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高校2年 春③合宿でダンス無双

新入部員も入り、そこそこな部員数になった僕ら。

6月の定期公演を前にして、僕らにとってとても重要なイベントが待っていた。

それは毎年恒例の合同合宿。

県内中の高校の演劇部員が集まって、それぞれのコースに分かれて2日にわたって講習を行うというものだ。

前回は基礎のコースでパントマイムだったけど、今年はなにがなんでもやりたいコースがあった。

それは"ダンス"

僕もプロダンサーのレッスン受けたい。

そして、全国大会で見たようなダンスを取り入れた舞台をやりたい!

そんな思いでダンスコースにエントリー。

無事に当日を迎えることになる。


今回は高校からほどなく離れた温泉街での開催。

ダンスコースは基礎のアイソレーションから始まった。

身体を部分部分に分けて動かしていく練習。

これがむずかしい。

首を縦に、横に、前に、後ろに、それぞれ意識しながら動かしたことなんてなかったから、全く出来ない。

頭から、胸、お腹、腰、脚とひとつひとつ意識して動かす練習をしてから、リズムにのる練習。

アップ、ダウンなど音の取り方にも様々あるんだと知った。

そしてようやく振り付けにはいる。

単純なボックスステップも、アップダウンを入れることで一気にダンサーの動きになっていく。

ダンサーすげええええぇぇぇぇ!

めちゃくちゃおもしれえええぇぇぇぇぇぇえ!

文字通り、身体が動かなくなるまでとにかく踊った。

パワフルに魅せる踊りは、筋肉が大事だと知り、筋トレちゃんとやろう。と思い知った。

ちなみに、このクラスには全国大会に出ていた秀才の大ちゃんと同じ学校のホリジもいた。

彼は角刈りでおじさんみたいな老け顔なのに動きがキレッキレだったので、全体からも注目の的だった。

全体の練習をやって、そのあとはフォーメーションの練習のため、さらに細かなグループに分かれる。

前後に入れ替わったり、しゃがんだりすることで、視線を誘導できる。

めちゃくちゃ勉強になる。


この温泉地では前回のように大型のホテルとかはなくて学校ごとにホテルが割り振られるため、

ホテルに戻ってしまえばチーム練習とかは出来ない。

しかたないから昨年と違って僕は軽く個人練習をしたあと、

Mとの2人部屋に一年生を呼んで恒例の誰が好きなんだ大会を開催。

でも、一年生から面白い答えは出てこなかった。

真面目だ。

とても真面目だ。

もっとはっちゃけろよ!と内心思いながら、優しく見守った。


翌日は午前中簡単な練習をやってから、本番。

WILL SMITHのPump me upという曲を使ったショータイム。

ほぼ満席に近い観客の市民会館は客席が近く感じた。

爆音で音楽が流れる。

最初からフルスロットルで身体が大きく跳ねる。

まさに一瞬のショータイム。

曲が終わった瞬間、一気に心臓の音が響いて汗が吹き出る。

そして

これまで出た舞台の中で最大の拍手と歓声を浴びた。

ダンスサイコー!

徐々に増えていく他校の友達も味方にしながら、たくさんの人からの声援を浴びれている今の自分の姿があまりに嬉しくて泣きそうになった。

満足の行くステージが出来ることの喜びを知った。

定期公演でもダンスやろう。

そう思った。

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