たかしまあい

コピーライター|大阪

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マガジン

  • ほんとうにやってきた あたらしいアカチャン

    妊婦中、自分の中に赤ちゃん(人間)がいることが信じられなくて、うまれてきた我が子に会って「ほんとうにいた」と驚いた。ぴかぴかに光ってみえて「あたらしい」とも思った。 さっきまでわたしの一部だったのに、もう自分ひとりで存在できていてすごい。その驚きを、いまもまだ新鮮に引きずっている。そんな、あたらしい赤ちゃんがやってくるまでの、簡単ではなかった日々のことを書いていく。

最近の記事

ついにきた あらしいアカチャン

妊娠検査薬は空白を知らせつづける。 今年中にできなかったらあきらめるか、不妊治療に進むかを決めるつもりでいた。 あまり深刻に考えないようにしていたけれど、捉えようのない焦りとか侘しさみたいなものが、じわじわと喉のあたりに巻き付いている気分だった。 『今年中』の期限となる12月初旬。 お酒を飲む予定があり、念のために検査をしてみると、線が出ているように見える。 信じられないことがあったときに目をこするのは漫画の世界でしかありえないと思っていたけれど、ごしごしと目をこすっ

    • あたらしいアカチャンがくるまでの憂鬱

      自分が結婚を選んだことは意外だった。 いまだに「結婚してるんだ」と驚くことがあるほどに。 でも、わたし以上に驚いたのは家族だったかもしれない。 それまで奔放娘のプライベートに触れてこなかった両親は「この機を逃してなるものか」という血気に満ち満ちていた。笑顔よりも、真顔であった。 結婚を決めた理由はさまざまあるなかで、親孝行のためという発想は全くなかったけれど、当時父親が大病を患い「5年生存率は数パーセント」と宣告されていたことは、少なからず影響したかもしれない。(5年以上

      • ほんとうにやってきた あたらしいアカチャン

        家族の将来に「子ども」という存在がいるかどうか、深く考えないようにしてきた。 自分の身体的な問題とか仕事のキャリアとか、考慮することがいろいろとあったし、子を生んで養育していく覚悟と責任もまだ持てないと、配偶者との間でもなんとなく話題を避けていたように思う。 結婚生活に当然あるものとして、ただハッピーに子どもを持つほど楽観できない日本の未来や、妊婦と子持ちに寛容ではない世の中のことも気にかかっていた。 だけど、とてつもなく悩み、苦しんだり喜んだりしながらわたしは昨夏、子

        • 語彙力をあげるかもしれない「勝手に考察トレーニング」

          これは フェンリル デザインとテクノロジー Advent Calendar 2021 7日目の記事です。 コピーライターが、自分の仕事に対する評価でショックを受ける言葉あるあるを言います。 「なんか、どっかで見たことあるよね」 「でも!入れる言葉は決まってるし!文字数もこんなに少ないから表現できることは限られるやん?」などと、一旦は自分を正当化してみたりしますが、こういうフィードバックを受けるときは、自分でもあまり自信がないときが多いです。 言葉をどう組み立てるか、装

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        • ほんとうにやってきた あたらしいアカチャン
          3本

        記事

          味園ビル、あの駐車場で

          自粛生活がつづき日々の新しい刺激が少なくなったせいか、過去の出来事を思い返すことが多くなった。 もう何十年も前の記憶を掘り起こしては、恥ずかしさ、あるいは後悔のあまり気を失いそうになるからやめたい。 たとえば軽音楽部に所属していた高校生のとき、他校との交流バンドでの演奏中に、ギターのストラップが外れてしまったことがあった。 普段なら少し手を止めて付け直すのに、「他校のメンバーに迷惑をかけてはいけない」「ギターの音を止めてはいけない」という焦りから、片足を上げてギター本体

          味園ビル、あの駐車場で

          オンライン時代の “伝わる”文章コミュニケーション

          これは フェンリル デザインとテクノロジー Advent Calendar 2020 18日目の記事です。 実家に住んでいたころ、家族の洗濯物をたたんで各タンスに振り分ける役目を担っていた私は、家族からたびたび「私のブラウスは?」「俺のグンゼは!」などと、まるで盗人かのように洗濯物の行方を問い詰められることがあった。 ある日、お気に入りのタートルネックを探していた母が、例外なく尋問するテンションで迫ってきた。 「タートルネックのお母さんどこ?!」 心のなかで「それはあ

          オンライン時代の “伝わる”文章コミュニケーション

          振り返れば奴がいるかもしれないから

          最悪の事態を考え続けた半生だと思う。 世の中には、想像もつかないような凶悪な事件や不慮の事故が溢れていて、ニュースでそんな出来事を目にするたびに、「次は私の番」と不安になる。 これまでそんな事件に巻き込まれたことはないけど、用心するにこしたことはない。誰もがみんな「まさか自分が」と思っているけど、実際に事件は起こってしまうし、年間2人ほどがクマに襲われて命を落としている。 今日の帰り道、クマに襲われないという保証はどこにあるのか。みんなも最大限に注意しながら生きてほしい

          振り返れば奴がいるかもしれないから

          忘れてしまう私たち

          財布に246円しか入っていない。 銀行のキャッシュカードを紛失して、お金をおろせないから。 昨年12月上旬にATMでお金を下ろしたときにカードを取り忘れた可能性が高いけど、だいたい電子マネーで払うからお金をおろす機会がなく、気づくのが遅れてしまった。 最後にお金を下ろしたのは駅構内のATMで、駅の忘れ物センターと警察に問い合わせてみたけど該当のものはなさそうとのこと。 大阪府警のサイトで落とし物公開情報を検索してみたけど、検索結果が膨大すぎて探しきれなかった。人のこと

          忘れてしまう私たち

          東大阪 アンダー ザ ブリッジ

          今から10年ほど前、実家に兄夫婦が同居することになったタイミングで、家を出ることにした。 はじめての一人暮らしに選んだ場所は、実家からそう遠くない、東大阪のディープタウンと名高いエリア。近鉄電車が通る高架の近くだった。 ベランダを開けるとすぐ横にゴミ捨て場があって、身を乗り出すと、ルール無用に捨てられたゴミの山と、ヤクザの事務所が見える。 そんな部屋。 ユニットバスの中央に備え付けられた洗面台は絶妙に使いにくい蛇口の形状で、顔を洗うときにどうしても服がびしょびしょにな

          東大阪 アンダー ザ ブリッジ

          笑えばいいと思うよ

          悩んでも解決しないこと、そもそも悩む必要のないことを深刻に悩んでしまうことに悩んでいる。 夜寝る前に色々と考えこんでしまい、最終的に「なんでどうせ死ぬのに生きてるんや」などに行き着いて眠れなくなり、絶望感にさいなまれながらスマホを灯して“あなただけのタイムセール”で買い物をするような支離滅裂な日々。 家族、友人、同僚それぞれに悩みはあるやろうし、本人にとっては深刻なのやろうけど、やっぱり自分の悩みは誰よりも深いと思ってしまう。思いたい。 うんことちんちんしか歌詞に登

          笑えばいいと思うよ