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メルカリの経営する鹿島アントラーズの人材獲得

YouTubeのPIVOT公式チャンネルで,メルカリによる鹿島アントラーズ経営について,メルカリ会長で鹿島アントラーズFC社長の小泉文明氏がインタビューされている番組が公開されていたので見てみました.
https://www.youtube.com/watch?v=Emf3rMNJ7AI

興味深かったのが,「15:12 クラブ経営における規制」で扱われていた人材獲得に関する話(18:10あたりから).

これまでサッカー業界の採用は,縁故採用が多くてあまり一般に開かれたものではなかったところ,鹿島アントラーズではビズリーチなどで公募して優秀な人材を集めたそうです.

特に副業を受け入れることで,これまでジョインできなかったような人材も発掘できたとのこと.例として,データ分析にはGoogle社員,ソーシャルメディアにはInstagram社員,MD(マーチャンダイジング)にはZOZO社員を雇っていると言っていました.これまで,東京のいわゆる一流企業で働いているような人材で,鹿島アントラーズのファンなので貢献したいけれど,本職にしたいとまでは思っていないような人たちに対して,副業という選択肢を用意することで,そうした人材からの貢献を受けることが可能になったとのこと.


これを聞いていて,私が属している天文学業界でも,副業という選択肢を用意したらもしかして良い人材が集まったりしないかなとか思いました.「鹿島アントラーズ」を「天文学」に置き換えたら,同じようなロジックで優秀な人材を採用できたりしないかなと.アカデミアにいなくても天文学研究に興味のある方はそれなりにいる気がして,そんな中で例えばデータ分析に長けている人がいれば,昨今の大規模な天文データ解析などで重宝される可能性が低くないように思われます.もちろん今のままでも優秀な人材はいるのですが,業界内に閉じてしまっている印象なので,別の業界で活躍している方々によって新たな視点がもたらされることもあるかもしれないと思ったりするのです.


鹿島アントラーズがビズリーチで公募したときの特集記事がありました.
https://www.bizreach.jp/job-feed/public-advertising/v2n3spd/

また,実際に副業として採用された方の記事もヒットしました.インターネット検索したところ,この方はGoogle社員のようです.
https://www.bizreach.jp/column/career-story-04/


どれくらいの待遇で雇われているのでしょうか.小泉氏のインタビューでは,「サッカーは夢があるから給料が低くてもいい」とされてきたが,それでは優秀な人材がいても短い期間に燃え尽きて辞めていってしまう.優秀な人材にはしっかりと投資しないといけない,といった話もあったので,気になるところ.

あとこれについても天文学業界もある程度あてはまるのではないかなと思いました.他のアカデミックな業界もそうかもですが,特に若手の大学院生やポスドクは研究へのフルコミットが求められることが多い印象で,そうして指導教員やスタッフに使い倒された上で,一部の人たちはその先でアカデミアにテニュアを獲得できるけれど,そうでない人が大半で,それもあってか賢い人ほど早めに見切って別の業界に行く傾向があるような.


そんなことを書いていて,当たり前かもですが,副業人材もいいけれど既存の人材にもきちんと良い待遇を提供するべきだよなとも思いました.そういえば昨年末に名古屋大が,優秀な若手研究者を招くために給与上限を事実上撤廃するって発表してましたね.
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD2280D0S2A221C2000000/

大学の取り組みとしてやるのは良いかもですけど,大学に雇われている一研究者としてできることって何なのでしょう.私は興味・関心を共有できる人たちと一緒にわいわい研究を楽しむことができていたらそれだけでも良いように思うのですが,資金を集める必要があって,そのためには研究活動に関する何かをうまくマネタイズする方法を考えて人材に還元できたりしないでしょうか…,なんて.着地点の見えない記事ですが,これはこれで備忘録として残しておきます.


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