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シュワルツシルト半径

みなさんこんばんは。

今日はブラックホールについて語りたいと思います!

何個か前のブログでとっても簡単に解説をしたことがありますが、ブラックホールはもっと深い!まだまだ語りたいことがたっくさんあります。これからもどんどん話したいことは増えていくと思うので、これはブラックホール第三弾ということで。

暗い宇宙の中でも最も「黒い」ブラックホールは、強い重力で時空を引き裂いて、ありとあらゆる情報を呑み込んでしまうため、宇宙の穴と呼ばれています。こんな「普通」とかけ離れた天体は、今の科学技術をもってしても、まだまだで溢れかえっています。😬

でも、だからこそ、ブラックホールは面白いんです!いろんな「極端な性質」をもっているこの子の真実を知ろうと思ったら、慣れているいつもの感覚、考え方を一旦忘れて想像力をたくさん働かさなければいけません。

物理学者さんたちは数式と睨めっこしてるだけではありません。誰にも思い付かないようなアイデアをぴこん!っと思いついてしまうような想像力、発想力をもっているのです。

全ては紙とペンから始まった

天体の研究はふつう、観測から始まります。望遠鏡を使って、たくさんデータを取って、星や惑星、星雲などが発見されてきました。

しかし、ブラックホールの場合は逆、なんです。

なんと、観測より先に計算によって存在することが推測されたんです。ブラックホールは光を出さない天体のため、観測によって発見されるのは極めて難しく、夜空を観察していたら偶然見つかった、そこから研究を始めよう!とはなかなかならなかったみたいですね。

そこで、数学の力が発揮されました。

どんな数学が使われたのかをちょっぴり紹介したいと思います。簡単に!

まず、地球上のロケット🚀を想像してみてください。実は私、まだ人生でロケット発射を生で見たことはないんですが、きっとすごい爆音とともにものすごい速さで空を突き抜けていくんだろうなぁ、と思います。

ここで大事なのはこのロケットの速度

ロケットが無限の彼方へさあいくぞ!と飛び出していくには、ある一定の速度を越えなければいけません。

体力テストでソフトボール投げ⚾️がありますが、そのとき宇宙まで飛んでけ!って勢いで投げたとしても地面に落ちてしまいますよね。ボールの速度が足りなくて、地球が下へ下へとひっぱる力に負けて落ちてきてしまうんです。

ソフトボール投げの結果を無限大にしたければ、ボールを脱出速度よりも速く投げましょう。(?)

脱出速度(Escape velocity V esc)とは、大きな質量をもつ物体(天体など)の重力を振り切って、無限遠まで移動するのに必要な最低速度です。*無限遠ーつまり、重力の影響を受けないくらい遠いところ。

地球の脱出速度は毎秒11キロメートルくらい! なんと約マッハ33😦
だからロケットはあんなにたくさんの燃料を積んですごい速度で飛んでいくんです。

天体が重ければ重いほど脱出速度は速くなります。重力が大きいとより強い力でひっぱられるため、それに対応する速さでビューンっと動かなければ、落ちてきてしまいまうからです。

例えば、

月では2km/s
地球では11km/s
太陽では617km/s
・・・

こんな感じでリストを作りました。天体が重くなるほど脱出速度が速くなるのが一目でわかります。質量さえ分かれば、どんな天体の脱出速度も出せちゃうんです。でも、いろいろ数学で遊んでいるうちに、おかしなことに気づいた物理学者さんがいました。

🧑‍🔬:これって、脱出速度が光の速さよりも速くなったらどーなっちゃうの、、?

天体が一定の質量を超えると光よりも速い速度を出さないと脱出できない、と数学は言っています。

確かに、このリストには一方に質量、一方に速度があります。質量はどんな値にもなれますが、速度にはリミットがあります。

宇宙の最高速度は決まっているのです。

それが光の速さ

*「質量のある物質は光の速さ、またはそれ以上で運動することはできない」
(光の速さに加速するために無限大のエネルギーが必要になってしまう、という計算結果のもと成り立つ法則です。)

つまり、光すら抜け出せなかったら宇宙にあるどんなものでも脱出できません。

この結果から、物理学者さんたちは想像しました。

脱出速度が光の速度よりも速くなってしまうような質量を持った天体は
1)光を出さないブラックな天体であり、
2)その天体に一度着陸したら最後、何も脱出することはできない、
と。。。

ブラックホールの観測がまだできなかった時代に、イマジネーションと数学で理論上の天体を見つけ出したんです!

ブラックホールは、1783年に天文学者John Michell がこの天体の存在を計算から示唆してしてから約200年後、1971年に初めて実際に観測されました。理論から事実になるまで長ーい時間がかかったんですね。

ちなみに、ブラックホール自体は光を出さないため直接観測はできませが、間接的に観測することはできます。恒星がとんでもない公転速度で何も見えないところを回っていたり、物質がエネルギーのめちゃ高い電磁波(X線やガンマ線)を出していたら、それはブラックホールの存在を証拠付ける鍵となります。(ブラックホールの周りを回る物質は、強い重力に引き寄せられて光に近いスピードで回ります。高いエネルギーを持った物質同士がぶつかると摩擦で約10000000℃まで熱せられます(!)。そして熱くなった物質はエネルギーの高い電磁波を出します。)初めて観測されたブラックホールはCygnus X-1と呼ばれるブラックホールです。Cygnus X-1(はくちょう座X-1)が放出する莫大な量のX線と、その周りをものすごい速度で周る青色超巨星が観測されました。

今回はブラックホールはどんな天体なのかを探りました。謎に包まれたブラックホールが数学を使ってどのように発見されたか、脱出速度を使って再現してみました。
ブラックホールについて今回全部語ってやろう😤と思って書き始めたら全く一つの記事に収まりませんでした、、笑

次回はブラックホールがどうやって作られるのかについて解説したいと思います!

感想

脱出速度って、高校物理で出てくる基本的な物理なのに、ブラックホールの不思議に迫れてすごくワクワクしました!!
やっぱり数学って物理の言語みたいなもんで、物理の大発見を理解するためには数学を使いこなせるようにならないといけませんね!
でも、数学ができるだけじゃなくて、数学で出てきた答えを理解し、新しい問題に繋げていくのが大事ですね🤔数学の勉強頑張ります、、、、

Key Words:
シュワルツシルト半径(Schwarzschild radius)
どんなに小さく半径を潰したらブラックホールになるのか?と考えた時に出てきた半径の値。
事象の地平線 (Event horizon)
ブラックホールの境界線のこと。このラインよりもブラックホールに近づくと、脱出できなくなってしまいます。だから、事象の地平線より内側は観測が不可能で、何が起きているのか全く分かっていません。。!!

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