高校1年 春②ノリと勢いでオタクの巣窟へ

高校生活においては、家から四つも市町村が離れた高校だったので、知人がいることへの期待は皆無だったのだが

同じクラスに見覚えのある顔がいた。

彼はM。

中学時代、僕の中学は弱小バレー部だったのだが、そんな僕らの良きライバルだった弱小バレー部のキャプテンでエースアタッカーだった男。

デカくて丸坊主なのに、膝に分厚いサポーターを付けていて、丸メガネ。

さらにサーブを受ける時にやたらでかくて高めの声で

「いーっち、にー、さーん」

と掛け声を掛けていたことから、僕の同級生から陰で'ママさんバレー"と呼ばれていた濃すぎるキャラのあいつだった。

彼の中学は変態ばかりだった。

チームを応援する時も

"お前ら見てろよ DO! DO!

己の闘志でAhhhh!

圧倒的チカラでUhhhh!

DO! DO! DO! DO! DO! DO!

uhhhh ハァァァァァァァ!"

コレを読んだ人へ問いたい。

コレを読んで意味がわかった人がいただろうか。

わかるわけもない。

書いた僕でさえもわからないのだから。

これを部員全員で合唱している。(後から知ったが、これはMの同級生の四角メガネが勝手に作ったオリジナル応援歌らしい)

彼の中学は変態しかいない。

さて、そんな彼を見た僕は異国の地で唯一の知り合いを見つけて心が高鳴った。

すぐに打ち解けて、部活の体験入部の話になり

「何部にいく?」

と聞くと

「将来は役者になりたいから演劇部って決めてるんだ!」

とのこと。

ふむふむ、演劇には1ミリも興味がないがとりあえずこいつについてってやるか。

そんな気持ちで演劇部のある古い体育館へ向かった。


ここで補足だが、僕の通っていた高校には体育館が2つあった。

最新の設備が整って、バレーボールのコートを4面張ってもまだ余裕のある新しい体育館と

いつ作られたのかもわからないが、新しい体育館の半分くらいの大きさでコウモリやハクビシンも現れる、自然豊かな古い体育館。こちらはなぜか全面に分厚いカーテンがかかっていて、いつも暗い。

そして演劇部の活動場所は古い体育館のステージの上だった。

体験入部初日。

Mを先頭にステージへ行く。

先輩らしきギャルと、40代くらいにしか見えない見た目のおじさんが出迎えてくれた。

ギャルは2年生で、おじさんは顧問ではなく部長だった。

少しすると体験入部希望の一年生も10名ほど集まってきた。

ふと奥を見ると生徒会のイケメン三年生もいるではないか。

なんか思ってたより明るい部活なんだなぁ。部長はおっさんだけど。

それから部活の説明とかいろいろ聞いてると、奥からめちゃくちゃかわいいギャルがやってきた。

「え、こんなかわいい先輩いるんだ!」

めちゃくちゃビックリしたのを覚えている。

「わー!今年はこんなに来てくれたんだー!みんな入部してくれるかなー?」

「いいともー!」

ノリと勢いで入部を決めた笑

その時は知る由もなかった。

まさかここが後に、オタクの巣窟となるだなんて、、、

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