【仕事】今時の世代の人の話


まえがき

毎年この時期になると、どこも新入社員が入ってきて、オリエンテーションや新入社員研修などを行うと思う。
かくいう自身も、数年前より新入社員の研修講師をするようになったが、大卒だと2001年、高卒で入社する子では2005年生まれというのだから驚きだ。
21世紀になって社会人になった人をミレニアル世代なんていうが(いわゆるY世代とされ、自身もここに入る)、ミレニアルはおろかその21世紀に生まれた世代(いわゆるZ世代)がついに社会にもやってきた。隔世の感である。
良く「昔は・・・」「最近の若いものは・・・」などというテンプレな事を思ってしまうような老害に自身もなってしまっている気がしないでもないのだが、毎年思うのは「僕が新入社員だった頃と比べたら格段にしっかりしている」事と、「良くも悪くもデジタルネイティブ」という事。今回は後者の話である。
※「〇世代」という記載は悪い意味でステレオタイプに捉えられかねないと思うが、便利なので「〇世代」という形で記載する。

キーボードを上手く操作できない!

あくまで自身の体感でしかないのだが、Z世代の人間にとっては、生まれた時点でインターネットが使えるという環境にあり、また学生時代とCOVID-19禍が被った結果として否応なしに国策やデジタルネイティブへの移行を強制されたからか、特にデジタル環境への適応能力が非常に高い。また、知りたい事を検索ですぐ見つけてくるため学習能力もあり、ネットリテラシーや炎上といった概念があるので、かなり優秀な印象だ。自身が同世代だった時に比べると格段にしっかりしている印象がある。

一方でPCという概念が「学校の情報の授業で使うやつ」「ちょっと本気で何かしたい時に買うもの」「大学で使うから買えと言われて買ったやつ(あまり触れてない)」になったようであり、数年前の新入社員の頃から比べても、明らかにPCに対する慣れがなくなっている。
それを痛感したのが、研修で各新入社員にPCを割り当てて一連の操作をしてもらったのだが、明らかにタイピング速度が遅く、マウスやトラックパッドの操作もどことなく不安げであった。(流石に画面をタッチして「動きません・・・」なんていう人はいなかったのは安心したが)

これは新入社員の人たちがどうという事ではなく、時代の変化と技術革新の結果である。指で直感的に操作できるデバイス(タブレットやスマートフォン)が増え、しかもそれ単体で出来る事が飛躍的に増えた以上、PCを触らなくても別に困らないし、何ならキーボードやマウスが直感性に欠けてもどかしいと感じるだろう。不慣れなのは当たり前である。
かなり前に週刊誌系のWeb記事で見た「フリック入力の方が早く書類を作れる」なんていうのはあながち間違いではないのだ。
以下はキーボードの操作とは違うが、その一端を記載している記事である。これを見ると、2010年代後半から上記のような問題が提起されていたようであり、なるほどそうだと思わされた。


インターネット開闢に立ち会ったY世代と、あって当たり前のZ世代。だけど本質は…

(自身も含まれる)Y世代がPCの普及と10~20代が被っており、PCやインターネットを使い出した世代ともいえる。2000年代半ばになれば一家に一台PCがあったくらいだろうが、それでも(教育外の領域では)まだ触れた事のない人もいたくらいだった。
10代の頃はメールを送っては楽しみ、チャットで寝不足になり、個人のページを持って掲示板の書き込みに一喜一憂し、パケットの使い過ぎや電話回線の占有で金額がえらい事になって親に叱られるといった具合である。
20~30代になると光回線が標準的になり、スマートフォンや無線Wi-Fiも普及し始める。ちょうどiPhoneを手にしたのがこのくらいで、同時にYouTubeやTwitter(現:X)、ニコニコ動画といったものが出てくる開闢に立ち会った時代だった。

それがZ世代ともなると「そもそもインターネットやSNSがある」「YouTubeが見られて当たり前」「物心の付いた頃から親はスマートフォンを持っていた」というレベルである。
基本的な連絡は(電話やチャットを含め)LINEやslack、discordに、個人ページはInstagram等のSNSに取って代われ、いいねを貰って嬉しくなり、パケット(ギガと俗称される)を使い過ぎ、こっそり推しに課金して親に叱られ…といった感じだとすれば、実際は手段が今時のものになって伝達速度が速くなっただけで、やっている事は変わらないようにも思う。

そういう意味では「現代の子は分からん」という常套句は、実際のところ彼らの身の回りの持ち物や手段といったものに惑わされてそう見えるだけで、共通の話題や悩みといったものはどの世代でも変わらないのではというのが、ここ最近考える事である。
幸いにして自身は趣味の領域でX~Z世代まである程度の広がりを以て繋がりがあるため何とか対応できていると思うのだが、言い換えるとそういったものがない人間から見れば、上下世代への対応が結構難しいのかも知れない。

研修の講師をするたびに、実際はあまり変わらない部分もあるという心がけと、それと当時に自身も戒めとして色々な技術や現代の人(ちなみにZの下はα世代というらしい)の思考を学習しなければならないと思った次第である。「昔は・・・」「最近の若いものは・・・」という老害ワードを言わないようにするためにも。


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