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文学と私と

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2020年6月の記事一覧

古書店にて

地元で典型的な古書店を一軒見つけた。神保町にあるようなこうした古書店は地元ではあまり見かけないと思っていたのだが、自分の行動範囲の中に一軒そうしたものがあるのを見つけた。 入り口を入ってすぐ横のスペースに全集や長編の書籍が巻を揃えた状態で括られているのがいくつもうず高く積まれている。私はその群の中に「日本の工芸」と書かれた背表紙の並びを捉えた。値札がわりの小さな裏紙には赤いペンで「800」と書かれてある。ゼロを一つ見間違えたのだと思った。全部で11巻に及ぶそれなりの規模の全