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2021年10月の記事一覧

武器の咆哮

 「お前、俺の言うこと聞こえてんの?」
 どれぐらい前のことだったか。ある日、訓練が終わった後でダグの兄貴が俺に聞いてきたことがある。
 俺は最初、聞かれていることの意味がわからなくて首を捻った。
 「聞こえてるぞ」
 「いや、今じゃなくて。転身してる時。お前、すっごくデカくなって高いとこ飛ぶじゃん」
 兄貴は空を指差して言う。転身……俺がシャチになっている時の話か。
 「その時も声は聞こえるぞ。

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迷子の慟哭

 灰色の雲が分厚く空を覆う昼下がりだった。砂利と砂が混じる道を、おれはイルカと一緒に登っていた。
 「おなかすいた」
 おれと手を繋いで、おれの少し後ろを歩きながら、小さなイルカはたどたどしくしゃべる。うん、とおれは振り向かずにうなずいた。
 「もうこれが最後の坂だ。これを登ったら、あとは町まで下るだけだから。お昼ごはんにはお家に着くよ」
 「きょうのごはん、なにかなあ」
 「何だろうね。まあ、何

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