『侘びぬれば 今はた同じ 難波なる 身をつくしても 逢はむとぞ思ふ』元良親王
《意味》
これほど恋に悩み苦しんでいるので、ことが露呈してしまった今となっては、もうどうなっても同じことです。それならいっそ難波にある「澪標」のように、この身を滅ぼしてでも愛を貫き、恋しいあなたとの逢瀬を果たそうと思います。
禁断の恋、許されぬ想いです。
この歌の作者・元良親王は、暴君と噂された陽成院の第一皇子です。天皇の子供ではありましたが、様々な事情により、自身が即位することはありませんでした。
なかなか政治的恵まれない状況もあったせいか、関心はもっぱら恋愛にあったよう