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読者に聞きたいホラリー占星術 実践ガイド

「ホラリー占星術 実践ガイド」は質問のYES/NOを導くことに特化したホラリー占星術の指南書です。特徴はアプローチがこれ以上無いくらいにハッキリしていること。占星術書というよりも犯人探しのゲームや、推理小説に似ているかも知れません。
本書について、自分と同じく古典的なホラリー占星術師として活躍する西澤あさひさんとスペースでお話をしました。本稿は、スペース音声の記録、スペース後にリスナーからもらった質問とその答えを掲載し、ホラリー占星術の理解を深めることを目的としています。

まず著者と自分の関係について紹介します。

著者 ペトロス・エレフセリアディスについて

著者ペトロス先生(以下、ペトロス)は法学とフランス文学を学んだテッサロニキ在住のギリシャ人男性。英国のクオリファイング・ホラリー・プラクティショナー講座(QHP)筆頭講師、自分がホラリー占星術を学んだ先生です。facebookで新作・旧作に関わらず映画評論を続ける大の映画ファンで、小説、物語が好き。短く簡潔な解説が特徴で、メールや課題回答に対するコメントは常に短文です。メールの返信が驚くほど速く、いつも数十分から数時間で最初の返信があります。
QHPは古典占星術復興運動の立役者のひとり、オリビア・バークレイ(Olivia Barclay)が、古典的なホラリー占星術の復興と教育を目的に創立した今年で40年を迎える占星術講座です。このQHP、簡単には生徒を卒業させません、と創立当時から公言するちょっと変わった校風で知られています。古典ホラリーを独学で習得したと自負していた自分は、1年で全過程を終わらせる気でいました。ところが、ふたを開けてみれば、卒業まで3年近くかけてしまいました。

QHP創始者オリビア・バークレイの著書「ホラリー占星術 再発見」
自分にとって良くも悪くも曰く付きの書。2000年頃に購入。

初作「ホラリー占星術」を翻訳した理由

ペトロス最初の著作「ホラリー占星術 運命を学ぶ実践的方法」はホラリーチャートの事例解説書です。一方、本書「ホラリー占星術 実践ガイド」は、読み解き指南書。先に書いたことからも明白ですが、自分はできの良い生徒ではありませんでした。もちろんペトロスとQHP校長の著作は読了。でも、途中から改めて全文翻訳に取り組みました。理解が足りていないことを思い知ったからです。きちんと書かれている文章であれば著者の意図を汲み取ることができます。ところが、人の教えは、分かった気で接すると「部分的にしか理解しない」という盲点を常に孕んでいます。10年以上も独学したんだから、という驕りが障害となっていました。遅まきながらそれに気づき、日本語で読み直す目的で翻訳したのが初作「ホラリー占星術 運命を学ぶ実践的方法」です。

「ホラリー占星術 再検証」バーバラ・ダン(QHP現校長)著
様々なホラリー技術を解説する600ページの本。QHPの教科書に相当します。

「ホラリー占星術 運命を学ぶ実践的方法」ペトロス・エレフセリアディス著
本書を一読してからQHP講座を受けました。

日本語版「ホラリー占星術 運命を学ぶ実践的方法」

実践ガイドの日本語版

本書「ホラリー占星術 実践ガイド」の英語版が刊行されたのは2021年春。卒業の期日はその年末と決められていました。ところが、その時「ディプロマコース」10課程のうち、自分がいたのは第3課程。出された出生図とホラリーの課題から、先に進めなくなり非常に困っている最中でした。その時期に発刊された本書はまさにわたりに舟となったのです。自分にとってはメールでのやりとりの限界だったのかも知れません。
本書はホラリーに躓いたときに明瞭なガイドラインとして、必ず読者の助けになります。そう考えると本書を必要とする人は、まだ少ないのかもしれません。時期は数年ばかり早いかもしれないけど、体力が充実している今のうちに日本語版を出せれば最高です。太玄社の今井社長に相談したところ、すぐにOKをいただき発刊となりました。

以上が本書と自分の関係、そして翻訳をした理由です。
スペース「読者に聞きたいホラリー占星術 実践ガイド」で、英語版原著も読まれた西澤あさひさんに、本書の感想をお聞きしました。大勢の方に聴いていただき、質問もいただきました。

スペース 読者に聞きたいホラリー占星術 実践ガイド

収録時間(50分)

スペース後の質問と答え

Q1. お二人にお聞きしたいのですが、ホラリー占星術の勉強をはじめてからどのくらいで実占を始めたでしょうか。 何件くらい練習が必要でしょうか。

A1. 西澤あさひ
河内邦利先生の講座で学びました。 古典占星術の基礎(ハウス、サイン、惑星など)の学習が終わり、ホラリーチャートを練習問題を実践しながら学習し、アスペクトやリセプションは実践の中で理解しました。 私自身が初めて鑑定を受けたのは1ハウスと7ハウスを使う対人問題を終了した時に、「恋愛限定」で学習中の者同士で鑑定を出し合うコミュニティに参加し実占を始めました。 何件ぐらいの鑑定が必要か?は、私は講座内で全ての課程を終了するまでに100件近くは練習実践がありました。 しかし、100件やっても同じチャートはなく毎度唸りながらの鑑定を続けています。 勘の良い方はもっともっと早く身につくのかもしれません。

A1. ぐら
実占に採り入れたのは、色々な本を読み始めて3年くらいからです。 100件の練習を目安にしましたが、実際には50件も満たないうちから実占を始めました。今は当時の乱暴さを反省しています。
そこから何年も経ってからペトロス・エレフセリアディス、バーバラ・ダン両先生に習い直しました。100件のチャートを読むよりも遙かに多くを学び「型」の大切さを痛感しました。
独学を否定しませんが短所があります。苦手なことを避けがちで、結果的に無駄や迷いが積み重なるリスクです。つまり件数より、どう学ぶかが大切だと思います。

Q2. 先生によって方針や教え方は違うということですが、ぐら先生とあさひ先生のお話はよく似ていると思いました。 互いに違うと思うところはあるでしょうか、 また他の本でこれは違う、と思うところはあるでしょうか

A2. 西澤あさひ
ペトロス先生の前回の『ホラリー占星術』、今回の『実践ガイド』を拝読し違いを感じるところは、表示星です。
ペトロス先生がアルムーテンを常に表示星をチェックする事に対し、私が学んだものは、アルムーテンを表示星に使う時は「勝利」に関わる質問の時だけです。例えば入試、コンクール、試合などです。
スペースの時にも興奮して話しましたが、トラインアスペクトがリセプションがないのに妨害のアスペクトにならないは、習った事ありませんでした。

A2. ぐら
たとえば、このスペースで登場したアンティシャ(対季)とアルムーテン(勝利星)、そして月の扱い方と重要度などです。
また著者の方針「選択を占星術に任せない」は他書との特徴的な違いだと思います。

Q3. モダンのホラリー占星術と古典式のホラリーは別と考えるべきか意見を聞きたい

A3. 西澤あさひ
別だと思います。 モダンホラリーに詳しくない為、間違えかも知れませんが、モダンがリセプションを使わないホラリーなのであれば、全く答えは変わるように思います。 その代わり、古典より柔軟な回答が出来るのだろうと想像します。

A3. ぐら
時代が変わり、占星術の前提も変わりました。ですから別物です。強弱、温冷、乾湿、穏烈、上下、左右、明暗、吉凶…こうした判定をくだす際に、現代の占星術がとっても使い勝手が悪いのは、すべてをニュートラルにして「良いも悪いも人(見方)次第」といった考え方を採用したからではないでしょうか。 著者によって異なるため厳密な線引きは難しいですが、現代的なホラリーでは占者の主観性と物語描写能力が問われ、古典的なホラリーは、占者がチャート上に示される状態を客観的に判別する能力が問われていると思います。

Q4. ホラリー占星術は気軽に迷ったことを占わない方がよいということでしょうか

A4. 西澤あさひ
質問の内容さえ具体的で、答えの出るものであれば占う事は可能だと思います。 ただ、質問の内容が質問者にとってより深刻でより具体的なものであるほど、ホラリーチャートは驚くほどハッキリとした答えを出します。 自分でも質問の意図がわからないような質問は出たチャートも曖昧で読めません。曖昧なチャートは質問も曖昧なケースが多いです。それを自分の解釈で無理矢理読むと間違った実践練習になってしまうのが心配です。 ペトロス式の表示星の評価の練習をやるのは良いと思います。

A4. ぐら
練習段階ではできるだけ沢山のチャートを経験するのが良いと思います。 また、お客さんの依頼ではなく自分自身の楽しみでやるのなら、何を占おうと自由だと思います。

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スペース 宇宙が質問にこたえるとき ホラリー占星術ひとり語り

収録時間(45分)

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