欽ちゃんとチャップリンとルックバックの話

注意:色々と確認せずに書いてます。発言やセリフはほぼうろ覚えで書いてますんで、ニュアンスだけ掴んでください。
あと、映画「ルックバック」についてネタバレします。
あと、漫画「ルックバック」って言っても良いんですが、映画がとても良かったので映画って言っています。
あと、俺の悪い癖なのですが話しが急に終わります(笑)

さて。
いま存命の日本の著名人でチャップリンに会ったことがある人が二人います。
一人は黒柳徹子。
アカデミー賞の授賞式の際に「日本の皆さんに何か一言」みたいなインタビューをしたそうです。

そしてもう一人が欽ちゃんこと萩本欽一。
既に隠居生活だったチャップリンの自宅にTVの企画で行き、4日目にしてようやく会うことが出来たそうなんですが、その際にチャップリンは欽ちゃんに
「いま次回作のことを考えてるんだよ」
と話したそうです。

欽ちゃんはその言葉を聞いて、引退した自分を寂しそうに見る日本のファン(欽ちゃん本人)へのサービスだったんじゃないかと感じたらしいです。(この話、検索しても出てこないんですが何かで聞きました)

そんな欽ちゃんの映画に「We Love Television?」というドキュメンタリー映画があります。

「進め!電波少年」のT部長としておなじみの土屋敏男が欽ちゃんの家をアポ無しで訪ね「視聴率30%超えの番組を作りましょう」と提案する事から始まるこの映画。
その時に欽ちゃんの口から出たのは
「いまちょうど考えてたのがあるんだよ」
でした。

チャップリンの逸話を知っていた俺がこれを見た時は、映画開始直後だったにも関わらずちょっと泣きそうになりました。
たぶん欽ちゃんの頭の中にはこの時点では明確な企画なんかはなくて、自分を慕って「30%取ろう」と言ってくれる人間に寂しい思いをさせたくなかっただけなんじゃないかと。

映画「ルックバック」にも同じ様なシーンがありました。
漫画を描くことが好きな小学生の藤野は同級生のライバルの出現によって筆を折ってしまうのですが、そのライバルが自分の漫画のファンだった事が卒業式当日に判明します。
小学生の主人公を藤野先生と呼び、なんで描くのを辞めてしまったのかと寂しそうに質問するライバルに、主人公はこう答えます。

「ていうか まあ・・・ あの
 ていうか今 漫画の賞に出す話 考えてて
 ステップアップする為にやめたって感じだけど?」

(文章で読みやすいように漫画とは改行位置変えてます。そして漫画のセリフから引用しているので映画版は少し違うかもしれません)

これを映画館で見た瞬間、「うわぁ!チャップリンだ!」となりました。

ファンは裏切れない。
ましてやそれが自分がライバルだと思っていた尊敬出来る相手であればなおのこと。
藤野は精一杯のファンサービスと、精一杯の強がりを見せたあと、不思議な感情のまま不思議な走り方で雨に濡れながら家路を急ぎ、卒業証書も放り投げて机に向かいます。

この漫画の作者はチャップリンの逸話は知らないでこれ描いたんだと思うんですよね。
なにせちょっと検索しても簡単には出てこないぐらいの話で、昔聞いた話として知っている俺も「もしかして何か俺の思い違いなのでは?」と思ってるぐらいなので。
ベースとなるような話を知らないで、オリジナルでこれが描けるってすごいと思うんですよ。
どうやったらそんな事が出来るんだろう? どうやったらそこまでキャラクターの心情をイメージできるんだろう? と不思議でしょうがありません。

と、いうことで映画「ルックバック」はすげえオススメなので是非見てください。

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