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あの人の暮らしが素敵な理由

柚木沙弥郎 Tomorrow

という本を読んだ。前から気になっていた本。鮮やかな黄色の外観も、手触りも、手書きの文字が書かれた表紙もとても温かみがほっこりする。


染色家の柚木沙弥郎さんと、インテリアブランド「イデー」でディレクターを務める大島忠智さん。そのお二人が豊かな暮らしを提案するためのこれまでやこれからの取り組みが記された本。

「あの人の暮らしが素敵な理由。」
そんなものがこの本には詰まっている気がした。あの素敵なカフェも、あの素敵なバーも。自分の好きなもの、愛情とこだわりを持って集めたものたち。それがある空間だから、あの場所は心地いいのかな。本を読んでいて、そんなことを思った。

アートは暮らしを変えていくものだと思います。家の中にあって、飾ったり使ったりすることで心や暮らしに充足感を与えてくれるものです。

柚木沙弥郎 Tomorrowより

IDEEと柚木沙弥郎さん


私が柚木沙弥郎さんを知ったのは、IDEE TOKYOでIDEE×柚木沙弥郎のプロダクツを見たことがきっかけ。東京駅の駅構内1階にある店舗。
通路と店舗を隔てる壁やドアはなく、店先にはおしゃれな暖簾がかかっていた。(これも柚木沙弥郎さんデザインのアルファベット)
そこで目に止まったのは、アルファベット柄のブルーの靴下。なんて可愛いんだろうと思った。アルファベットの字の温かみがとても可愛らしくておしゃれ。私はその時から柚木沙弥郎さんの作品が大好きになった。


IDEEで購入した柚木沙弥郎さんグッズ(アルファベット靴下は実は2代目)

今回読んだこの本は、柚木沙弥郎さんとそのプロダクツを手がけたIDEEの大島忠智さんとのお話。お二人の対談であったりこれまでの掛け合いが記されている。

この本の中には、
・アート
・暮らし
・人生

そんなことに対する柚木さんや大島さんの想いがたくさん詰まっている。

「僕はアートというものはまず人生を肯定することだと思っています。(中略)自分を肯定して、何か一つでも面白いと思うことやものを見つける。それを積み重ねていけば、楽しい人生ができるんじゃないかと思うから。人から教えるのではなくて、自分で発見するということですね。」
大島さんはこうも話します。
「気に入ったアートを飾って過ごしているうちに、だんだん暮らしをもっとよくしていきたいとか、アートのある毎日の暮らしをもっとよくしたいと思うようになるはずです。生活に対する美意識が変われば、きっと価値観がかわり自分のことだけでなく、周りの人や社会、環境のことなど暮らし全体をよくしたいという思いが生まれてくると思います。」

柚木沙弥郎 Tomorrowより

あの人の暮らしはどうしておしゃれなの?


SNSや雑誌で見る、あの人の部屋はどうしてあんなにおしゃれなんだろう。私にあのセンスはないなーって思ってきた。
私は部屋をおしゃれに飾るのがあまり得意じゃない。だから、少しあきらめにも似たような感情を持っていた気がする。私にはおしゃれな暮らしは無理だ。みたいな。
でも、この本を読んでみるとそいうことではないんだなぁって気がしてきた。愛情をもってものをえらぶ、育む。その過程そのものが、愛おしいことなんだと。柚木さんの生き方や考え方は、私にとっても大事な感覚を教えてくれた。

環境のことを考えてモノを増やさない選択もある。その方がいいのかなって思ったりしてた。だけど、なにより目の前のものに愛着をもってそれを愛する行為が尊いものだし、生きている楽しさなんだなって。そうやって愛着をもって楽しめるのなら、環境破壊には必ずしも繋がらないと思った。それは愛をもって向き合う姿勢そのものだから。そうやって、アートやさまざまななプロダクトを通じて、ワクワクすること、そのこと自体がとても尊いことなんだ。

「大島くんはパンを切とき、どうする?」
パン屋さんで切ってもらうのが楽ですね、という考えを見透かしたように柚木さんは続けました。
「お気に入りのナイフを使うのだよ」
愛用のパン切りナイフで切り分けるのが柚木さんの流儀です。さっと機会でスライスするのとは違って手間はかかります。
「でも、そうやってきっている時間が楽しいとは思わないかい?」
(中略)部屋に絵を飾るのだけが美しい暮らしではありません。パン切りナイフ1本でも暮らしは美しく、豊かになるのです。

柚木沙弥郎 Tomorrowより


部屋を飾るセンスがないんじゃない。
本当に愛着のあるものを選べていないのかもしれない。

あの人の暮らしがステキな理由。

この一冊の本を通して、その答えを知れた気がした。

私の生活は、ここからまた新しい世界をひらいてく。


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