医師3年目が適応障害になり休職した話

医師3年目、後期研修の最初の9カ月は、あっという間でした。

局所麻酔の手術や生検をたくさんさせていただいて、手を動かす手技が好きなんだと気付きました。

最初から最後まで一人一人の患者さんを診ることができて、いろんなことを感じました。
何をすることが目の前の患者さんのためになるのか、日々悩みました。中には、「先生が担当でよかった」「先生に会えると元気になります」と言ってくださる患者さんもいて、それだけで少し救われたような気持ちになりました。
もっと、この人のためにできることをしたい、という気持ちになりました。

一方で、最後の1ヶ月は、自分のキャパ以上の業務量に心身の体調を崩してしまいました。

入院の受け持ち患者さんも外来も、きちんと向き合いたい。その一方で、働いても働いても患者さんと向き合いきれない感覚に陥っていました。

業務を続けていく中で、漠然とした不安を常に感じるようになりました。突如、「いなくなりたいな」と漠然と頭に浮かぶことも出てきました。(休んでからはそのような思考はありません)

有給に入った途端、不安感や身の置きどころのなさを、突然強く感じるようになりました。精神科を受診し、適応障害の診断で休職し抗うつ薬の内服を開始しました。幸い、2週間弱で改善を認め月末には仕事に復帰できました。

診断を受けた時は、精神的にしんどくて何度も泣きました。頭がよく回らなく、薄暗い世界に生きているような感覚でした。

すぐ近くで支えてくれた旦那、業務や精神的にサポートしてくれた同期や上司には本当に感謝しています。

私たちは医療を施していますが、時々患者さんに支えてもらっていると感じます。
復職してから、入院時から担当している患者さんに会いました。久しぶりの病棟に私自身も不安があり、どきどきしていました。
そんな中での処置でしたが、患者さんが、ぽつりぽつりと故郷のこと、結婚のことなどいろんなことを教えてくれました。休職する前はずっと不安そう、警戒心の強そうだった人が、心を開いてくれた時、とても嬉しかったんです。
心身を壊して失ってしまった自信は、少しずつ患者さんが与えてくれました。

自分の体や心と向き合うことは難しいです。働くのであれば、与えられた仕事はしっかりやりたいし、頑張りたい、そう思ってしまう自分だからこそ、自分の体と心に耳を傾けることを忘れずいたいです。

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