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私の読書遍歴〜スティーブン・キング〜

プロフには書いてないが私はかなり本を読む。
読書が好きだ、かなり好きだ。
だが 読むときと読まないときの波があるので、趣味とは公言できない気がしてさ。

過去ハマって読んだのは三国志、東野圭吾、内田康夫の浅見光彦シリーズ、池波正太郎、藤沢周平、D.R.クーンツ、スティーブン・キング。アガサ・クリスティや横溝正史は更に昔。
アメリカにいる間はとりわけ日本の活字が恋しくて、興味を持ったものを取り寄せて読んでいた。
トールキンのホビットの冒険や、指輪物語、ハリー・ポッターシリーズは当時映画上映されていて原作ともクオリティ高かった。ホビットの冒険はアラスカに旅行したとき持っていったのだが、長い旅行中二度も読み返した。面白かったというより、それしか本を持っていかなかったからである。失敗した。長い旅行の時は5冊くらい携えていかないとと思った。
人間目の前に限られたモノしかないと、それで過ごすしかないからね(「ミザリー」でポールがアニーに監禁され、書くことしか与えられないようなものだ(笑))

一度気に入った作家の作品は、作者が書いた順、つまり古い順に遡って読むのが私の流儀だが、最近はそこまで自分に厳しくなくなり面白そうだと思うものを心のまま選んで読むようになった。

前置きが長くなったが
その中でもキングは大好きだ。というか別格だ。
アメリカにいたときに日本書籍を扱うダラスの古本屋を訪れた。そこで「痩せゆく男」を見つけたのがキングの本の出会いだった。内容は、
主人公の不注意で、ジプシーの老婆を撥ね殺してしまうことから物語が始まる。社会的地位を持つ主人公は、人脈を使ってそれを揉み消すが、ある日ジプシーの仲間がやって来て彼に呪いをかける。巨漢だった彼はその日から、どんなに食べてもどんどん痩せてゆく。
呪いを解く他に助かる道はない。彼は街を離れたジプシーを追う、細い細い足取りを辿りながら。
奇妙なことに、物語を読み進むうちいつのまにか主人公を応援している自分に気づく。ジプシーに追いつき、ファミリーのひとりを捕らえ、脅し、また仕返しされ、それに一喜一憂する。感情移入してるのだ。…彼がジプシー老婆にしたことを忘れて。

それまでキングの作品はいくつか映画で見ていたが、まったく意識してなかった。
だがこの本を読んで、予想を遥かに超えた結末に衝撃を受けた。
それからである、スティーブン・キングに焦点を置くようになったのは。
身内や知人が何気なく話していたキングの映画を探して、見て、書籍を読み、友人がスティーブンキングを知っていると言えば覚えている限り印象に残った作品を挙げてもらった。
毎度の癖で、キングの著書を書かれた順に読みながら、私はどっぷりスティーブン・キングの世界に浸った。

この表紙、ちょっとアップは怖いんで切り取りました💦

クージョ。あまり人気のない作品かもしれないけど、これの印象も強烈だった。狂犬病に侵されて凶暴化してしまった犬、そこにたまたま来合わせてしまい、逃げられなくなった親子の物語。
これ、ほんとーに限りなく運の悪い話なんだよね。セントバーナードと言ったら大型犬、普段はとてもおとなしい犬なのにその変貌ぶりがおそろしい。
キャッスルロック郊外の修理工場、やってくる人もほとんどなく、炎天下の暑い暑い車の中で母親は籠城戦を余儀なくされる。車の外には猛獣と化したクージョが待ち構えている。ああ、考えただけで恐怖と渇きで死にそうだ。
キングは極限状態の人間を書くのがずば抜けて上手いと思う、自分自身苦しい時をたくさん経験してきたのだろう。
また、この物語の場所はスタンド・バイ・ミーの物語とリンクしている。
クージョ事件があった後、この修理工場を少年四人が通り抜けるんじゃなかったろうか。
キングの小説は、そんなところもあって面白い。

昨年の暮れ、思いたってペット・セマタリーの映画を見た。それまで書籍で読んでいて興味があったのだ。何年か前、妹にこの小説の筋を熱く語ったら、その内容、見たことあるぞと言われて(私の語り部能力も捨てたもんじゃない、)。
Amazonプライムで見たと思うが、何作も出ていて驚いた。もちろん全部見た。うぅむ。
やっぱり書籍のほうがいいな(^^;;と思った。
他にも語り聞かせた短編の内容が、映像で見たことがあると言ってたから キングの小説はどこまで映像化されてるのか、果たしてあれが映像化できるのか?と思ったが、近いうち探してみよう。

キングの作品はふとしたきっかけでまた読み返したくなる。
ごった返す思考の中で、ハッとさせられる鋭い言葉が混じっていたり、描かれた情景そのものが頭の隅に刷り込まれていて酷く、その場所に行きたくなったり…
映画を見るように、本の中でどっぷり思考トリップする。
まさにキングの意図するいっときの愉しみ、エンターテイメントだ。あー、だからスティーブンキングが大好きだ!

映画もこわい、小説ももっとこわいミザリー。

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