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海外生活に嫌気がさす理由

私は家族用VISAでの生活に嫌気がさしている。

夫が持っているのは海外赴任する社員が持つ労働者用のVISA。私の家族用VISAはそのおまけみたいなものだ。

私はシンガポールに来て半年がたったころ、就職活動をした。シンガポールでは家族用VISA所有者でも、仕事をすることができる。就職活動は大学生以来でそれなりに緊張して挑んだのだが、面接に行って私はあっけにとられた。
「旦那さんの赴任はいつごろまでですか」
「旦那さんとその会社はあなたが仕事をすることを許可していますか」
と、私に関する質問ではないものばかりだった。
私の面接なのに、誰も私のことを見ていなかった。
志望理由とか熱い思いとかそんなもの必要ない。条件で選んでいるだけで、面接をするのは人並みのコミュニケーション能力を持っているかを見るためだけだ。

なんとか就職先を見つけたものの、その後政府により家族用のVISAの就業規則が変更され、勤め先の会社は私を雇うための条件を満たさないため、半年で仕事を辞めることになった。

楽ではない就職活動もたった半年のためにしかならなかった。

何か別の形で働けないかと思った。高額の給料が欲しいわけではないのだから、こどもにピアノを教えるとか、家庭教師をするとか、クラウドソーシングをやるとか、ハンドメイド作品を作って売ってみるとか。
シンガポールではすべて禁止である。政府の定める条件を満たした会社働く以外にお金を稼ぐことは家族用VISAでは基本的に許されない。

もう一度就職活動をするにも、あのみじめな面接を受けに行く気力がない。ましてや、半年勤めた会社の職場環境もよくなかった。そこで任される仕事もおまけ程度の仕事だった。会社からしても、シンガポール生活3年目の私などいつ帰国が決まるかわからない不安要素でしかなく、雇うメリットはほとんどない。

そうして私は仕事以外のことに時間を使うことにした。
趣味で化粧品検定1級を取った。
こどもの頃習っていたピアノの自主練を再開し、ラヴェルの水の戯れを練習している。
友人の助けを借りて、プログラミングの勉強をしている。
そして、noteを書いている。

悪くない。こういう時間を取れる時期は人生でなかなかない。
でも、会社で自分を評価してもらい、アイディアや自分の努力次第でいくらでも変えられる、日本の生活が恋しい。自国民として生きることほど、自由で希望と可能性に満ち溢れたものはない。

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