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文学と私と

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2020年7月の記事一覧

日英の言語における主体設定の比較〜芥川龍之介『蜘蛛の糸』を例に〜

大学生になりたての頃授業で書いた考察からそのまま抜粋、転載。 【概要】《「わたしは公園に行き、そこに野良犬がいるのを発見した。」なら主語である「わたし」の一連の動作として納得のいくドイツ語におさまるが、これでは、無数の偶然からなる渦に巻き込まれて、かたちのない期待やかすかな驚きを味わいながら、次に何が起こるかわからないけれど多少のんびりかまえている、という感じが出ない。もしかしたら野良犬はわたしが来るのを知っていて公園にいたのかもしれない。また、そこまで行かなくても、いろい