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zealous0475
2021年10月24日 00:15
「お前、俺の言うこと聞こえてんの?」 どれぐらい前のことだったか。ある日、訓練が終わった後でダグの兄貴が俺に聞いてきたことがある。 俺は最初、聞かれていることの意味がわからなくて首を捻った。 「聞こえてるぞ」 「いや、今じゃなくて。転身してる時。お前、すっごくデカくなって高いとこ飛ぶじゃん」 兄貴は空を指差して言う。転身……俺がシャチになっている時の話か。 「その時も声は聞こえるぞ。
2021年10月17日 14:12
灰色の雲が分厚く空を覆う昼下がりだった。砂利と砂が混じる道を、おれはイルカと一緒に登っていた。 「おなかすいた」 おれと手を繋いで、おれの少し後ろを歩きながら、小さなイルカはたどたどしくしゃべる。うん、とおれは振り向かずにうなずいた。 「もうこれが最後の坂だ。これを登ったら、あとは町まで下るだけだから。お昼ごはんにはお家に着くよ」 「きょうのごはん、なにかなあ」 「何だろうね。まあ、何