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シラス漁に連れていっていただきました!

シラスを求めて、海へ

肌寒くなってきた11月のはじめ。
時刻は夜明け前、朝の4時。
集合場所は近くの漁港。

「長靴とレインコートは必須で。」
「帰ってくるまでお手洗いには行けません。」
「酔い止めは起きて即座に飲んでから来てください。」

前日にいただいたメッセージにはそんな言葉が。

どんな過酷な体験になるのだろうか、、、
初めてのシラス漁、ドキドキです。

慣れない早起きであたふたしながら、
慌てて酔い止めを飲み、家を飛び出し向かいました。

迎えてくれたのは尻池水産の尻池親方。
シラス漁を中心に漁をされている地元の漁師さんです。
兵庫県はシラスの漁獲量なんと日本一。
その中でも神戸沖はシラスが沢山獲れる豊かな漁場なのだそう。期待が高まります!

長靴・レインコートでばっちり決めたこうき氏と用意出来ずスニーカーで挑む私が船に乗り込み、いざ出航!

遠ざかっていく陸
広がっていく空

海に来たんだなあ。

本日の漁場は大阪湾の中。
久々に波が高い日だったようで、沖まで出るのは危険とのこと。


トランシーバーが船に乗ってる気分を高めてくれます

ポイント付近に近づくとトランシーバー越しに何かを話し出した尻池親方。

すると船が二隻がやってきて
ぶつかってしまうのではとヒヤヒヤする距離で並走しながら追いかけてきます。

「あれは何をしてるんですか?」

すかさず尋ねると
「漁の網を手渡ししてるんだよ」
との答えが。

手渡しされた網は端っこをそれぞれの船にくくり付けられ、引かれていきます。
間口は広く、荒い目をした入り口からだんだん目が細かくなり、尻すぼみになっていく三角形をした専用の網。
途中で大きな魚は出ていけるような仕組みになっているのだと。

1隻が指令を出して、2隻が網を引っ張る。
そうやって3隻で協力しながらやっていく漁法のことを「引網漁」というそうです。

そして私たちが今乗っている尻池親方の船から出される指令によってチームが動いているのです。
この船を、そうですね、親方丸と呼ばせてもらいましょう。

シラスの気配を感じる

親方丸は主にシラスがどのあたりにいるのかを探す役割を担っているそうです。
運転席には海の中が見えるレーダーが。

そこに映る影でシラスの群れを探し当てるのです。


赤色に近づくほど密度が高いということらしい

でもこのレーダー、ややこしい点がひとつ。
影を映すといっても魚のだけではないそうなんです。船が走る時にたてる泡なんかも映してしまうそう。
海中に何かがある、ということが分かるレーダーなのだそうです。

その影が魚かどうか、シラスかどうかを見極めるのは長年の勘。
そこを見誤ると、網を上げたとき何もなかった!ということにもなりかねないのだとか。

それにしても海の中を想像する、感じるというのはおもしろい。

足下に何がいるのか分からない、
想像も絶する神秘の世界。
そんな世界と向き合う人たち。

見えないものを見ようとする工夫がつまっていました。

海の上で過ごす 


夜明け

そしてだんだんと白じんでくる空。
間もなく夜明けです。曇り空のため朝陽を拝むことはできませんでしたが、
時の移ろいを感じる贅沢な時間。
船の上で迎える夜明けは極上でした。

日が昇ってからも、引き続き船は網を引っ張り続けます。

船内に流れるまったりした時間。

「最初は海に来た!って感じだったけど、だんだん海の上で過ごしてるって感覚になってきたな」

という、こうき氏の言葉に納得。
身体が馴染んできたんだな。
この感覚の移り変わり、本当に不思議。

そうして、のんびりと三人の世間話が始まります。
駒ヶ林での暮らしについて、漁師さんの日常について、長引くコロナについて・・・

コロナは海の魚たちにも影響を与えているんですって。コロナが流行り、生活排水の処理に薬品をこれまで以上に使うようになり、それが海に流れる。そして、海の生き物たちにも影響が与えてしまっている。

そんなこと思いもよらなかったな。

「全てのものは循環しているということを、もう一度認識しないとね」

分かっているつもりで、忘れがちなこと。
毎日自然と向き合っている尻池親方の言葉に、はっとさせられます。

そうしているうちに、網揚げ作業に向けて漁師さんが一人、別の船からやってきました。
これで船内は四人に。


シラス、大漁!

「網を3巻き、沖に出て、丘に向かおう」
独特なコミュニケーション。かっこいいな。

そうやってある程度網を引いたら、シラスの溜まっている網のおしり部分に向かいます。

網といっても、船がニ隻無いと引っ張れない程の巨大な網。
おしり部分に向かうのも、もちろん親方丸での移動です。

見失わないように蛍光オレンジの大きなブイが目印になっていました。

そこにたどり着いたら、いざ網揚げ!


引っ張る!!!


引っ張る!!!!

ギィィィィィという音とともに機械が動き出し、重たい巨大な網を巻き上げていきます。
そこに人力も加えて皆んなで引っ張る!
アッセン駒ヶ林組も参戦!

なんと、これ全部シラスです


シラスがシラスに見えません
カモメもやってきました

どさどさどさと見たこともない量のシラスが船の水槽に流し込まれていきます。

大漁すぎて、シラスがシラスに見えません!
小さな白いシラスはまとまって一つの白い何かにも見えるし、水槽の中のシラスはたゆたゆしていてなんだか素麺にも見えてきたりします。

それにしても信じられない光景。
こんな量のシラス見たことないよーー!

氷で一旦しめたら、水気を切ってカゴに移していきます。
山盛りのシラスが十数カゴもできました。

これでも少ない方なのだとか。
多い時は数十倍のシラスが獲れるそう。
はあ!すごいな!信じられない!!!

最後は市場へ

カゴいっぱいに詰められたシラスを今度はさっそく市場に売りにいきます。こうやってお魚は新鮮なまま運ばれていくのですね。

「外にいてもいいけどしっかり掴まっててね」

そう言って運転席に戻っていった尻池親方。

走り出すからだな、それくらいの軽い気持ちで言葉を受け取っていましたが・・・

なんというスピード。

髪は乱れに乱れ、目は開けられなくて細っっっそくなっちゃった。
何キロ出てたんだろ。
船ってこんな速く走れたんでしたっけ。
そんなスピードの中、何事もないかのような余裕さで船のふちに腰をかけている仲間の漁師さんの姿に開いた口が塞がりませんでした。
振り落とされないか私の方がヒヤヒヤしちゃいましたよ。

アトラクションさながらのスリリングな道中。
呆気に取られている間に市場に到着です。


作業もすっかり板に着いてきたこうき氏


氷の自販機


カゴを降ろし、氷の自販機で氷の補充をしたら、ついに帰路に。

朝の4時過ぎからはじまり、解散はお昼の12時過ぎ。あっという間の8時間。

船酔いの素ぶりすらなかったアッセン駒ヶ林のふたりは無事陸に帰還!

8時間も波に揺られていたのか。
数字だけ見ると長いなぁ。

だけれど、気持ちはとっても晴れやか。
なぜだかむしろいつもよりすっきり元気になってました!笑

スーパーに並ぶお魚も、ご飯屋さんで食べるお魚も、これからは漁師さんの存在を感じずにはいられないな。

海と陸地の境目を捉える見方も変わったな。
いつもの海辺の道を歩いてもこれまでの感覚とは変わるんだろうな。

日常が全く違って見えてくる体験でした。

快く企画を叶えてくださった尻池水産さん、本当にどうもありがとうございました!!!

こんな魅力的な人たちのいる街、駒ヶ林町です。

以上、アッセン駒ヶ林 ももかによるシラス漁体験レポートでした!!!

尻池親方とお仲間の漁師さんと

番外編:「シラス」の豆知識

ちなみにですが、「シラス」と聞いて想像するあの白くて小さいお魚、あれは「カタクチイワシの稚魚」だそうです。知ってました?

恥ずかしながらアッセン駒ヶ林の二人はというと、考えたことすらありませんでした。

シラスはシラスだと思ってた!!!
よく考えたらなんかの稚魚だろうに、盲点でしたよ。

これから「シラスって何の魚か知ってます?イワシの稚魚なんですよ」って知識を披露できちゃうね!とか言って喜んでいたのですが・・・

なんと後日、衝撃の事実が発覚。
別の日に尻池親方のもとを訪ねると.....
こんなポップが。

尻池親方が参加されていたイベントでのポップ
実はしらすって鮎やうなぎ、 イワシ、ニシン、 いかなごなどの魚の稚魚の総称なんです!
この種の稚魚は体に色素が少なく、白色透明色をしているのでこう呼ばれているんです!
みんなが食べているしらすは主にカタクチイワシの稚魚になります!

!!!!???!

イワシの稚魚=シラスじゃないの!!!??

なんと、鮎や鰻の稚魚も全部「シラス」と呼ぶらしいじゃないですか!!!!!

やーーー!本当に鼻高々に知ったかぶりかまさなくてよかったーーーー!!!!

皆さん、シラスって実は稚魚の総称なんですよ、知ってました?


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