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世界のキモチを占う「世界グラフ」

もし世の中全体の気持ちを簡単に占う方法があるとしたら?もしかすると、そんな方法があるのかも知れません。世界のキモチを占う「世界グラフ」は10天体のアスペクトの毎日の変化を描いたグラフです。

1万人を対象とした調査によると、占いの結果を判断の参考にすることがあると答えた人は全体の13%だそうです。
結果が良ければ信じると答えた人は17%。
全く信じない人は26%。
占いを参考にする人と、そうでない人の割合は30%と26%。同じくらいということになります。

『占い』に関するインターネット調査・マイボイスコム株式会社実施(2016年)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000346.000007815.html

ハマりすぎて、なんでも占いに頼るのは考えものですが「たしなむ程度」のスタンスは心に適度な余裕(アソビ)を生むのではないでしょうか。迷信なんてアテにしないよという人でも、未来をちょっと先取りして見てみたい。「これからの運気はどう?」をたしなむ程度に見る、これも西洋占星術との付き合い方です。

世界を占う人々の歴史

さて、個人の運気のように、人類全体の運気もあるのだろうか?そんな風に考えたのは西洋占星術と出会い、数年経った頃です。ほどなくして「マンデイン占星術(以下、世界占星術)」の存在を知りました。文字通り国や地域の吉凶を占う方法です。主な用途は政治、経済、天候、収穫、戦争の勝敗。占星術の起源が世界占星術にあったという歴史に当時は驚きました。

マンデイン 英:mundane [mʌ̀ndéɪn] 世界、世界の、地球の、現世の、日常的な

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現在知られている最古の個人ホロスコープは2400年前のギリシャ名の人です。それよりも遙か昔、今から4,000〜5,000年前のメソポタミア(現イラク)には、何世代にもわたって星を観察し、国勢を占う神官がいました。彼らの手による天体観測記録は、戦争の勝敗、経済や収穫の予測と共に残されています。現代天文学の視点で見ても彼らの天体観測の精度は高く、国が巨額の資金を投じていたことがわかります。

その後、メソポタミアとエジプトから古代ギリシャに文明・文化が輸入された際に、天文学と占星術も伝えられました。例えば12サイン(星座)やエグザルテーションはメソポタミアで作られたものです。古代ギリシャ人は哲学・自然科学と融合させ、現代に伝わる占星術の基礎理論を構築したと言われています。世界占星術も同様です。

でも古典占星術の他の技法と同じく、世界占星術の習得は容易ではありません。そこで、12星座を読む様に、誰もが簡単に読める方法はないものかと考えました。
ポイントは「訓練を積まなくても読める」「実際の出来事と比較できる」「翻訳の必要がない」の三つ。そして生まれたのが「世界グラフ」です。10年前に開発し、調査と調整を現在も行っています。

誰もが読める「世界グラフ」ってなに?

正式名は「メジャーアスペクト総和移動平均」。憶えにくいので「世界グラフ」と呼んでいます。[1]

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上図は2020年に10天体が作り出すメジャーアスペクトを数値化したグラフです。主線(赤)と複線(青)で構成されています。セキスタイル、トラインが増えるとグラフは上昇し、スクウェア、オポジションが増えると下降します。

どう読めばいいのでしょう。
「グラフの上昇で気分は上がり、下がれば気分は下がる」これだけです。西洋占星術を真剣に研究されている方ほど「そんなバカな」と思われるかも知れません。世界グラフは複線(青)が主線(赤)を越える期間、強い兆候があると読みます。[2]

どんな仕組み?

正午時点のアスペクトの足し算、多少の掛け算と割り算、そして多少の変数で計算します。
太陽系では複数の天体が運動し、複数のアスペクトが時々刻々と移り変わりながら作られています。そのため日々変化するグラフに置き換えることができます。

アスペクト
西洋占星術ではアスペクトという考え方を多用します。アスペクトは二つの天体配置によって作られる角度です。
世界グラフで採用するアスペクトは次の5つ。
0度、60度、90度、120度、180度
また、アスペクトは緩和(調和)と緊張の2種類に分けられます。
緩和:60度、120度
緊張:90度、180度
0度は関わる天体と環境によって意味合いが変わります。

1年間のアスペクト変化(1分動画)
アスペクトが次々と作られていく様子をご覧下さい。猛烈なスピードで動いているのは「月」です。一方、土星よりも遠い惑星の動きは遅いです。赤線は緊張、青線は緩和アスペクトです。こうしたアスペクトの変化を時間軸で記録したのが世界グラフです。

吉凶は読める?

西洋占星術では緩和アスペクを「吉」、緊張を「凶」とも読みますから「吉凶」は読めるのでしょうか。もしそうならグラフが下がる時、不幸な事件や自然災害が増えます。でも、そうした関係性は見つかりませんでした。たとえば、下は2001年のグラフです。もし凶意を示すのなら9月11日付近で下落するはずです。

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分かったのは次のことです。
・吉凶を示さない
・大地震や台風、自然災害との関連性はない

関連するのは気分?〜事例紹介

当初は分かりやすい吉凶判断を想定していたのですが、後に「人々の気分と関係している」という仮説を立て直しました。たとえば、緩和に傾くと楽観、高揚、興奮を表し、緊張アスペクトが多い時は慎重さ、あるいは危険回避に動く。

これを客観的に観測する条件は二つです。

・比較出来る推移データ(株価、経済指標、事故件数)
・比較出来る記録がある(戦争や事件の勃発)

たとえば、投機家・投資家の感情が影響する株価が下落を始めるタイミング、底を打ち上昇するタイミング。あるいは戦争の始まり、大衆運動によって生まれる事件です。以下に事例を紹介します。

リーマンショック(2008年9月15日)
記憶に新しいリーマン・ショックが起きた年の株価(下・NYダウ)と世界グラフ(上)です。前半まで株価は高値をつけていましたが、世界グラフが頂点に達した後から株価は下落を開始。上昇に転じ、青線が連続して赤線を越えた9月15日、大手投資銀行リーマンブラザーズの倒産が発表され、下落は加速しました。

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ブラックマンデー(1987年10月19日)
30年前に起きた株価暴落、通称ブラックマンデー。好調だった株価は世界グラフの頂点で高値を付けた後に下落します。そしてグラフが底を打った直後の10月19日、株式市場を暴落が襲いました。

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歴史的事件と世界グラフ

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歴史的な大事件と関連しているという仮定で二つの事例を紹介します。

第二次世界大戦開戦(1939年9月1日)
1939年9月、ドイツ軍とソビエト連邦によるポーランド侵攻、そして英仏からドイツへの宣戦布告によりヨーロッパは戦場と化しました。青線が赤線を連続して突破し、グラフが上昇する期間に開戦となりました。
なお日本の参戦はこの2年後、1941年です。

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ベルリンの壁崩壊(1989年11月9日)
第二次世界大戦後、東西に分割されていたドイツの象徴「ベルリンの壁」が、押し寄せた民衆の手で破壊されました。直接的なきっかけは東側の政府から「東西の境界は廃止される」と誤って報じられたことです。この日から東西ドイツの分断は終わり、統一へと向かいます。この期間も青線が赤線を越えて上昇しました。

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天体の運行には周期性がありますから、占星術上の解釈ではアスペクトの変化と共に、緩和と緊張が周期的に訪れます。そして世界グラフの動きと、歴史的な大事件が重なることがあります。もっとも常に同期するわけではありません。たとえば1929年の株価暴落との関連性はありませんでした。また、世界グラフの一般公開はこの記事が初めてで、個人への影響がどの程度あるのかは定かではありません。

実際に使ってみた

今年初めて、世界グラフを株式投資に使ってみました。いくつかの経済指標が2020年の株価暴落を示し、暴落を予測する経済アナリストが少なからずいたからです。

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3月19日は緩和アスペクト、7月20日は緊張アスペクトの総和が年間で最多でした。[3] そこから、3月/7月後半を暴落時期と予測し、2月初旬に所有する株を売り払いました。2月後半から暴落を始めたので判断は間違ってはいません。でも、3月19日に上昇に転じる点は参考にしませんでした。緊張アスペクトが最多となる7月後半まで下がり続けると考えていたのです。その判断は間違っていました。2020年で最も多くのトラインとセキスタイルを形成する日を境に、暴落した株価は上昇へと転じたのです。

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一端暴落を始めた株価もいずれはどこかで止まります。この時期、米国政府は巨額財政投入を決定、FRB(米国連邦銀行)は0%金利方針を打ち出し、さらなる暴落を防いだという背景があります。それに加え、雰囲気が緩和し、高揚ムードのタイミングだったのかも知れません。

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結び

アスペクトの調査や研究は色々な人たちによって行われており、世界グラフもそのひとつです。ある程度の相関性から一定の信頼は置いています。でも前述した様に関連性が見られない時期もあります。また比較に株価チャートを使っています。でも世界グラフの上昇/下降と株価の関係も明確ではありません。アスペクトがプラス/マイナスに関わらず増えると、引き金になっている様に見えるだけだからです。ですから過去の検証以上に、リアルタイムな調査が必要と考えています。「これからの運気はどう?」をたしなむ程度に見る、そうした付き合い方も忘れてはいけません。結局のところ相手にしているのは人間が到底理解しえない謎に満ちた世界。できるのは、天体がときおり見せてくれる微笑みを受け取ることだけだからです。

符章

世界グラフ・ルール概要
・プラス値:セキスタイル(60度)、トライン(120度)
・マイナス値:スクウェア(90度)、オポジション(180度)
・コンジャンクト(0度):プラス/マイナス値両方
・採用天体:10天体(太陽〜冥王星)
・オーブ外でもサイン間のアスペクトを有効とする
・アスペクトはサインを越えない
・オーブ内のアスペクトは重視され、惑星別に重要度のパラメータを持つ
・各惑星は個別の重要度パラメータを持つ(太陽/月を1として0.3-0.7の範囲)
・土星以遠天体はコンジャンクト、スクェア、オポジションのみ考慮する
・ハウス/品位/リセプションは考慮しない
・計算基準時:日本時間正午
世界占星術(マンデイン占星術)記事
古典占星術で読む2020年 四季図
https://note.com/astrogrammar/n/n0ac7c7989626
2019年秋分図で見る半年間
https://astrogrammar.com/interpretations/libra-ingress-chart-2019年秋分図/
1. メジャーアスペクト総和移動平均「MACD/GTPA」
The Moving Average Convergence Divergence of The Grand Total of Ptolemaic Aspects
2. 赤は過去27日間、青は7日間の平均値の移動を描いています。
3. 訂正
[10/16 2020 17:15 ]
(正)3月19日(誤)3月20日 /(正)7月20日(誤)7月21日
・ダウ平均株価チャートはブログ「ダウ平均マン」から拝借しました。この場を借りて深くお礼申し上げます。
・過去20年のアスペクト量の推移(3日毎)は下記でご覧いただけます。
https://astrogrammar.com/appendix/aspects-and-cycle/

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