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「イラストレーターのあなたに仕事が来ないのはなぜか?」 第4回 / 全7回シリーズ

東京の表参道界隈でイラストレーション・エージェンシーを経営して25年目(2023年11月時点)に入りました。トレンドに左右されるイラスト業界で会社継続の長さは売りにはならないかもしれませんが、経験は豊富です。

ありがたいことに、普段イラストレーターさんが売り込みをしてきてくださるので、その方たちのウェブサイトを見たり、「仕事が来ない」という相談をうけるので社内でこれらのことについてよく話し合います。

「あまり仕事がこない」もしくは「全く仕事がこない」には当然理由があります。そういった方たちの気づきになったり、少しでもお役に立てたらと思い、こちらのnoteの記事でその理由を全7回のシリーズでお届けしてまいります。

第1回:イラストが下手
第2回:描いているイラストに需要がない
第3回:描きたいイラストばかり描いている
第4回:こだわりが強すぎる
第5回:いろんな媒体を見たことがない
第6回:あなたを知る機会が無い
第7回:自分を客観的に見れていない

第4回:こだわりが強すぎる

人物は描かない
鼻を描かない
四角い顔じゃなければだめ
ロックな要素は外せない
アウトライン(輪郭線)は入れない
などなど。

頑なに自分のポリシーというかスタイルとして、
「これじゃなきゃダメ!」
という人と、
別にポリシーとかではないけど、
「ずっとそれでやってきたから」
という2種類の人がいます。

「これじゃなきゃダメ」タイプは、言い換えると「頑固なラーメン屋店主」みたいな感じ。

麺の硬さや味の濃さなどに対応しないのはもちろん、テーブルに胡椒もニンニクも置いてません。「嫌なら食うな」。

「ずっとそれでやってきたから」タイプは、昔は人通りの多かった商店街にある「昔ながらのラーメン屋店主」。

特に新しいこと、新しい作り方にチャレンジしなくても、客がそれなりに来ていたので何かを変える必要性がなかった。(何かを変えて客が来なくなってしまうのが怖かった、とも言える)

以上の両方のタイプは、仕事が来ない、来なくなってしまう、依頼しにくい、という状況に陥りやすい。

依頼してくるデザイナーさんがクライアントの希望をなるべく叶えてあげたい、と思うのは当然でしょう。

デザイナーさんもクライアントも全体の感じが気に入ったイラストレーターさんがいて、依頼することにしたとします。

しかし、クライアントがあることに気づきます。
「あれ、このイラストの人物は鼻がないね?鼻はないとおかしいですよね」
とデザイナーさんに伝えます。

デザイナーさんはそのイラストレーターさんに鼻を描いてもらうよう依頼しますが、イラストレーターさんに「私のスタイルでは鼻は描きません」と言われたら困ってしまいますよね。

デザイナーさんはクライアントとイラストレーターさんとの板挟みになってしまいます。

こういったことが意外に多く発生するのですが、そうすると次回からはそのイラストレーターさんに依頼するのは躊躇してしまうのも当然でしょう。

クライアントはイラストに関してあまり造詣が深くないこともあるでしょう。デザイナーさんが「え?!」と思うことも少なくないでしょう。

そこはやはりイラストレーターさんも理解して柔軟に対応することが大切だと思います。

また、トレンドは常に移り変わりますので、スタイルやタッチにこだわりすぎずアンテナを張って素早くトレンドをキャッチできるようにしたいです。

イラストレーターさんにとって譲れない一線があることも理解できます。なので「できません」の一点張りでは衝突してしまうので、

「それではこんな感じとか、あんな感じとかはいかがですか?」

と対応可能なオプションを提案してあげると、歩み寄りの努力をしてくれているんだなと理解してもらえ、スムーズに進んでいくことも多くなるでしょう。

何時間もかけて、描いては消し、描いては消し、あーでもない、こーでもない、を繰り返してやっと完成した自分のイラストに、
サラッと
「ここをちょっと修正してくださいねー」

とか言われると、「うっ・・・」ってなりますよね?苦笑

しかし、今までたくさんのイラストを発注しているデザイナーさんの指摘は周りから見ると「確かに」っていうこともあるのです。

直してみたら、確かにちょっと良くなったかも、なんてもこともよくあります。指摘や修正依頼が少し辛くても修行だと思って気持ちよく対応すると、それがまた次の仕事につながってくるのです。

また、いま仕事が来ているからといって新しいことにチャレンジせずに、ただ仕事をこなしていくというのも気をつけたいところ。

徐々に仕事が減ってきて気づいたらほとんど仕事の依頼が無くなって、
「ヤバい、、イラストをアップデートしないと!」
となってからまた仕事が入り始めるまでには時間がかかりますから。

いま忙しくても仕事が来ているうちに改善点を見つけたり、積極的にいろんなイラストレーターさんの最近の仕事内容をウェブで見に行ったり、新しいことにチャレンジすることを忘れないようにしたいです。

耳が痛くても苦労があっても、発注者からの指摘も、新しいことへのチャレンジも、すべて勉強であなたのスキルを向上させてくれる絶好のチャンスなのです。

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