来年3月公開の映画の映画評「ダンボ」

来年3月公開予定のティム・バートン最新作「ダンボ」の最新の予告編を見かけました。

ティム・バートン監督の映画は映像を一目見るだけで「あ!ティム・バートンの映画だ!」って分かるような画作りがしてある。

デザインの話は完全に専門外なんで具体的にどうって表現しづらいんですが、色味とか、ライトの感じとか、構図とか、衣装とか、そういう色んな物をひっくるめて”ティム・バートンの映画”だと一発で分る。

でも、実は言うと、ティム・バートンの作家性ってそういう目立つ部分だけじゃないんですよね。
あの人、同じ構造の映画ばかり撮ってるんですよ。
一言で言うと「特徴的な能力を持った人が、その特徴によって周りから孤立する話」ばかり撮っています。

と、言うことで、ちょっとここで監督した映画の一覧を御覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3#%E6%98%A0%E7%94%BB

俺、ファンのくせに割とメジャーな「バットマン(1,2)」と「ビートルジュース」を見てないんですが、ほとんどが「特徴的な能力を持った変人が、その特徴によって周りから孤立する話」に当てはまると思います。

パターンとしては「人間の世界で異物が特殊能力を使って活躍する話」か「異世界に行った人間が変人扱いされながらも活躍する話」のどちらかが多いです。
ちょっと例をあげてみます。

【フランケンウィニー】
実写で撮られたデビュー作。
日本での公開は「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」と同時上映でした。
2012年にリメイクされてます。
主人公の手によっては一度死んだはずの愛犬”スパーキー”が蘇るのだが、近所の住民たちは「モンスターを見た」とスパーキーを迫害する話。
近所の住民たちに追われる辺りの表現はシザーハンズに凄く似ています。

【チャーリーとチョコレート工場】
たぶんアリスの次ぐらいにメジャーな作品。
ティム・バートンって独特の世界観を持っている割に、リメイク物結構撮ってるんですよね。
才能あふれるチョコレート会社社長のウィリー・ウォンカが一人の少年と知り合うことで家族とのトラウマを克服する話。
工場でのウォンカの登場シーンでイッツアスモールワールドが燃えるシーンが面白いです。
嫌いなんだろうなぁ(笑)

【アリス・イン・ワンダーランド】
日本での興行収入118億円。
「チャーリー~」が53億円らしいんで倍以上です。
ここでの変人は一番の常識人のはずのアリス。
その常識人のアリスも、普段の人間の世界では変人扱いされていると言う二重構造になってます。

【ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち】
現段階で公開された映画の中では最新作。
特殊能力を持ち、人間界から隔絶して同じ1日を永遠に繰り返しながら暮らしている”子どもたち”が世界を救う話。

と、言うことで4つ挙げてみましたが、普通の恋愛映画とか、普通のアクション映画とか無いんですよ。
敵か、味方か、そのどっちもかに「一般とは相容れない変わった奴」ってのがいて、その「変わった」部分で困難を乗り越える。
「猿の惑星」か「ビッグフィッシュ」辺りで気づいたんですが、これ何かって言うと、たぶん全部ティム・バートン自身の話なんですよね。

ディズニーでアニメーターをやっていた頃はとにかく無口で、同僚から口がきけないと思われていた(確か半年ぐらい)と言う逸話があるぐらい変人だったティム・バートン。
恐らく「ヴィンセント」に出てくるような、妄想癖のある、でも家族や周囲の理解は得られないタイプの人だったのではないでしょうか?

自分の異能のためにつらい思いをしながらも、その異能を生かして困難を乗り越える。
ティム・バートンの映画っていうのはそういう異能を抱えた人たちへのプレゼントなんじゃないかと思っています。

そういう視点で考えてみると、ちょっと見てみたくないですか?
最新作「ダンボ」。
耳が大きいことで笑われ、からかわれるダンボが、その耳で空を自由に飛ぶ話。
来年3月公開予定だそうですよ(笑)

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