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オンライン開催の天文学会春季年会に参加しました

先週は日本天文学会春季年会に参加してました.前回に続いて完全リモートでのオンライン開催.

関係者の方々のご尽力のおかげで前回の年会からいろいろアップデートされていた印象でした.覚えている範囲でここに所感を残しておきます.ちなみに前回の所感はこちら.


タイムキーパー問題が解消された

何より良かったのは,前回不満に感じたタイムキーパー問題が完全に解消されていたことです.

前回の学会では,タイムキーパーは従来どおり講演開始からの経過時間をはかっていました.ただ,その共有方法は所定の残り時間になったときにベルを鳴らすことだけでした.そのため途中の経過時間はまったくわからなくて,しかもZoomの仕様のためかタイムキーパーの方の鳴らすベルの音は聞こえるときと聞こえないときがあって,なんとかならないかなぁと思ってました.

今回は,Zoom上でタイムキーパー役の方のカメラがピン留めされていて,そこに講演開始からの経過時間がデジタル表記で表示されていました.それにより,前回感じた不満は完全に解消されました.

具体的にどういうツールを使用していたかは知らないのですが,ググった感じこちらにあるOBSを用いる方法でしょうか.

OBSはYouTube配信や動画作成に有用という印象を持ってましたが,そんな使い方があるとは.


質疑応答用にSlackが用意された

あと良かったのは,講演後でも質疑応答が気軽にできるように公式のSlackが用意された点です.

Slack内に各セッションのチャンネルが用意されていて,そこに各講演のチャンネルがまとめられていました.研究会によっては各講演のチャンネルがずらーっと全て自動で追加されてしまうことがあったり,逆に全体アナウンスのチャンネルしか追加されなくて個別の講演は各自で探して追加する必要があったりして,いずれも使いづらいなと感じていました.学会のような規模だと今回採用されていた形が良い気がします.

もしくは,セッションごとのチャンネルの中で講演ごとにスレッドを作っておいて,そこに返信する形もアリかなと一瞬思いました.それですと各講演のチャンネルに飛ぶというひと手間が減って,各講演の質疑応答の盛り上がり具合をすぐに見れていいかなと.ただ,いろいろなユーザがいるので,スレッドがすでに造られていることを理解せずに別スレッドとして質問する人がそこそこ出てきてしまって雑然としてしまうような気がするのでいまいちか.やはり今回のような形が最適解なのかも.

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Slackに関連してちょっと意外だったのは,講演スライドをSlackに置いてくれている講演者がそんなにいないこと.セッションというか,分野の雰囲気?によるのかもしれませんが.あとで質疑応答する際とかにちょっと見返したいなと思うことは多々ある気がするので,ダイレクトなリクエストが届いてなくても,みんなもっと置いてくれたらいいのに.

ってか,講演動画もアップロードしてしまって良いような気もしましたが,リアルタイムでの学会を録画する形式だと黒歴史が残ってしまう恐れがあるからいまいちか.

極論になってしまうかもしれないのですが,前回も記したように私は年会を含む研究会の類の多くをオンデマンドにしまっていいんじゃないかなと思っています.講演者はあらかじめ作っておいた講演動画をアップロードしておいて,参加者はその中から見たいものだけ見てSlackなどで質疑応答する,っていう形式.

リアルタイムだと聴きたい講演の時間帯が異なるセッションでかぶってしまってどちらか一方しか聴けないとか,興味のない講演が終わるのを待たないといけないとかいった事態があっていまいちに思うことがありますが,オンデマンドならそういった問題は生じないので.リアルタイム学会を録画することによる黒歴史創出の恐れもなさそう.

ただ,講演動画の作成が大変とか,講演直後のリアルタイムでの質疑応答ができないとかいった不満は出てきそうな気がします.あとオンデマンドにしてしまうと強制力がないというか,イベントに参加している感がないというかで,結局ほとんど見ないっていう傾向があったりするでしょうか.わからないけど.

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セッション直後に議論の時間が設けられた

今回アップデートされたことのなかでひとつだけ不満があったとすれば,午前と午後の各セッションの直後に設けられていた10分の議論の時間.

これまでのオフラインでの学会では,各セッション後に講演者に直接質問しに行くことができましたが,オンラインではそれが気軽にできませんでした.おそらくそういった双方向やり取りの機会を作るという趣旨で設けられたのが,今回の議論の時間だったのかなと思います.

人によっては今回の議論時間を歓迎している人もいるのかもしれません.ただ,私はわざわざ参加者全員で共有する必要はないかなといった印象を持ちました.中にはいくつかの講演を組み合わせて興味深い質問をしている人がいて,それは共有する意味を感じました.しかし,多くの質問者は,講演直後の時間が足りなくて聞けなかったのですが...といった感じで始めて,それほど重要ではない質問をしていました.それ後でSlackで聞けばいいじゃんっていう.言葉強いかもですけど,みんなの時間を奪っていることになんで気付かないんだろうっていう.さらには,Slackにも書いたんですけど...,とか言って普通の質問をし始める人もいて,Slackにもう書いたんなら回答待ちなよっていうネガティブな印象を持ってしまったような.まぁ,私みたいな人はさっさと退室すればいいんでしょうけど.

もしこれまでのオフラインでの双方向のリアルタイムなやり取りに近づけたいなら,今回みたいに全体の議論の時間を設けるより,講演者分のブレークアウトルームを用意しておいて,講演後に自由に行き来して質問できるようにする,といった形の方が良いんじゃないかなぁと思いました.Slackで十分かなとも思いますけど,何度かイテレーションを必要とするような込み入った質問はリアルタイムでやってしまった方がいいですよね.あとリアルタイムの方がお互いの印象には残りやすい気もします.

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今後の年会にも期待

そんなわけで,春季年会に参加した所感でした.参加者がそこそこいるのでいろいろな意見があって運営側は大変な気がしますが,それでも試行錯誤しながら改善していこうという姿勢が見られたのはとても良いことのように思いました.

次回もオンライン開催なら,ぜひオンラインでの懇親会の企画も検討してほしいところです.個々人でやれよって話かもしれませんけど,オフラインでやってたときも懇親会で久々に会ったことがきっかけになってそのまま一緒に飲みに行くとかってありましたよね.おそらく学会公式のオンライン懇親会もそうした役割を担えるように思うので,コミュニティ内の交流を促進する上で意味があるように思います.学会に限らなくても大人数でのオンライン懇親会の事例はそこそこある気がするので,いろいろ試行錯誤することにはなると思うのですが,過去の事例をうまく参考にして実施してみてほしいなぁと思いました.

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似たような規模での懇親会の事例はすぐには見つからなかったのですが,他の学会についての事例についてはNoteで検索したら興味深い記事がいろいろヒットしました.懇親会に限らず学会自体もまだまだ改善できる点があるかもしれないので,他の学会の良いところをうまく取り入れて,より良いものにしていってほしいところ.


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