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未来予測テクニックの特徴

10の未来予測テクニック簡単解説

「予測占星術」(太玄社・2022年)を執筆した際に、古い予測テクニックを紹介しました。心理面を扱う近代の占星術と異なり、17世紀までの占星術は物理世界で起きる現象を扱います。実占で感じることは、現代の占星術が内側の探索に向いており、古い占星術は外側で起きる現象予測に向いているという点です。

プトレマイオス(2世紀)が著した「テトラビブロス」には人の死期「寿命」を占う方法が堂々と掲載されています。現代なら恐らく炎上案件です。でも、これは単に当時の人たちが現代とは異なる視点と期待から占星術を扱っていたということです。「いつまで生きるのか」「子供は何人か」「結婚相手はどんな人か」「裕福になるのか」「戦場で勝つか」古い占星術書にはそんな事例がたくさん載っています。

言うまでもなく物理的に起きる事柄の予測は「当たり外れ」が極めて明瞭です。「1人と言われたけど子供は2人いるよ」「27歳頃に少し年上の人と結婚すると言われたけど、32歳で未婚だよ」こうした明々白々な結果が出るため、古典占星術家は自然に当たり外れに敏感になります。内側の心的探索では「当たり外れ」よりも、占いから得られる第三者視点の言葉や着想が大切ですが、物理世界での実現性を問う占いでは事情が異なります。これは、古い占星術を学ぶ際に覚えておいて良い事柄でしょう。

予測テクニックの種類

本書で主に扱った予測方法はプロフェクション、ソーラー・レボリューション、プライマリー・ディレクション、セカンダリー・プログレッションの4つです。4つの基本的な使い方と、5名のアーティストの出世作を事例に読み方の解説をし、用法に重点を置いた構成としました。
実は他にも沢山の予測テクニックがあります。また、それぞれに予測方法や、予測対象、予測期間に違いがあります。ですから、占星術師は鑑定時の質問に応じて、テクニックを選ぶことができます。

予測テクニックを大きく4種類に分けてみましょう

質問系:ホラリー占星術
進行系:プロフェクション、ソーラー・レボリューション、ルナ・レボリューション、プライマリー・ディレクション、セカンダリー・ディレクション
周期系:ゾディアカル・リリーシング、フィルダリア
進行周期系:ディストリビューション

質問系はホラリーのみです。明瞭な実現性を問う質問に向いています。進行系は、その名のとおり出生図を進行させて読むテクニックです。毎年の変化や特定の日付の質問に向いています。周期系は出生七天体の固有周期を使い、特定の日や時期がどの様な状態の期間に置かれているのか、その吉凶や特徴を読むのに向いています。進行周期系は上記ふたつの特徴を兼ね備えています。

最も当たる予測テクニックはどれ?

質問系のホラリーを除くと、「人によって異なる」が現時点での回答です。プライマリー・ディレクションは、人生の出来事と同期する事例を多く見ます。それでも人によっては該当しない、あるいは重要な出来事を示さないことがあります。自分自身について言えば、プライマリー・ディレクションで仕事の転機や環境変化時期を高い確度で読み取ることができます。一方、現れない重要な出来事(身内の死とそれに伴う環境変化)もあります。また、人によってはセカンダリー・ディレクション(プログレッション)がより適切な時期を示し、別の人はディストリビューションに人生の多くの転機が示されます。ですから、もし予測テクニックを身につけるのであれば、数種類の方法と観察力の獲得を目標にするのが良いと思います。

予測テクニックの紹介

下記に紹介するテクニックは、古典伝統派の前知識が必要です。astro-seek.comの進化で多くの周期系予測の使い勝手が向上しましたが、前知識無しで見ても実用的ではありません。詳しい使い方は今後出版される書籍や講座をあたって頂くとして、本稿ではそれぞれの特徴について簡単な解説をします。

質問系

ホラリー占星術

特定の質問について、一般的には数時間から数ヶ月の範囲の出来事を占い、占星術師が質問を理解した時点のホロスコープ図を使います。
他の予測テクニックとの違いは、コーヒー占い、花占い、あるいは太古の肝臓占いと同様に質問を基点とする非常に古いタイプの占いという点です。長期間を対象とした質問には向かず、具体的な出来事を問うのに適しています。一般的には、曖昧な質問(向いている職業は?など)、実現化が分かりにくい質問(人の内的な変化)には向いていません。

進行系

プロフェクション

特定の1年間の吉凶判断、また主題となりやすい出来事を占います。
出生図をベースに12年で巡る周期を扱い、毎年の大まかな流れを読むのに向いています。とてもシンプルです。でも古典伝統派の読み方を習得すると、使い勝手の良さではトップクラスです。

ソーラー・レボリューション(ソーラー・リターン)

特定の年の吉凶判断、主題となりやすい出来事、特定の出来事の質問を占います。
特定の年の太陽が、出生時の太陽サイン度数に回帰した瞬間のホロスコープ図を使います。一般的に流布している太陽を用いる読み方は近年作られた方法で、本来はアセンダントを重視します。プロフェクションと併用することで使い勝手が向上します。

ルナ・レボリューション(ルナ・リターン)

特定の月の吉凶判断、主題となりやすい出来事、特定の出来事の質問を占います。
月が、出生時の月サイン度数に回帰した瞬間のホロスコープ図を使います。1年を占う際に、特定の月に注力する際に用います。

プライマリー・ディレクション

特定の年月日が得られるテクニックです。
日周運動で4分間の天球の動きを1年とみなし、4分後は1歳、8分後の天球は2歳の運勢を表します。一般的な占星術が使う黄経(惑星の運動)ではなく、赤経(地球の自転)を使います。古い方法を好む古典占星術師は、シグニフィケーター(出生図の太陽、月、アセンダント、MC、ロット)と、日周運動で移動する惑星(プロミッサー)のアスペクト形成時期を出来事の発生予測に用います。球面三角法を使った惑星位置算出には複数の方法があります。
特定のタイミングを予測、観測するのに向いています。

セカンダリー・ディレクション(セカンダリー・プログレッション)

特定の年に起きやすい出来事を占います。
出生時のホロスコープ図を1日進め、これを1年と見なします。30日後は30歳を表します。星々は毎日約4分ずつ早く昇り、アセンダント度数もおおよそこれに従います。従って、プライマリー・ディレクションで出生図アセンダントと進行天体(プロミッサー)がコンジャンクトする時期は、セカンダリー・ディレクションにおいても近似となります。

周期系

以下3つはいずれも一生のうちに現れる特定の期間を表示するテクニックです

ゾディアカル・リリーシング

一般的にはロット・オブ・スピリットが在室するサインから、サインのルーラー(7天体)が管轄する固有期間を参照するタイムテーブルを使います。

フィルダリア

出生七天体が人生の各期間を管轄し、それぞれの天体が支配する特徴や起きやすい出来事を占います。

ディセンニアルズ

七天体が順番に支配する10年9ヶ月を一単位期間とします。10年9ヶ月の内訳は太陽19、水星20、木星12、金星8、月25、火星15、土星30(単位は月)です。自分は実占で使用したことがまだありません。参考として掲載します。

進行周期系

ディストリビューション

書籍の章立ての様に、一生のうちに現れる特定の期間を表示するテクニックです。
数年の範囲で配分(ディストリビュート)される期間と、出生7天体とのアスペクト(パートナー)期間を使います。一般的には、配分される期間の基点として自分自身を表すアセンダント度数を用います。

予測テクニックの講座

こうした予測テクニックに必要な知識を学ぶ講座を2023年から開催しています。個別テクニックの概要と使い方を解説する単体講座と、基礎力を付けた上で解説する連続講座があります。
古典占星術特有の惑星の力を評価する方法や、概念(たとえばリセプション)を習得している方、あるいは習得のきっかけを掴みたい方は単体講座、基礎力をつけて応用を目指している方には連続講座をお薦めしています。
「古典占星術の歩き方」は連続講座で、2024年9月に再募集をします。この講座では出生図と重要な惑星の読み方、ディグニティとリセプション、そして予測技法(プロフェクション、ソーラー・レボリューション、プライマリー・ディレクション等)の習得まで網羅します。

ホラリー占星術は他のテクニックと少し異なります。これまで、中級者向けに重要箇所に絞った「ホラリー実占のとっかかり」講座を3回行いました。2024年5月から、入門から判定方法の習得を目的としたホラリー占星術の連続講座を開講します。

結び

10個の予測テクニックを紹介しました。周期系のテクニックは、表示テーブルを読むだけでもある程度の時期的変化が掴めます。理解する鍵は、自身のチャートのハウスとそのルーラー(ロード)と各時期の対応、そして実際の出来事との比較です。ホラリーを除いて、予測テクニックの習得は、さまざまな体験を経て実感を得やすい人生中盤以降の方が向いているかも知れません。言うまでもなく、予測テクニックは鑑定で大いに役立ちます。個人で使うのなら、未来を知ることよりも、自分自身が歩む物語を知る助けになるでしょう。

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