高校3年 夏①IWGPのキングにはなれなかった文化祭
文化祭。
初日は例年通り、文化部の発表。
後輩たちの舞台を観劇。
クリスマス公演の時も思ったけど、本当にこの子たちの舞台は暖かい。
定期公演のときに得た動きによる表現や、動きを音にはめる技とかも使いながらも、僕のように泣かせようとか笑わせようと言った押し付けがない。
優しい、暖かい舞台だった。
これはこれで県大会まで行けそうな気がする。
あらためて、とても優秀な後輩たちに支えられていたんだなと実感した。
2日目は模擬店や出し物。
今までは演劇部の発表でまともに参加したことなかったから、ようやく初めてちゃんと参加する。
仲の良いメンバーたちで衣装揃えようぜ!という話になり、
俺、しょーちゃん、うのっち、きよぽん、副会長、ヤンキー、ディズニーなどでワークマンにいって、お揃いの真っ白いニッカボッカをゲット。
気分はIWGPのキング!それぞれタンクトップを合わせることにした。
ちなみに僕らのクラスは焼きそばの店。
僕はディズニーらと調理担当をすることになった。
家庭科室の電源が落ちてホットプレートが使えないというトラブルが発生したりしながらも、なんとかオーダーをこなしていく。
途中、2年生がクラスの出し物で俺を探し回ってるらしいと連絡が入る。
なんで?
借り物競争でもやってんのか?
そんな疑問が頭に浮かんだのも束の間、2年の子がチェキを片手に家庭科室まで来た。
"うちのクラス「希望の生徒の写真撮ってきます」ってのやってるんです。みっちーさんの依頼が何件か来てるんですけど全然見つかんなくて。ようやく見つけましたよー!"
とのこと。
え、なにそれ。
わざわざお金払ってまで俺の写真欲しいとかやばくね!?
もしかしてモテ期きてんの!?
うっひょー!
とか思ってテンション爆上がりしたけど、話によると3年生はまぁまぁ依頼来るらしい。
しかもお昼のおパンツ会のメンバーは目立つ人も多いから依頼殺到してるとのこと。
あぁ、ただおこぼれにあずかった感じやん。
どうせアレだべ?おパンツ会のメンバーコンプリートしようとしてる人が全員分頼んだ感じだべ?
俺モテるとか勘違いしてまじごめん。
穴があったらマジで埋められたい。
ややあって、見たことない制服のギャル集団がうちの店に来て、みっちーを探してるから店に来いと連絡が来る。
誰だろうと思って教室に行くと、合宿の時に仲良くなって、定期公演も観に来てくれたギャルの子達だった。
わざわざ1時間以上もかけて来てくれたのだ!
うわ〜ありがとう!!!
めちゃくちゃいい子たちじゃーん!
ちなみにこのギャルグループの中心にはいつも
歌唱力が半端ないみーちゃん、
事あるごとにパンツを見せようとしてくる汚ギャルのもんちゃん
そして、見た目めちゃくちゃギャルなのにすんごいピュアなアリ
の3人がいたのだが、僕は合宿で連絡先を交換してからアリとちょこちょこメールでやりとりをしていた。
クラスのみんなに「いつのまに彼女出来てたんだよー!」
とからかわれて照れたりとかしてみたり
でも、まんざらでもなかった。
滅多に会えないけど、やりとりを続けてることが密かな楽しみだったから。
なんか、それまで彼女なんて、、、みたいに思ってたけど、改めて恋愛を意識するようになった出来事だった。
諸々落ち着いて、クラスみんなでしょーちゃんのバンドの応援に行った。
普段、おちゃらけてるしょーちゃんとはあまりに別人。
彼は成績優秀だけど、進学せずに地元の役所に就職することが決まっていた。
今付き合ってる彼女とも結婚すんのかねぇ。みたいな話で盛り上がる。
バンドやってる姿はもちろんなんだけど
やりたいことを形にして、
将来も明確で、
半端なくかっこいいなと思った。
あぁ、おれはなにをしたいんだろうな。
演劇を取ったら何にも残ってなかった。
いまだに将来のことなんて何にも見えなくて
志望の大学も学部も決められず、悶えながら生きる僕。
しょーちゃんがめちゃくちゃ眩しく見えた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?