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第十話 周の国での寄り合い

連載第十話は、こひなたん視点でお送りする。第八話でこひなたんから周の国の錬金術師たちに会わせるということになったサガワン。一体どうなるのやら。

周の国の錬金術師たち

周の国はその国土の大きさからたくさんの錬金術師がいる。しかし、広すぎて全員が集まるということは難しいため、比較的中央に集まっている錬金術師が中心となってギルド(組合のようなもの)を形成している。

私(こひなたん)は、エルフの長としてこのギルドに関係を持っており、ギルドの面々とつーかーで話ができる。今回、どこからともなく現れた名も知らぬ勇者の知識を試したところ、それなりの手帳の知識を持っているようなので、このギルドに参加している錬金術師たちに会わせることにした。その中に、もしかしたら、「じゃばらんだ」に興味を持ってくれる錬金術師がいるかもしれないからだ。居れば、旅は終わるから願ったり叶ったりでもあるしね。

さて、ギルドに参加している錬金術師を少し紹介しよう。

  • リツノー:私が使っていた「効率手帳」を開発した錬金術師である

  • ヨウイチ:本を作る技術を手帳に展開した錬金術師である

  • ゴーダ:縁の下の力持ちで、念の国でも仕事をしている

この3人が、周の国のギルドを仕切っていると言ってほぼ間違いない。また、周の国のギルドは大きいため、念の国、月の国、火の国にも大きな影響を及ぼしている。特に、この3人にはたくさんの弟子や子孫がおり、手帳大陸内への影響は非常に大きい。

私はこの3人の中でもリツノーとは懇意にしており、彼の作る手帳を永年使っていたこともあって、お互いに信頼を置いている。だから、今回、よくわからない人間と話をして欲しいとお願いしても、すぐに快諾を得られたのである。

3大錬金術師との話

ということで、周の国にある第一ブロックに例の勇者を連れてきて、ギルドがいつも会合で使っている寄合所に3大錬金術師に集まってもらった。

リツノー(以下リと省略)「まず、紹介しよう。私が効率手帳を作っているリツノーだ。そして、この隣に座っているのがヨウイチ、そしてその横に座っているのがゴーダだ。それぞれ、手帳についてはしっかりとした技術と知恵を持って制作している。君の名前は?」
サガワン(以下サと省略)「すみません、自分の名前がわからないのです。思い出せなくて。周の国の南の端にある砂浜に打ち上げられていたのですが、自分がなぜそこに打ち上げられたのかもわかっていないのです。今は適当に呼んでください」
こひなたん(以下こと省略)「リツノー、そういうことなの。私は今のところ、勇者と呼んでいるけど、勇者っぽいことはとりあえず何もしてないので、呼び方に困っているわ(笑)」
「そうか。あの砂浜は佐賀湾だ。そこに打ち上げられていたんだから、そのままの名前で呼ぶことにしよう。で、サガワン、君の旅の目的は何だ?」
「まあ、それも与えられたものでして(笑)、錬金術師hoririumから依頼を受けて、彼の作ったじゃばらんだという手帳を一緒に作ってくれる錬金術師の仲間を探しています」
「なに、あのhoririumか。ギルドを追い出されたな。やつが作った手帳はじゃばらんだという名前になったのか。そうか。わしは一目置いておったのだが、月の国のものとも周の国のものとも言えないあの手帳は、両方の国のギルドから目の敵にされておったからの」
「なるほどそういうことだったのね。そう思うと、hoririumはかわいそうな境遇ね」
「そうとも言えるが、新しいものというのはそういうものじゃ。で、そのじゃばらんだは一体、どのくらいの人が使っているのじゃ?」
「いや、今のところ、人間で使っているのは少数かと思います。現在の利用者のほとんどは、エルフです。ざっと100くらいでしょうか。しかし、エルフの世界ではどんどん広がりを見せています。」
「成り立たんな。最低1,000はないと、他の錬金術師も手をださんだろう。なぜ、hoririumは他の錬金術師を探しておるのじゃ。」
「hoririumがエルフのために作り続けるとしても、今後はもっと数が増えていくことが容易に予想できるのです。エルフはわかっていないものも含めると数千、数万の単位でこの大陸には存在するでしょうから。そして、人間も使うようになれば、さらに数は増えるでしょう。」
「なるほど、そういうことか。その数ならやるものもいるのではないか?どう思う、お二人は」
ヨウイチとゴーダ「その数ならやるものがおるだろう。ただ、我々が探すとなると問題がある。なぜなら、hoririumはギルドから外されたからな」
「確かに。。。となると、やはりこの佐賀湾自身が探さないとならないでしょうか」
「そういうことになりそうだな。で、こやつは、おっと佐賀湾は手帳には詳しいのか?」
「自分の知識など大したことはないかと思いますが、こひなたんさんはある程度、認めてくれたのかなと。。。」
「認めたとは言い難いが、それなりの知識は持っているので、この世界でも生きていけると思う。ただ、これからさらに北に向かうにあたって、いろいろ課題もある。リツノー、手形を発行してもらうことはできないか」
「手形か。確かに他の国に入るためには必要だな。ただ、こいつがどこの誰かわからないし、手形を出すだけの知識を持っているのかはこひなたんが保証できるのか?」
「リツノーに会わせたのはそこなんです。こいつに手帳クイズをして欲しいのです。その上で手形発行を決めてくれればいいかと」
「なるほど、そういうことか。よし、佐賀湾、いいな。」
「もう、これ、逃げられない状況ですよね」

ということで、佐賀湾は「手帳クイズ」を受けることになったのである。

続き 手帳クイズと手形


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