日常に新しい意識をひらくバッグ mamerucu
vol.001 「パラダイス、内包する記憶」に参加していただいた作家が、作品とどのように向き合ってきたかを聞き、作品の持つ価値を探っていこうと思います。
小田切真由美 (mamerucu)
星ヶ丘洋裁学校で洋裁を習う。
その後、『目にうつった時、手にした時、少しだけ心が浮き立つようなふだん使いのものたち』をテーマにバッグを中心とした”ものづくり”を始め、
国内で展示販売を行う。
mamerucuのバックは、手にするといつの間にか自分の日常に入り込んで、いつの間にかそばにいるものになり、少しだけ自分の日常を変化させてくれる。彼女が考えるものづくりの考え方に触れてみたいと思います。
イメージのインスピレーションを具体化する
ー ものづくりをはじめるきっかけは何でしたか?
「日常生活の中で自分の気に入らないものが目に入るのが嫌で、「それなら自分で作ろう!」と思うことの繰り返しが、ものづくりの原動力でした」
ー 中でも、バッグ作りをしていくきっかけは何でしたか?
「洋服よりも、イメージをすんなりカタチにできたからですね」
ー mamerucuのバッグはどれもシンプルに見えて、実は複雑な形をしていたり、しっかりとした形のバックになっています。作る時にパターンをしっかり引くんですか?
「パターンではなく、イメージしたものをイラストにします」
ー えっ!?全部イラスト?
「イラストという平面から、立体に起こしていきます」
ふだんの無意識に、有意識を
ー mamerucuのバッグはどれも可愛くて、日常の中にすっと溶け込んでいくバッグでとても素敵だと思っています。何か作る時に一番こだわっている部分や、形をイメージする時に大切にしていることはありますか?
「無意識的に選びとるふだん使いのものに、”意識的になれる”要素をいれることです」
ー 日常の中の意識とは?
「無意識にできてしまうような日々のルーティンに意識を向けられたら”今”が充実する。その連続が何でもない日常を豊かにしてくれるように思っています」
内包する記憶のカタチは変幻自在
ー 今回at:10から、vol.001「パラダイス,内包する記憶」の展覧会のために『記憶を持ち運ぶためのフクロ』というテーマでもの作りをすることになりましたが、どのようにこのテーマを受けとりましたか?
「イメージからはじまって、イメージがイメージを飲みこみながらひとつになっていくのですが、変幻自在にカタチを変える”雲”のようなフクロに仕上がれば”記憶”を持ち運べそうな気がしていました」
ー 先ほど“今まで日常の中で意識をしていなかったところに意識を向けられるような存在”とお話しされていましたが、今回の『記憶を持ち運ぶためのフクロ』は、どんなところに意識が向いたらいいなと思っていますか?
「”記憶”」をどんどんフクロに入れて、変幻自在にカタチを変えてみる。 自分の中の”あたりまえ”を越えたところに...!」
寄り添うように。確かにそこに、在り続ける。
彼女の日常を大切に過ごしていこうとする心が、mamerucuの作品には詰まっていて、持つ人の日常と心の中にそっと寄り添ってくれます。
「記憶を持ち運ぶためのフクロ」は、そんな彼女の心がそっと感じとれて、使う人に新しい日常の扉を開かせてくれる、そんな気がします。
re collection −パラダイス、内包する記憶−
2022年7月8日(金)正午〜7月19日(火)正午
期間限定オンライン展覧会
大森準平 陶芸家
小田切 真由美 mamerucu
坂井規予 nokos à l’étage