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深めることと広げること

 スコップで穴を掘るときにただ縦に掘り進めると、穴が狭くなりスコップを自由に動かせなくなる。こうなると掘る効率が落ちるだけでなく硬い岩が見つかったときに方向を変えることが出来ない。
 行き詰まることを防ぐために横に広げで掘る。この時、あまり広げすぎても掘る量が増えてなかなか進まなくなる。つまり、掘り進めるにはスコップを自由に動かすために必要な分だけ広げて掘ればよい。こうしておけば岩に当たっても広げて掘って避けることができる。
 何かの理解を深めたいときもこれと同じである。最初から周辺知識をすべて詰め込もうとしても時間がかかる。そうかといって最初から個別の事象に焦点をあててもよくわからない。つまり、個別の事象についてを考えるために必要な基礎知識をつけて取り組み、行き詰まったら十分な知識に広げればよい。
 ところで、行き詰まった時に広げるのは基礎知識か他の応用例のどちらにすべきだろうか。穴堀で言うと穴の最初から広げるか岩の周りを広げるかという事だろう。
 この選択は解決方法と目的による。まず、先に進む方法は、岩の周りを広げて先に進める場所を探す方法と岩を砕ける装置を使う方法がある。前述の方法はとにかく自身が先に進めれば良いのなら手っ取り早い。後述の方法は真っ直ぐな穴が必要な場合に用いる。
 つまりは、とにかく結論にたどり着きたいのであれば他の応用例から解決策を探ればよい。対して、基礎技術がそのまま応用例につながるような明確な理解がしたいのであれば、基礎知識を広げて他分野の知識や技術を応用して解決策を探ればよいということだ。
 以上のことを健康的な食生活をおくりたいと考えた場合に適用してみる。
 たんぱく質やビタミンなどが必要だという基礎知識をつければ、肉だけでなく野菜や米を食べる必要があることがわかる。しかしこれだけではどんな食材をどうやって食べたらよいかがわからない。
 この問題の解決策として、健康的な食事を意識している人の真似をする方法と栄養学を学んで自分で食材および調理法を考える方法がある。他人の真似をすればとりあえずどんな料理を作って食べたら健康に良いかがわかり、健康的な食生活に近づく。また、時間をかけて栄養学を学べば健康的な食生活を理解し実践できる。そして、自己分析により最適な食生活を探ることもできる。
 このように目的によって知識の深めかたを使い分ければ効率的に物事が学べる。

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