一人の女性の生き様『ナグネ』
本書は国家や民族、宗教という枠組みを越えた1人の女性の話だ。彼女の生き様には心がぱっと晴れるような力強さがある。そして、彼女の人生を追うことは、日中韓の複雑な政治背景と、日本が忘れかけている負の歴史、また中国で弾圧されているキリスト教信者の見えざる困難を知るきっかけとなった。
著者は『絶対音感』や『セラピスト』を以前出版された最相葉月さんだ。駅のホームで中国からの留学生に偶然出会い、アルバイトに誘ったことが本書のきっかけとなった。その女の子は黒龍江省ハルビン市出身の朝鮮族で