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ジャクソンホール会議2024: 米国株市場への影響と注目ポイント

ジャクソンホール会議は、カンザスシティ連邦準備銀行が主催する毎年恒例の経済シンポジウムです。

世界中の中央銀行総裁や経済学者が集まり、経済の未来や金融政策について議論するこの会議は、特に米国株市場にとって重要なイベントとして位置づけられています。

FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が行う講演は、今後の政策金利の方向性に大きな影響を与えることが多く、投資家にとって注目すべき瞬間となります。

週報で毎週末に今後の米国株市場の見通しを書いています。


過去のジャクソンホール会議が市場に与えた影響

ジャクソンホール会議は、金融市場に大きな影響を与えることが多く、特に重要な政策変更が発表される場としても知られています。

2020年の会議では、「柔軟な平均インフレ目標(FAIT)」の導入が発表されました。
この政策は、一時的なインフレ率の上昇を許容し、長期的なインフレ目標を平均して2%に保つことを目指すものでした。

しかし、この柔軟なアプローチがインフレ期待を不安定にし、パンデミック後のインフレ急騰を助長したとの批判が後に高まりました​。

FAITの導入は、インフレが低迷していた時期には効果的だったかもしれません。
しかし、COVID-19パンデミック後の経済回復と供給制約によって急激なインフレが発生した状況で、FRBの対応が遅れたためにインフレ率の急上昇を招いてしまったと考えられており、その有効性が疑問視されています。

このため、2024年のジャクソンホール会議では、FAITを含めた政策枠組みの再評価が重要な議論のテーマとなるでしょう​。

またこの経緯からパウエル議長としては9月FOMCでの利下げをきっかけにインフレが再燃するような事態は絶対に避けたいと考えているはずで、今後の政策金利の方向性にも影響を与えていると言えます。

2024年ジャクソンホール会議での注目点

2024年のジャクソンホール会議での8月23日のパウエル議長の発言においては以下の点に注目したいと考えます。

米国景気とインフレの状況
先週のPPI、CPIではインフレ率が目標に向かって低下していることが示されました。

また一時、雇用統計が弱含んだことから、景気後退懸念が一気に高まり、市場にも混乱をもたらしましたが、その後の経済指標では米国経済は消費も含めて堅調であることが示されたと言えます。

パウエル議長が現在のインフレと米国経済(特にFRBのもうひとつの使命である雇用の最大化)についてどのように考えているかに注目したいですね。

今後の利下げのペースを含めた政策金利の見通し
9月のFOMCでは利下げが予想されています。
この点については市場の期待とFRBの意向は一致しています。

問題はその利下げ幅とその後の利下げペースになるでしょう。

FATIの妥当性についても今回のジャクソンホールで議論されることが予想されるため、9月に不用意に大幅な利下げを行ってインフレが再燃する事態は避けたいと思われます。

そのため個人的には9月の利下げ幅については0.25%、その後の利下げについてはあまり断定的なことは言わない可能性が高いのではないかと考えています。

もちろん今後発表される雇用統計のデータによっては調整が必要なので、利下げ幅について選択肢を限定するような発言はしないかもしれません。

FAITを含めた戦略レビュー
長期の戦略レビューについての議論もジャクソンホール会議で行われると考えられます。

2020年のFAIT導入後にパンデミックによる経済の急変動がインフレ率の急上昇を招いたため、今後の政策運営においてFAITを維持することが適切かどうかが検討されるでしょう。

この議論はまさに佳境に入っているFRBのインフレ退治の最終段階での判断にも影響を与える可能性があり、注目したいです。

市場の反応と戦略

ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言を受けて米国株市場はどのように動くのでしょうか?

短期的に影響を及ぼすのはやはり9月FOMCでの利下げとその後の政策金利の方向性についての発言でしょう。

過去にもFRB議長の発言をきっかけに大きく市場が動いたケースも見られます。

今回は独自に過去10年間(2014年-2023年)のスピーチ前と後の5営業日の平均騰落率を調べてみました。

  • スピーチ前5営業日の平均騰落率: 0.71%

  • スピーチ後5営業日の平均騰落率: -0.13%

ジャクソンホール会議でのパウエル議長発言の前後5営業日でのS&P500パフォーマンス

2015年、2020年などは発言をきっかけに米国株市場が大きく下げています。
2022年も調整相場を加速させているように見えます。

一方で2017年、2019年、2023年のように株式市場の上昇が加速している年もあります。

このことからパウエル議長の発言後に市場のボラティリティが上がる可能性を想定しておいた方がよさそうです。

まとめ

2024年のジャクソンホール会議は、米国株市場にとって重要な転換点となる可能性があります。

特に、インフレ動向や米国景気の現状、今後の利下げペース、そしてFAITを含めた戦略レビューの再検討などが注目されます。

また過去10年のデータではFRB議長の発言後は市場のボラティリティが上がる傾向があります。

8月23日のパウエル議長の発言が今後の市場動向にどのような影響を与えるかに注目したいですね。

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この機会に株式投資・米国株投資について学びましょう。

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