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農家の朝は早い

 農家の朝は早い。

日の出と共に起き畑作業を始める。

ざっくざっくと畑を耕し、ばっさばっさと邪魔な枝や草を切り落とす。

今は夏の始まり、まだ太陽が昇りきってない内に作業を終わらせなければいけない。

ターン…とどこからか試し撃ちの音が聞こえる。

音の位置からして三軒隣の山田さんだろう。

「成長が早いなあっちは…」

こっちの畑は水捌けも良いし、肥料もしっかりやってんのにな…

試しに適当に作物を一本引き抜き、空に向けて引き金を引いてみた。

ズガン!っという音と共に弾が吐き出され、空へと消えていった。


俺の手の中にあるのは世に言う「マグナム」という銃の一種だ。



「俺たちの畑だって負けてないんだ…!」

振り替えるとそこには見慣れた作物がある。


キュウリのように生えたアサルトライフル

リンゴの木に良く似た木に成る各種手榴弾

ゴボウのように土の中で育つショットガン

枝豆的な鞘の中ですくすくと育つ弾丸

そしてネギのようにそそりたつマグナム


こんだけ主要な銃があれば少しは売れると思うんだけどなぁ。

「おーいにいちゃん!」

むかーしむかし、ひいひいひいひいひいひいひいひいじいちゃんが生きてたころどっかの国じゃ「畑から兵士が採れる」という言葉があったらしい。

「どうした?そんなに血相変えて」

だが今の時代は「畑から兵器が採れる」ようになった。

「山の向こうの田中さんちのミニ戦艦畑で…!」

これは超西暦1085年日本連合国ミュペペ県安斎町のどこにでもある兵器農家の良くある話だ。

「ばかでかい戦艦が採れたんだって!」

「はぁ!?そんなもん採れたら俺たちの作物はどうなるんだよ!?」

【続く】