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城の主って何ていうん

12月24日。
予定がキャンセルとなり、結局1人で過ごすことが決まったのが1週間前。
特に行きたいところもなく、誘える人もいないので、テキトーに映画見に行ってチキンを買っておうちパーリーでもしようかと計画していた。

おうちでわざわざパーリーしようなんて考える人間だ。本当はこんなクリスマスなんて堂々と楽しめる日に1人で過ごしたくない。結局1人友達を捕まえ、夜飲みに行くことに。

夜まで暇なので、映画を見ることにした。「かがみの孤城」。
それぞれに悩みを抱えた中学生たちの話。とても感動した。あんまり評論は好きではないので中身については書きません。
自分は意外にこうゆうのでちゃんと感動するタイプであることはこっそり誇りに思っている。

映画の余韻を感じたまま、すこし散歩。世はクリスマスイブの夕方。クリスマスイブニング。本番はクリスマスなのにクリスマスイブに盛り上がるやつは、クリスマスイブニングなんかもう耐えきれないんじゃねぇの?
思い浮かんだシャレにくすっとするまま歩く。

まだ約束まで時間があったので、マクドナルドに入ることにした。世はクリスマスイブ。人が多すぎる。マクドナルドに入ろうと思って1回止めた。堂々と生きられない自分を殴りたい。
辺りを1周して、結局行く当てもなくマクドナルドに入った。親に叱られて家を飛び出したけど、結局家に逃げ帰った日を思い出した。

ホットコーヒーを飲みながらラジオを聞く。なんてすばらしい時間だ。まさにここは孤城。ラジオはいい。同じ場所にいるのに、全く違う世界に自分を連れて行ってくれる。

だが、事件は起きた。手元が狂った。真っ白のテーブルに真っ黒のかがみ。そう、このかがみが僕を現実世界に引き戻す。
人の目が気になる。かがみから放たれる異臭が鼻を衝く。ぼくは一生懸命かがみを片付ける。かがみに吸い込まれれば負けだ。このかがみに吸い込まれた瞬間、この居心地の良い場所は奪われ、マクドナルド周辺を1周したあのみじめな自分に戻ってしまう。


店員がやってきた。でも店員はぼくの存在に気付かない。ぼくの左右のテーブルを拭き、テーブル上のシートを「消毒済み」に入れ替えて帰っていった。
城内BGMは「クリスマスキャロルの頃には」。


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