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春眠、暁を覚えず。(ポケモンスリープ始めました)

日本の流行りから少し遅れてしまったが、カナダでとうとう携帯を買い替えたことをきっかけに、ポケモンスリープを始めてひと月半ほどが経った。これが大変癒される。

ポケモンスリープ(通称ポケスリ)は2023年に発表されたアプリゲームで、寝ている時にスマホを枕元に置いておくことで自分の睡眠パターンなどを分析してくれる。

ゲーム内の目標は、ずっと寝ているカビゴンというポケモンの睡眠について調査する博士の手伝いで、仲間にしたポケモンたちに木の実や食材を集めてもらい、カビゴンご飯に与えることで成長を促す。正直、寝ることとカビゴンに餌をあげる以外にやることがないため、1日の合計プレイ時間は5分程度。育成ゲームは好きだが面倒くさがりな私にはぴったりのゲームだ。

ポケスリの影響もあってか、睡眠に関する人々の関心が増えたらしい。ポケスリでは、1日の睡眠時間の合計が8時間半だとポケモンが体力を全回復してくれる。「1日の睡眠時間が8時間半」というのはやけに長く感じるかもしれないが、当ゲームの監修もした筑波大学の柳沢正史博士によると、大抵の人の場合、8時間前後の睡眠をとった翌日に体の調子が一番いいと感じる人が多いのだとか。先生曰く、日中に電車や授業中にうつらうつらするのはただの睡眠不足からくる「気絶」なのだという。日本人は全体的に睡眠負債を抱えて日々パフォーマンスを落とした状態で生きていることになる。

「睡眠はとにかく量を確保しない限り、質を上げることはできない」という博士の見解にも納得がいった。自身の高校時代を思い返すと、自分に必要な日々の睡眠時間は7時間半から8時間の間だという体感覚はあった。が、寮生としてかなり過密な日課を日々をこなしていたこともあり、平日は平均7時間弱ほどしか眠れていなかった。そのためか授業中、よく気絶するように意識を失っていた。同級生からは「なぜ授業中に船を漕いでいるのに、そんなに成績が良いのか」と疑問に思われたくらいだ。が、なんて事はない、勉強のできる友人たちからノートを借り、寝ていた部分を写させてもらっていたお陰だ。(持つべきものは友人である。)

自分は座学も勉強もかなり好きだったので、本当は、授業も寝ることなく全て聴いていたかった。「できれば毎日6時間睡眠でも足りる体質でいられたら」と何度も願った。自ら選びとった環境とはいえ、今になって思えば、高校生が1日に必要な睡眠時間を取るのが絶対に不可能なスケジュールをこなし、その生活を監督する立場にある大人たちが誰もそれを疑問に思わなかったという点を鑑みても、自分だけを責める要因にはならない。今になっていろんな知識を得たからこそ、高校時代の自分の肩を叩いて「仕方なかったね」と言ってあげることができる。

すっかり大人になり、残業のない仕事をしながら一人暮らしをしている私は、気ままにいつでも好きなだけ眠ることができるし、眠る時間も起きる時間も自分の好きにできる。この自由裁量権がたまらなく嬉しく、私は今日も桜を眺めつつ惰眠を貪る休日を送るのである。全くもってサイコーに贅沢なことだ。


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