大学1年 夏①人生初の合コン!?
夏休みに入った。
この頃にはパリピみたいな感じの人が周りに激増していた。
僕自身中身はパリピでもなんでもないのに、上級生とうまいことやってる僕を見た同級生のパリピたちがめちゃくちゃ集まるようになっていた。
環境って恐ろしい。
さて、そんな僕にパリピの中でも優しくて温和なタイプの長身イケメンから飲み会のお誘いが来た。
遠距離の彼女の家で友達誘って飲もうと思うんだけど、一緒に来ない?と。
よくわかんないけど、コイツはめちゃくちゃ好きだ。
なぜならパリピなのにとても温和だからw
そして地元に戻る直前。ギリギリ行けなくもない。
北海道離れる前の思い出にと行くことにした。
当日、待ち合わせの場所に行くと
長身パリピ
経営の講義で"将来社長になります!"といいきって教授から社長とあだ名を付けられたB-BOY
一年ながらスポーツカーに乗ってるボンボン
が待っていた。
男4人!?
ボンボンのめちゃくちゃ狭いスポーツカーで片道1時間以上の道のりを男どもが肩身を寄せ合って、パリピの彼女の実家に向かう。
パリピの彼女の家に到着。
北海道の中でもかなりの田舎で、とにかく星空が綺麗だった。
今日は親がいないからやりたい放題だとテンション高めなパリピの彼女。
なんかよくわかんないけど、彼女の友達も何人か来ていた。
麒麟の川島似だけどめちゃくちゃかわいい無口な女の子と
とにかくテンション高くてケバめな子と
お笑いに徹してるのか、やたらギャグ線ハンパない女の子がいた。
あれ、これ合コンってやつじゃね?
ふと思ったけど、こんなに遠くまで来てそっけない態度もさすがに失礼だ。
とにかくお酒を楽しむことだけに徹して過ごした。
アリのことを思うと、合コンと思われる環境にいることにとても心が傷む。
とは言え、ただの飲み会として考えるなら普通に楽しい。
なんだかなぁ。
そんなことを思いながら、場の盛り上がり役に徹することにした。
夜も老けてきて、パリピとパリピの彼女に呼ばれて部屋を出る。
「隣に布団敷いてるから、気に入った子がいたら自由に使ってね。みんなそのつもりみたいだし。ちなみにどの子がいい?」
え、マジか。そんな感じなの?
性に過敏な男子大学生にはあまりに刺激的な誘惑。
一瞬誰がいいかなとか頭をよぎる。
でも、違う。
ダメだ。
アリがいる。裏切れない。
「いや〜楽しく飲めたらいいよ、俺は」
そう言って部屋に戻る。
これが噂のヤリコンってやつか!いつになく心臓がドキドキしていた。
ふと冷静になってアリはどうしてるかなと思って携帯を開く。
寂しいと言った感じの長文がのメールが来ていたので、返信と外の空気を吸いに外に出る。
外は、星空が本当に綺麗だった。
こんなにたくさんあるんだ!というくらい数分おきに流れ星が見えた。
僕は地元でもここまで綺麗な星空は見たことはない。
引き寄せられるように、静かな夜空を眺めていた。
何にも考えなくていい時間は楽でいい。
生きてる限り、あらゆることが常に押し寄せてくるから。
ふと、アリに返信しなきゃと思い立って携帯を取り出す。
すると、ベッドロックに来てくれた看護学生のちーさんからメールが来ていた。
"夏休み明けて帰ってきたらまた遊ぼうねー!"
あっさりとした短文。
ズカズカ踏み込んできたりしないけど、適度な距離感で仲良くいられるバランス感覚。
さすが美人の良きお姉さんって感じ。
俺は弟ってところか。
なんていうか、やっぱちーさんは大人だなと思った。
将来やりたいこともあって、それのために必死に勉強して、そしてきっと数年後にはその夢を叶えているんだろう。
そういえば、ここはちーさんの地元が近かったはずだ。
「今友達から誘われて、ちーさんの地元街で飲んでます。ちーさんも来れたらよかったのに笑」
なんか、布団まで用意されてる女の子たちのいる飲み会にいることなんて笑い話もしても言えなかった。
そしてアリへの返信を打とうと、改めてメールを読み返す。
将来の不安。
寂しいこと。
部活も引退してバイトばかりしてること。
変わらない毎日のこと。
アリの描く日常のメールは、僕が初めて付き合った元カノに送っていたものにとてもよく似ている。
変えたい。でも変わらない。とりあえずこの生活を卒業まで続ける。
そして毎日同じ話の繰り返し。
様々なことを経験し始めて刺激の多い日々を送っていた僕には、少し退屈に思えてきていた。
僕はこの時、ようやく初めての彼女が僕と別れた理由を心底理解した。
いや、してはいけないものだった。
でも、せざるを得なかった。
改めて思う。
変わらない毎日を少し良くしていこうと思って生きてる人と、
環境を変えて変化の中にいる人は、
同じ悩みを共感できない。
高校生の頃、なにかのドラマで流れていたこの曲がずっと頭をこだましていた。
きっと、一年後にはこの悩みは解消されるんだろう。
アリも今は高校3年生。
来年には卒業だ。
でも、卒業したらどうする?
うちの大学にくるのか?多分難しいだろう。
北海道で就職?わざわざ僕と会うためだけに?
アリが社会に出たら、彼女は社会人、僕が学生としてまた数年のズレを持って生活する。
その間にアリは新たな世界を知って、離れていくかもしれない。
あぁ、もう!
ダメな理由を考えてばかりの自分がダサすぎる。
こんなにも綺麗な星空の下なのに、僕の心は不安ばかりがべったりと覆っていた。
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