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セレクトセールで初めての馬を買いました

前回は馬主になったお話をさせていただきました。今回は競りのお話です。
7月11日に開催された、日本競走馬協会が主催する最大の競り「セレクトセール」に行ってきました。この競りは1歳馬と当歳馬(0歳)が上場されます。
過去のセレクトセールでは「日本競馬史上最強馬」と言われるディープインパクトをはじめ多数のG1優勝馬を輩出していて、日本で一番格が高い競りに位置付けられていて、年々落札価格も上がっていっています。

一歳馬の競りはセレクトセール以外にも、この競りを皮切りに7月26日からの日高の牧場がメインのセレクションセール、8月のサマーセールなどたくさんのセールはあるのですが、良血が揃い勝ち上がり率が高い馬を輩出していることから、セレクトセールは見たいと思っていました。
私は今年1歳馬を買わないと来年デビューできる馬がないので、一頭は持ちたいと思っています。当日競りの会場の飲食は無料、シャンパンも出るし、高級車やジュエリーも展示していて、とにかくお祭りみたいな雰囲気と聞いていたので、とにかく雰囲気を楽しもうと思って向かいました。

カタログと入場パス

競り前の下見

セレクトセールは二日前の土日と、当日の朝の上場前は下見が可能になっています。昨年のセレクトセールの平均が、ネットの情報から大体3500万〜4000万くらいという数字を頭に入れていたので、リザーブ価格(最低落札価格)が1500万円前後からの馬を調べました。
このリザーブ価格というのは、ノーザンの馬はネットに出ているのですが、社台の馬やその他上場予定の日高の牧場の価格はネットに載っていません。
知るためには電話で事前に牧場に問い合わせるか、上場の前に直接牧場に足を運んで下見をして聞くか、競り前の下見期間で聞くしかありません。

私の場合、予算が3000万までと決めていたので、種付け料金と昨今の傾向から値段が高騰しやすそうな種牡馬の産駒を外して考えていました。
牡馬と牝馬だと、牡馬の方が人気が高く競りも高騰する傾向にあります。やはり男の子は走ると、そのあとの繁殖に夢があるからかなと思います。

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上場予定の馬がいる厩舎

さて、下見の方法なのですが牧場ごとに厩舎が分かれていて上場する馬が牧場単位で固まっています。カタログを見て目星をつけている厩舎に行き、リザーブ価格を聞きながら馬を見せてもらいます。
どの牧場の方も快く答えてくださる方ばかりで、親切でした。

私の場合「1500万から考えています。他にもいい馬はいますか」と聞くと、「この馬もおすすめですよ」というふうに、何頭か一気に紹介してもらえました。
最初は毛並みや体格を見たり性格を聞いたりして、最後に実際歩く姿を見せてもらいました。
牧場の方から、「触ってみますか」とおっしゃってもらったので馬の首に触れてみました。
馬は暖かくて気持ちよくて、本当にかわいいです。

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ちなみに私は一人で回ったのですが、本来ベテランの馬主やたくさん所有していてチームで動いている馬主は、調教師や目利きができる人、獣医などを連れて色々見てもらいます。

でも正直、どの馬が走る馬か誰が見てもわからないと思います。ダメそうな馬はわかるかもしれません。私が見ただけでも「体重が軽いし、この成長具合では小さすぎる」とか「足が曲がってる」とか、そういう馬を避けて勝率を上げることはできるかもしれませんが、100頭いる中でどれがG1取りますか?という質問なら、「これ」っていう満場一致の回答はないと思います。成長過程でどんどん変わるところもあるそうです。
とにかく一番大事なのはフィーリングだと思います。

会場到着

そんなこんなで前日の下見を終えて、いざ競り当日へ。
当日は10時からスタートでしたが、早めの8時ごろ会場入りしました。競りが始まる前に預託予定先の調教師の方にお会いしました。昨日チェックした最終下見の中から特に気になる5頭を一緒に見て回ってくださいました。この5頭はどれも大丈夫そうとのことでした。

さて10時に競り開始。
1番から見ていたのですがあれよあれよと1,000万単位で値段が上がっていき最初からすごい金額に。一頭目父リアルスティールの男の子は1億8,000万で落札されました。すごーい。

スタート前の競会場の雰囲気


そのあとも10番目くらいまで見ていたのですが、不思議なことに思ったよりも競りの会場に人がいません。椅子はたくさんあるのに会場が埋まる気配がないんです。みんなどこにいるんでしょうか。

なんと・・・馬主の皆さん外で食事をとってくつろいでいました。なるほど。こうやってテントがあってテーブルがあるんですね。
よく見ればテントの中に、金額がわかるモニターもついています。


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テントがたくさんありました

テーブルクロスをしているテントは特別な席のようで、オーダーを取りに行くバトラーがついています。それ以外のテントではテーブルクロスこそはありませんが、皆さんテーブルを囲んでお酒を飲んだりカタログを広げて、お肉や焼きそばやホタテといったビュッフェを取ったり、談笑しながら楽しんでいました。
天候は晴れ時々曇りで、ちょうど良い気温で気持ちよさそうです。

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お肉や海鮮からスイーツまで

後に聞いてみると、昨年1頭以上購入した方や2年間で3頭以上購入された方は、競会場に指定席と外にクロス付きのテーブルが用意されるそうです。
そのテーブルの位置にもやはり下座上座があると思うので、過去の貢献度や購買実績が関わっていると思われます。
うーん、すごい。

私は新規購入者なので、立ち見でうろうろ。私が見ていた番号はほとんど100番台だったので待っている間は競会場を見学して、ビュッフェを食べてピクニック気分でした。
今年の競りも加熱していたので例年よりも進行が遅いとのことでした。
100頭終わるまでに4時間半もかかりました。
(進行表では13時半の予定が14時半)

ソフトクリームやミスタードーナツもありました
アストンマーチンも展示されています

いよいよ入札に参加

さて118番、やっと私が目をつけていた馬の番号付近にきました。社台ファームから上場していて父がドレフォンの牝馬です。競りは1,500万から始まり、みるみるうちに金額が上がり結果4,200万円で落札されました。
なんて、高い。
牝馬だからちょっと戦えるかな、と思っていたけどあっさり4,000万越え。今年はノーザンの馬が昨年よりも軒並み高いので、社台ファームの馬も全く値段が下がりません。

そうこうしている間に、私が本命◎でマークしていた5頭のうち一頭、121番デクラレーションオブウォーの牡馬の番になりました。この馬は男の子なのですがノーザン以外だったので、ひょっとしたら他の馬に比べたら安いかなと思いチェックしていました。
でも始まってみるとあっさり3,000万を超えて6,600万で落札。

この種牡馬は2歳が初年度産駒で、まだあまり実績もないということから人気はどうかなと思っていたのですが、しっかり人気の種牡馬のようでした。
エピファネイアやロードカナロアといった1,500万を超える種牡馬の子供は1億も2億も軽くいくことを知っていたので、まだ実績がない新種牡馬に絞っていました。ですがそう考えて競りに挑んでいた方が、多くいらっしゃったようでした。(みんな考えることは同じ)

さて、その後はチェックした馬が170番以降だったので暫しのんびり。今年の競りの勢いは、全く衰える様子がありません。むしろ去年よりも確実に上がっています。
生産者が設定したリザーブ価格に到達せずに引き取る「主取り」もほとんどなし。

私がチェックしていたノーザンの牝馬は女の子ですが、どの馬も当たり前のように3,000万を超えました。
むむむ。雲行きが怪しい・・・
このままだと今回は何も買えないかもしれない。これはノーザンと社台以外の、日高の牧場に切り替えないといい馬に出会えない!と思い、調教師さんと再度作戦会議をしました。

作戦変更

調教師さんに日高の馬でいい馬はいませんかと伺うと、直近だと今目の前のパドックを回っている168番の馬がいいんじゃないかということで、すぐに見にいきました。

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パドックには上場前の馬が歩いています

168番の馬は少し小柄な男の子でしたが母父がディープインパクトなので、その血を引く子なら今はこのくらい小柄でも大丈夫とのこと。父は今注目のレイデオロなのでこれも面白いんじゃないかとのことでした。

私はこれも縁かな、と思ってこの馬の競りに参加することを決めました。急遽参加したので、会場内ではなくパドック側から入札!
100万ずつ上がっていきあっという間に1,900万に。でもまだ予算内だったので2,000万の手をあげました。
すると競り会場の中の方がそこで降りてくれて、私が無事落札することができました!(きっと相手の方は日高の馬だから、予算は2,000万までと決めていたと思います)

無事落札!

本当に落札できちゃった!と驚いたのも束の間、競りが終わると即その場で売買契約書のサインを貰う為に係の方がやってきます。そのあと生産牧場の方もすぐにきてくださって「この度はありがとうございます」と名刺をくれました。
私自身が馬も、馬以外でも人生初の競りだったのドキドキして初めての流れでテンパっていました。

契約書にサインをしたら、次に馬と記念撮影を撮ることができます。
これがそのショットです。

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記念写真

初めての私の馬と対面!と、感動もひとしお。(ゆっくり顔を見たかったのですが)次々に落札された後の番号の馬たちがやってくるのでバタバタ撮影して解散!

この馬はノーマークだったので当日も前日も下見はしていませんし、他の馬たちみたいにゆっくり見ていませんでした。ですが、既に親バカ気味でうちの子はなんとなく、賢そうな顔をしているように見えます。
本音を言えばもうちょっと馬に話しかけたかった・・・。
慌ただしかったのですが、いい記念になりました。

そんなこんなでもう18時近くなり、一頭買えたので競り会場を後にすることにしました。この後もまだ70頭くらい上場馬が残っています。
朝の8時から本当に長丁場でした。
でも、蓋を開けてみれば高いからと諦めていた男の子が落札できて、父はダービーや天皇賞・秋を勝ったレイデオロ、母父は言わずと知れたディープインパクトという良血馬に出会えてよかったです。

セレクトセールは買える馬しか買えません。予算が10億あってノーザンの馬を7,8頭買います、という方ならともかく普通はそれぞれ皆さん予算があって狙った馬がその価値以上の価格になると手を引くのが普通だと思います。

一頭平均は昨年の5,128万を超える、5,797万円でした。
そんな大混戦の中、とにかく初めての競りを楽しめて大満足でした。
毎年デビューできる馬がいるように、買い続けられるように頑張りたいと思います。


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