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大学1年 冬②週一なのにサイドメニューに昇格した男

ついにオシャレブランドでのバイトが始まった。

しかし、そもそも接客バイトが初めてだから戸惑う。

なんて話していいのかわからない。

しかも、大学生にはまあまあな値段のするファッションブランドだ。慣れない。

とは言え、やはりちゃんとしたブランドで働くということはめちゃくちゃ勉強になった。

このブランドはキレイめカジュアルウェアの他に、スーツも扱っている。

スーツを裏返すと、価格によって仕様が全然違う。

なるほど、高いスーツはこういう作りになるのか。

逆に安くするにはこういう作りもあるのか。

すべてが新鮮だった。

毎日が勉強。

毎日が楽しい。


ちなみに、このバイト先では

①スーツとカジュアルのある、オシャレブランド

②大人向けのスーツが得意なカジュアルブランド

③おじさん向けのブランド

のお店の運営をしていた。

僕とあべんはだいたい①か②のどちらかにはいる。

とりあえず①はわかりやすくオシャレで売りやすいけど、

スーツのつくりなどマニアックなところにこだわりがある②の店が僕は割と嫌いじゃなかった。

ちなみにお店のBGMはけっこう自由出来できたので、あべんがいつもオススメのCDを置いて行ってくれてたのを聞いていた。

さて、こうしてバイトを初めて困ったことが起きた。

"レストランのキッチンとの両立、マジできつい。"

あべんは僕より先にさっさと辞めるべく店長に辞めることを伝えに行った。あやつは賢いなと思った。

2人同時にバイトを辞めて、2人とも同じバイト先に行くだなんてめちゃくちゃ言いにくい。

く〜。

だが仕方ない。

言うしかない。

思い切ってバイト先にバイトを辞めたい旨を伝えに行った。

すると店長は開口一番に

「ちょうど相談したいことあったんだ!あべん君辞めるからホールに移ってくんない?時給上げるからさ」

おいおい。さらに言い出しにくいやん。

でも言わないと!

"実は、辞めようと思ってます。ファッションブランドでバイトすることになりまして、、、"

「お前もか!」

だよねー。

ただ、僕はファッションデザイナーになるために学校を辞めるか悩んでいたこと。ファッションの人に誘ってもらえて、とりあえず学校を辞めずに勉強させてもらおうと思ってることなどを真剣に話した。

店長は

「俺は夢もなんもなくてそのままレストランに就職した。やりたいことがあるなら応援するよ」

とめちゃくちゃいい言葉で納得してくれた。

「ただ、、、」

あれ?

「うちもスタッフが足りてるわけじゃないから、しばらくは週一でもいいから続けてほしい。服屋の仕事終わってからでもいいからさ」

と言われた。まぁ、それくらいなら全然かまわない。お金も稼ぎたいし。

そこで、普段は服屋でバイトして、週一で夜だけレストランバイトを続けることになった。

さて、そんなことでレストランバイトを続けていると、ある日今年の春に僕の通う大学に通うという地元の高校生が新しく入ってきた。

めちゃくちゃガタイが良いイケメンで、声が低音で福山雅治みたいなやつだった。

彼は、洗い場からスタートしたのだが、口下手な上に人見知りらしくてなかなか自分からドリンクを頼むことが出来ないで、汗だくなのにノードリンクで頑張っていた。

なんてかわいいやつなんだ。

そーゆーとこも愛されるやつだった。

それを見つけるたびにホールの人に言って彼の飲み物を準備してもらっていたら、やたらと懐かれた。

休憩時間に話を聞くと、どうやら高校時代からダンスをやっていたらしい。

これはうちのダンスサークルに入ってもらうしかない!

冬にも関わらず、4月からの下僕新入部員をゲットした。

僕もそろそろ2年生。

先輩になるんだなとワクワクした。


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