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TCGケース開発記録#4 | クラウドファンディング

ネジ、磁石の無いトレカ専用ケースの開発記録。
前回までで発売する商品が出揃い、いよいよ応援募集開始の第4回。


クラウドファンディング準備

C3(ネジ、磁石無しのカードケース)、F3(壁掛け用フレーム)に、指紋や汚れの拭き取りに特化した「マイクロファイバークロス」を加えた合計3商品でクラウドファンディングを開始することにしました。
前回の記事で紹介したように米国発のKickstarterを使って英語で記事をコツコツと作っていきました。

ちなみに、Kickstarterを利用した理由は主に以下の通り。

  • 手数料が安かった。今はわからないですが、当時はMakuakeやCamp Fireの手数料は20%に設定されていて超高かったのです。詳細な製造コストは控えますが、ケースもフレームも原価率が高く、作れば作るほど損するというわけには行かなかったのです。この手数料をCACと見る見方もあると理解していますが、当時はこの20%が重たすぎて他のプラットフォームを探索していたのです。

  • 国内需要が無いのではないか、という仮説。当時、GINZOさんのトライリスが発売し始めたときだったと記憶しています(ちょっとずれてるかも)。素直にすごいなぁと思っていたのと、私のプロダクトとは対極に近い位置にいたので、トライリスが流行ったら受け入れられないだろうな、と思ってもいました。とても重厚な作りが高級感を醸し出している一方、私のC3は華奢で至極シンプルな作りです。どちらがどう、という話ではなく単純に受け入れられないだろうな、と思っていました。

というわけで色々思案しキックスターターにしました。英語にさほどアレルギーが無かったのと、海外のクラファンに出せば売れるだろう、というスイーツ脳に突き動かされた感はあります。

クラファンの準備は実はそんなに難しくありませんでした。GUIベースである程度LPを構成できるので、あとは画像を詰め込んでガチャガチャと組み立てればそこそこ様になります。
デザインについては、日本っぽい"和風感"を前面に出すより、C3が体現する"透明感"を出していく方向で設計しました。

今はなきクラファンページの一部。楽譜、昔のクラシック音楽っぽい雰囲気にしたのは当時ハマった"四月は君の嘘"の影響

そんな感じでチクチク合間を縫ってクラファンの準備を進めていき、レビューを終え、ようやく応援募集開始にこぎつけます。完全に想定通りに事が運んでいる、そう思っていた最後のタイミングです。

全く応援される気配が無い

出オチ感しか無いのですが、発売数日、悲しいくらい応援購入が入りませんでした。確か3個とかだったかな。
原則として"All or nothing方式"なので、目標の50個を販売できないとプロジェクト失敗になり無かったことになります。ですので、なんとかして50個分の応援を集めなければなりません。

ちなみに一般的なクラファンのPVは以下のイメージだそうです。コンバージョンでは無いので正確でないかもしれませんが、「スタートダッシュである程度の注目を集め販売数を確保し」「終了間際の駆け込み需要を刈り取りゴールする」。このようなイメージでないと成功しない、ということです(あくまで私の理解です)。

出典:https://makikube.com/failure10/

つまりスタートダッシュ期で3件しか集まっていない私のプロジェクトはもうすでに死んでいるというわけです。スタートした瞬間から心肺停止していて中だるみすらも無い、という感じです。

今となって振り返ると「もっとリサーチしろ」とか「見込み顧客をはじめに集めてから開始するべき」とか色々と思うところが見つかります。
成功したプロジェクトだけでなく失敗したプロジェクトから学ぶなど、教訓的なことはいくつも思いつきますが、始めてしまった時は必死です。振り返っても後の祭り。むしろ"祭りは始まりもせずに終わった感" まである。

もがくしかない

何でも良いから「もがいてみる」これに尽きます。ジタバタしても失敗は火を見るより明らかなわけですが、期間が残っている以上やってみなきゃ分かりません。最後までプロダクトの良さを伝える努力をしてみました。

そこでまず始めたのがInstagramです。「え、今から?」という感想は受け付けないことをあからじめお断りするとして。

私はアナログな人間なのです。ヴィンテージ家具を集めデジタルの時代に紙のカードを集め本業は靴磨き道具の開発です。どっからどう見てもデジタルに明るい人間には見えないわけです。
当然、今から始めたとて焼け石に水、それは知ってます。知っていますが、こだわって作ったプロダクトが全否定されるのは悲しいじゃ無いですか。少しでも無駄なあがきをしたいじゃあ無いですか。

そんなこんなでInstagramを始めましたがいろんな意味で困難に直面します。
まず、「扱いにこなれていない」「何の知名度も無い」「身近にコレクター仲間もいない」の三拍子が揃ってしまっています。そして、今回は海外のコレクターにリーチしなければなりません。

この時点で満貫の手役ができてしまっているわけですが、さらに悪いことに今回のプロダクトは非常に良さが伝えづらい、という悪材料がありました。

「留め具無しでどう固定されるのか?」「それはなぜ価値があるのか?」

疑問を文章にすればとてもシンプルです。しかし私には打開策がありませんでした。もしかしたらもっと良いPR方法があったのかもしれません。ですが、動画を撮ったり投稿したりの試行錯誤の甲斐なくPV/CVは変わらず、あえなく販売期日を迎えます。もう箱下のオーバーキルです。

おわりに

クラファンで失敗したことで今まで作ったものが無駄になってしまい、何だか自分の価値観が否定された気分になっていました。2022-23年のことです。
ただし「媚びない」「悪びれない」性分なので、ひとしきりヘコんだ後に性懲りも無く次の一手を企てます。これは次回以降に記録していきたいと思います。

最後に、折角の開発記録なので自分勝手にInstagramの努力の痕跡を残して第4回は終幕です。ポケカのフルアート多めなのは当時の趣味です。

表現は非常に難しいのですが「溶けるように背景と融合するような」ケースのディスプレイは今でも大好きです。ネジや磁石など余計なものが無いから重ねても綺麗に見えます。

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