名探偵求む
「それで?今週は事件があったの?」
「なにもなかったわい」
ズルズルズルーっ!と拉麺を啜りながら目の前の大家が答えた。
「そっか。それじゃあ来週に二件か」
「ぶっ!げほっげほっ…!縁起でもないこと言うんじゃないわい!」
目の前でそんな大声で話さないでよ。僕の拉麺に唾が飛びそうだ。
「だったら一族総出で持ってる物件全部手放してよ。僕はもう勘弁して欲しい」
「無理に決まっとるわい!どうやって生活費と競艇代を用意しろと!?」
その結果僕は何回容疑者になったり、探偵役をやるはめになったか覚えているんだろうか?というか競艇でまともに勝った話なんて聞いたことないんだから、止めたらいいのに。
「それよか早くどこか有名なお寺辺りでお祓いしたら?一族で持ってる物件で毎週殺人事件起きるとか、何に祟られたのさ?」
「それがわかったら苦労はないわい…はぁ…」
こうやって毎週相談なり事件の事を聞きながら昼食を一緒に取るのはもう何回目になるだろうか。
「はぁ…僕以外に探偵やってくれる人がいたらいいのに…」
「それじゃあ!」
「はい?」
「わざわざ毎回お前さんに頼らんでもええように、それぞれのアパートなりマンションなりに一人探偵を住ませればよいんじゃ!そうと決まればこうしちゃいられんぞ!お前さんも手伝え!」
「いや僕これから大学の講義受けなきゃいけないんだけど。というか僕そこまで言ってないし」
「言い出しっぺはお前さんじゃ!」
はぁ…これは面倒なことになったな…
【続く】