試合/1G,0A,3🟨
コッパ :5試合/0G,0A,1🟨
トータル:54試合/1G,1A,8🟨

 今年31歳になった彼だが、加入後ベストパフォーマンスと言っても過言ではないのではないだろうか。ヒエン加入まではCBとしてディフェンスリーダーとして守備を統率し固い守備を作り上げ、近年課題だった守備を安定させた。アタランタでの通算200試合目となったELグラーツ戦では決勝点を記録し、決勝トーナメント進出を確実なものにさせた。ヒエン加入後は左右どちらのCBとしても対応し、怪我人が続出するCBの中で怪我なくコンスタントに出場を重ね、チーム最多出場数となった。スライディングの技術がかなり向上し、ここしかないというタイミングで危機を防いでいた。中でもリヴァプール戦2nd legでのパスカットは素晴らしかった。また、アルバニア代表キャプテンとしてもチームをユーロ2024に導き、この上ないシーズンを過ごしたのではないだろうか。

20.ミッチェル・バッカー 20点

セリエA:14試合/1G,0A,1🟨
EL   :5試合/0G,0A,1🟨
コッパ :1試合/0G,0A,0🟨
トータル:20試合/1G,0A,2🟨

 パリSG、レヴァークーゼンとビッグクラブを渡り歩いてきただけに期待されての加入だっただろうが、恐らく今季のワースト補強となってしまった。シーズン前半からルッジェーリにポジション争いで完全に負け、出場した際にも足元のテクニックとスピードは見せたが、ポジショニングの悪さとディフェンス面で全くチームにフィットしなかった。チームメイトとの仲は良好で人柄の良さは感じられるだけに、来季移籍するにしろしないにしろ復活を目指して頑張って欲しい。

21.ナディル・ゾルテア -

セリエA:5試合/1G,0A,1🟨
EL   :1試合/0G,0A,0🟨
コッパ :1試合/0G,0A,0🟨
トータル:7試合/1G,0A,1🟨

 開幕戦からゴールを決め、昨季のサッスオーロでの修行により実力はかなり向上しているように見えたが、ホルムをフィットさせていくためなのか出場機会はかなり限られた。冬にフロジノーネにレンタル移籍し、チームは降格してしまったが、個人の成績ではかなり結果を残しているので、来季こそはアピールしてアタランタで輝く姿を見たい。

22.マッテオ・ルッジェーリ 80点

セリエA:34試合/0G,4A,3🟨
EL   :10試合/2G,1A,1🟨
コッパ :4試合/0G,.A,0🟨
トータル:48試合/2G,5A,4🟨

 昨季スタメン確保に苦しんでいた彼だが、今季は開幕から左WBのファーストチョイスとして出場し続けた。特に前半戦は彼の左足からのクロスが得点パターンの一つとして多用されていた。また、守備も安定していてスピードの無さを補う読みでパスカットやタックルからカウンターへと繋げる場面も多々見られた。ビルドアップでの安直なパスミスも目立ってはいたが、それ以上にチャンスを作り出すことが多く、縦に速いアタランタの攻めに貢献していた。マルセイユ戦2nd legでの豪快な右足でのシュートは味方だけでなくファンも皆驚いたことだろう。まだ若いだけに来季はA代表も狙えるほどの活躍を見せてもらいたい。

23.セアド・コラシナツ 80点

セリエA:30試合/1G,0A,4🟨
EL   :9試合/0G,0A,2🟨
コッパ :4試合/0G,0A,1🟨
トータル:43試合/1G,0A,7🟨

 昨夏にマルセイユからフリーで加入した彼だが、スピードとフィジカルで相手を制すプレースタイルがアタランタの戦術に完全にフィット、相手の右WGを完封する守備でディバラやサラーを封じ込めた。そのファイターぶりを一番感じたのはセリエAでのミラン戦(アウェイ)、頭から出血するも包帯を巻いて最後まで出場した。攻撃面でもスピードを活かしてインナーラップし積極的にビルドアップに参加していった。その爆発力ゆえか筋肉系の怪我で離脱することもあったが、EL決勝では怪我を半分治した状態で出場し、前半のみではあったがフリンポンを抑えることにかなり貢献していた。数々のビッグクラブを渡り歩いてきた彼だが、初年度でこれほどまでに必要不可欠な存在になるとは想像していなかった。シーズンオフにじっくり怪我を治してまた来年暴れてほしい。

33.ハンス・ハテブール 50点

セリエA:23試合/0G,1A,5🟨
EL   :7試合/0G,0A,0🟨
コッパ :2試合/0G,0A,0🟨
トータル:32試合/0G,1A,5🟨

 近年、年齢と大怪我から低調なパフォーマンスが見られるも復活を期待され使われ続けていた彼だが、今季は右WBの3番手としてベンチを温める試合が多かった。それでも「ムードメーカーな兄貴」としてチームを常に盛り上げ、終盤の過密日程の中ではホルムの怪我もあり出場機会を増やした。サポートランや守備の粘り強さで味方を支えるも、やはり仕掛けが消極的で右サイドの攻撃を停滞させてしまうことが多かった。

42.ジョルジョ・スカルヴィーニ 75点

セリエA:33試合/1G,3A,3🟨
EL   :8試合/1G,0A,2🟨
コッパ :3試合/0G,0A,0🟨
トータル:44試合/2G,3A,5🟨

 昨季大ブレイクしA代表デビューまで果たした彼は、CB不足となった今季も大車輪の活躍だった。CBの中央はパワー不足で適役ではなかったようだが、左右のCBではビルドアップへの効果的な関与でチャンスを作り出していた。ジェノア戦(アウェイ)での幻のゴールとなった靴脱げシュートはファンなら記憶に濃く残っているだろう。インターセプトやスライディングの技術もかなり上がり、レギュラーの座を確かなものとしていたが、ナポリ戦(アウェイ)でハムストリングを負傷して以降、復帰後もコンディションが上がらず。延期となったフィオレンティーナ戦では前十字靭帯断裂の大怪我を負い、ユーロ2024の出場はおろか、今年いっぱいは欠場することが決まってしまった。代表での初めての国際大会本戦だっただけに本人も悔しかっただろうがまだまだ若い、これからより強靭になって帰ってきて活躍してくれることを期待している。

43.ジョバンニ・ボンファンティ -

セリエA:2試合/0G,0A,0🟨
EL   :1試合/1G,0A,1🟨
コッパ :出場なし
トータル:3試合/1G,0A,1🟨

 アタランタ下部組織出身の彼は今季トップチームデビューを果たした。ナポリ戦(アウェイ)に途中出場しセリエAデビューを果たすと、ラコフ戦(アウェイ)で欧州カップ戦デビューも果たし得点も記録。その後間が空いたがレッチェ戦(アウェイ)にはセリエA初先発でクリーンシートに貢献と、出場すればディフェンスセンスを見せ、今後を期待させるシーズンとなった。

77.ダヴィデ・ザッパコスタ 70点

セリエA:31試合/2G,1A,5🟨
EL   :11試合/0G,3A,2🟨
コッパ :4試合/0G,0A,0🟨
トータル:試合/G,A,🟨

 昨季は怪我で稼働率は高くないものの、スピードあるドリブルとパワフルなシュートでゴールへの関与も多かった。今季は前線の厚みが増したおかげで昨季ほど単騎で突破していかなくてはならない場面も減り、サポートに徹する場面が多く見られた。途中ホルムの好調によって定位置を奪われるも、左サイドならカットインからシュート、右サイドなら突破から速いクロスと両サイドのWBで活躍できるユーティリティ性もありコンスタントに出場。ELではリヴァプール戦やレヴァークーゼン戦と重要な場面でクロスからアシストし存在感を示した。スピードは以前より落ちた印象だが、老獪なテクニックと精度の高いクロスで来年もアタランティーニを楽しませてほしい。

MF

7.テウン・コープマイネルス 85点

セリエA:34試合/12G,5A,5🟨
EL   :12試合/0G,2A,2🟨
コッパ :5試合/3G,0A,0🟨
トータル:51試合/15G,7A,7🟨

 気づけばアタランタ3年目となった彼は、精神的にも戦術的にもチームの支柱となった。スピードや突破力が高いわけではないが、圧倒的なキック精度による得点やパスはもちろん、コートを真上から見ているかのような視野と、味方からボールをもらいたい位置やパスを出したい位置を明確に支持するコーチング力でアタランタの攻撃の指揮を取っていた。彼がポケットに侵入しチャンスを作るさまは今季何度も見られ、代名詞となっていた。セリエAでは12得点を記録してスカマッカと並んでチーム得点王となった。中でもユベントス戦のデザインされたフリーキック、ローマ戦の中で合わせたヘディング、サレル二ターナ戦の強烈ミドルと得点パターンが豊富で貴重な1点となることが多かった。残念ながら怪我によりオランダ代表としてユーロ2024へ出場することはかなわなかったが、彼の実力なら次のワールドカップ、ユーロと活躍してくれることは間違いないだろう。去就は不透明でユベントスへの移籍濃厚と言われているが、残留の可能性がゼロではない。アタランティーニはただただ彼が残ることを祈るのみだ。

8.マリオ・パシャリッチ 70点

セリエA:34試合/6G,6A,3🟨
EL   :11試合/1G,0A,0🟨
コッパ :5試合/1G,1A,0🟨
トータル:50試合/8G,7A,3🟨

 シーズン前半戦はOMFやCFで起用されることが多く、コンディションも上がらなかったせいかパフォーマンスも低調で定位置を確保することに苦しんでいた。しかし中盤戦以降デローンのCB起用やコープマイネルスのOMF起用が増えたのと、連戦の中でのローテーションが考慮されDMF起用が増えると完全復活、12月には月間最優秀選手にも選ばれた。両足で同質のキックが蹴れることやカウンター時の切り替えの速さ、3列目からの飛び出しで良さを発揮し強敵との連戦を乗り切るのに大きく貢献し、その冷静さからPKキッカーも任されるようになった。次第に数字としても表れペリシッチの持つセリエAでのクロアチア人通算最高得点記録に並んだ。アタランタ在籍6年目にしてボランチとして覚醒した彼は試合数がさらに増える来季も活躍してくれることだろう。

13.エデルソン・ドス・サントス 95点

セリエA:36試合/6G,1A,8🟨
EL   :12試合/1G,0A,1🟨
コッパ :5試合/0G,0A,1🟨
トータル:53試合/7G,1A,10🟨

 彼は今季最も注目を浴びた選手といっても過言ではないだろう。以前から足元の技術とスピードは良いものを持っていたが、今季は格段に成長し完璧な選手へと近づいた。まずは圧倒的なプレーエリアの広さ、守備時には相手の落ちたボランチに対して最前線まで猛プレスをかけにいったかと思えば、CBが裏を取られた際には素早いカバーリングで最終ラインまで戻る。攻撃時もビルドアップ時には最終ラインに落ちて攻撃を作り、隙を見て裏抜けもできる。やはりその全てでスピードが速いことが活きてくる。次にボール保持力の高さ、身体の使い方が上手くフィジカルコンタクトも強いためボール奪取に優れている。さらに足元の技術と相手の裏をかくドリブルで奪った後の相手のプレスも難なく回避することができる。そしてパス精度の高さ、左足の精度はやや落ちるが長短のパスの判断、精度、振りの速さに至るまで非常に質が高く、縦パスも積極的に通しビルドアップにおけるスピード調整の役割を担う。得点力も上がり、特にウディネーゼ戦(アウェイ)でのバックヘッドなど、重要な場面でゴールを決めた。さらにはそのクオリティを怪我なく一年継続したという点も評価できるだろう。遂にはその活躍が認められて初のブラジル代表にも選出され、コパアメリカを戦うこととなった。国外のビッグクラブからも関心が寄せられているという噂もあるが、ガスペリーニスタイルに完全にマッチしたエデルソンが来年も活躍すればセリエA年間MVPも狙えるのではと個人的には思っている。

15.マルテン・デローン 80点

セリエA:30試合/0G,5A,10🟨
EL   :11試合/0G,0A,3🟨
コッパ :5試合/0G,0A,1🟨
トータル:46試合/0G,5A,14🟨

 アタランタへの愛と独特のセンスのあるXの投稿で我々を喜ばせてくれる彼は、今季最も天と地を味わったプレーヤーだろう。年を重ねても落ちない走力と危機察知能力、ボール奪取力で味方のピンチを救ってくれる救世主ぶりを見せ、その結果チーム最多の14枚のイエローカードをもらったが、危ない場面をイエロー覚悟で救ってくれた勲章と言っていいだろう。さらにはCB不足のチーム状況に対応しCBでの出場機会が増えるもそれをそつなくこなすユーティリティ性も披露した。不動のレギュラーとしてコッパイタリアとELの決勝進出に大きく貢献するも、コッパイタリア決勝の後半、ハムストリングの負傷により途中交代。怪我の重症度を自身で認知し1週間後のEL決勝にも出場できないだろうという悔しさから涙を浮かべていた。そんな彼に対してファンはベルガモの街に横断幕を掲げるという本当に暖かいはからいで励ました。その怪我によりユーロ2024の出場も逃してしまった彼だがトロフィーを掲げる姿は本当にうれしそうで私も感動してしまった。怪我を治してまた来季CLで暴れてくれることを期待している。

25.ミッチェル・アドポ -

セリエA:10試合/0G,1A,0🟨
EL   :1試合/0G,0A,0🟨
コッパ :出場なし
トータル:11試合/0G,1A,0🟨

 昨夏にトリノから加入し大型ボランチとして期待され、開幕戦では突破からアシストを記録するも、第4節のフィオレンティーナ戦(アウェイ)でボールロストから失点に関与。この試合でガスペリーニからの信頼を無くし、起用が極端に少なくなる。以降はトップ下の位置で何度か出場するも、無くした信頼を取り戻すことはかなわず、僅かな出場時間でシーズンを終えてしまった。来季はレンタルなどで出される可能性が高そうだが、ポテンシャルはありそうなだけに覚醒してほしい。

59.アレクセイ・ミランチュク 70点

セリエA:27試合/3G,5A,1🟨
EL   :10試合/0G,4A,0🟨
コッパ :5試合/1G,1A,1🟨
トータル:42試合/4G,10A,2🟨

 昨季のトリノへのレンタルから復帰し、移籍先が見つからず今季は戦力外として飼い殺しされるかと思いきやまさかの力強くなっての完全復活。シーズン序盤こそ出場機会に恵まれなかったが、ルックマンのAFCON参戦とスカマッカの調子が上がらなかったことにより出場機会が増加。持ち前のキープ力とパス精度でアシストを量産し、攻撃のオプションの一人として地位を確保、1月には月間最優秀選手に選ばれた。シーズン終盤は決定力不足が目立ったが、終わってみれば出場時間当たりのアシスト数ではチーム内1位となり開幕時の予想の遥か上を行く活躍で周囲を魅了した。来季の去就は不透明だが、残るならゴール数も増やしていって欲しい。

FW

9.ルイス・ムリエル 65点

セリエA:18試合/2G,1A,0🟨
EL   :5試合/4G,0A,0🟨
コッパ :2試合/0G,0A,0🟨
トータル:25試合/6G,1A,0🟨

 途中投入から得点を量産するジョーカーとして、アタランタの一時代を築いた彼も30代になりスピードとドリブル精度が落ち得点を重ねられなくなっていた。今期はELでは4ゴールを決めグループステージ突破に貢献していたが、リーグ戦では途中出場が多く投入後も期待が持てる状態ではなかった。それでもホームで行われたミラン戦、2-2の後半ATに伝説となるであろうバックヒールでの決勝ゴールを決めて、リーグ戦で元気のなかったチームを勢いづける勝利とさせた。サレル二ターナ戦にも同点とするスーパーミドルを決めたが、冬についに4年半在籍したクラブと別れる時が来てしまう。契約期間が今夏までとなっていたため仕方のない移籍だったのかもしれないが、彼がELのトロフィー掲げる姿を見たかった。彼の功績と楽しませてくれたことにただただ感謝したい。

10.エルビラル・トゥーレ 50点

セリエA:11試合/2G,0A,2🟨
EL   :4試合/1G,0A,0🟨
コッパ :2試合/0G,0A,0🟨
トータル:17試合/3G,0A,2🟨

 アルメリアよりクラブ史上最高額での加入となり多大な期待が寄せられていたが、プレシーズンマッチで大怪我を負いシーズン前半を棒に振ってしまう。24節のジェノア戦(アウェイ)でようやく復帰しデビューゴールを記録したが、コンディションを取り戻すまでにはかなりの時間を要した。ルックマンとはアフリカ国籍の繋がりもあってか良い連携で、徐々にチームにもフィットし持ち前の速さとボディコントロールの巧さを発揮できるようになると、マルセイユ戦2nd legでは決勝点も決め存在感を示した。スカマッカとのポジション争いは厳しいものになるかもしれないが、来季こそ万全の状態で輝く彼の姿を見てみたい。

11.アデモラ・ルックマン 80点

セリエA:31試合/11G,7A,4🟨
EL   :11試合/5G,1A,2🟨
コッパ :3試合/1G,1A,0🟨
トータル:45試合/17G,9A,6🟨

 昨年は加入1年目にして13ゴールを決め、チームのエースとして不可欠な存在となっていた。今季も巧みな個人技から得点こそするも、昨季とは大きく様変わった前線で連携を強めることに苦戦し、昨季ほどの爆発力は見られていなかった。AFCONでは彼の活躍もありナイジェリアを準優勝に導きチームに戻ると、前線のスタメン争いは激化していた。そんな中でも結果を残し続け、5/23EL決勝で伝説を作ることになる。彼は鋭いキレからEL決勝史上初となるハットトリックを達成し優勝に大きく貢献し、5月のチーム最優秀選手にも選出された。他クラブへのステップアップ希望を出したという噂もあるが、できることならアタランタに残り来季のCLでの活躍も見たい。

17.シャルル・デケテラーレ 85点

セリエA:35試合/10G,8A,1🟨
EL   :11試合/2G,2A,0🟨
コッパ :4試合/2G,1A,0🟨
トータル:50試合/14G,11A,1🟨

 彼は昨季アタランタとの争奪戦に勝ったミランで1年間苦しみ、40試合ノーゴールでシーズンを終えた。昨夏に1年越しにアタランタに加入し、ガスペリーニによって魔改造され覚醒した。開幕戦から貴重な先制点を決め幸先いいスタートを切ると、ST、RCF、LCFと前のすべてのポジションを試され、結果ルックマン不在の中LCFでヒットする。スピードがあるわけではないが、ボールの受け方とファーストタッチ、ボディバランスを駆使してヌルヌルとエリア内に侵入する様は繊細かつ豪快で、さらには一度ノッてくると相手DFが全く手を付けられないほど調子が上がり、かつてのイリチッチと似て非なるものを感じた。中でもホームでのラツィオ戦、ローマ戦は彼の独壇場で長所が色濃く出た試合であった。移籍初年度にもかかわらずチームに完全にフィットし、二桁得点、二桁アシストの活躍が認められ、アタランタも買取オプションを行使し完全移籍が決定した彼が来年さらに大暴れするのが今から待ち遠しい。

90.ジャンルカ・スカマッカ 75点

セリエA:29試合/12G,6A,1🟨
EL   :11試合/6G,1A,2🟨
コッパ :4試合/1G,0A,2🟨
トータル:44試合/19G,7A,5🟨

 昨季ウェストハムで初の国外挑戦をしたが、怪我の影響もあり実力を発揮しきれず、1年でイタリア復帰となった。シーズン序盤からムラが激しく、モンツァ戦(ホーム)、エンポリ戦(アウェイ)など調子の良かった試合ではドッピエッタなど活躍を見せたが、ガスペリーニやスパレッティに酷評されるほど運動量が少なく、ポストプレーなどシュート以外の部分には疑問が持たれていた。12月の怪我からの復帰後は調子が上がらず、得点からも遠ざかり3月にはイタリア代表からも落選。すると本人もターニングポイントだったと後に語っていたが、そこから一気に覚醒。以前より運動量が増え、ポストプレーも安定、ハイペースで得点やアシストを重ねた。しかもリヴァプール戦のドッピエッタ、フィオレンティーナ戦のジャンピングボレー、トリノ戦の後ろ向きの体勢からのシュートなど、重要な試合や場面でゴラッソを決める姿にあっという間にチームメイトやファン、監督からの信頼を取り戻し、コッパイタリア決勝では「彼がいなかったから勝てなかった」と誰もが思うほどに重要な存在となった。シーズン終わってみれば総ゴール数19でチーム得点王となる活躍でエースとして認められたと言ってもいいだろう。ユーロ2024に挑むイタリア代表にも復帰し9番としての活躍が期待されている。代表としても名を上げ、来季はシーズン通して今季終盤戦の活躍を見せてくれることを願っている。

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