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イマ先生の「カレン!」に学ぶ。気持ちのいい言葉が育てる、あたたかい人間関係

「すごいね、こんなことができるんだ」「あら、ありがとう、うれしいわ」

3歳の息子を見ていると、道ゆく人や関わる人たちからとてもあたたかい言葉をかけてもらっている。ただ歩いているだけで、ただ笑うだけで、その場にいる人たちがくれる賞賛。

ふと、自分がこんなふうに褒められたのは、いつだっただろうと思いを巡らす。大人になると褒められる機会がグッと減る。でも、思い当たったのは5年前のインドネシア語学習の場面。割と最近だ。

夫と2人で渡航したインドネシア。子連れの海外赴任は子という繋がりのもとに割と友達を作りやすいけれど、子無しの帯同はなかなかハードルが高い。わたしが行き着いた場所は、大学だった。

大学時代、ドイツ留学をしていたわたしは、大学に留学生コースが存在することを知っていた。その留学生コースでインドネシア語をみっちり1年叩き込んだ。英語やドイツ語など、もともと語学は好き。日常生活ですぐ実践できる環境にいたことも大きい。

でも何より、インドネシア人のイマ先生がいつもニコニコしていて、わたしたちを全力で誉めてくれていたのだ。彼女の口癖は「カレン!」。ウィンクをしながら、サムズアップで親指を立てながら、いろんなポーズや角度で「カレン!」を繰り返す。

何を意味するかも分からず、「カレン!」という音が耳に馴染んだ頃、言葉の意味を知る。「すばらしい!」という意味だった。イマ先生は、わたしたちにインドネシア語を教えるという大前提の先に、「インドネシアを好きになってもらいたい」、「インドネシア語を勉強するあなたたちが大好き」というメッセージを全身で発していた。

時を経て、今度は私は日本語を教える立場になった。外国人の学生に授業をする。日本語を学ぶ彼らが私は大好き。日本を楽しんでほしいと心から願う。

私の頭の中にはイマ先生が鎮座している。下手に外国かぶれしてしまったはわたしは、「すばらしい!」「すごいね!」と拍手喝采。学生たちは、初めはキョトンと目を丸くする。でも、程なくして恥ずかしそうにしながらも、笑顔が溢れるようになり、授業が終わる頃には私たちの距離はグッと縮まる。

賞賛の言葉がうれしいのは、世代を問わず、万国共通のようだ。気持ちのいい言葉は、気持ちのいい人間関係を育む。

息子くんもたくさんの人から受け取ったあたたかい言葉を、将来誰かに渡してほしい。してもらった経験を、誰かに返す世界はあたたかい。

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