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「読め」と言われたのに…

本の神様がいた。ある日下界に目をやると、金儲けに憑りつかれた主人の大勢の奴隷たちが苛酷な仕事に喘いでいた。

何とかしなければ。神様は天使に命じて、誠実さが際立つ一人の男に、「読め」と伝えた。恐怖に震えて、読むどころではなかったが、それでも男はその神様の使者として立ち上がった。

厳しい戦いだった。神様は彼を通じて、元気と勇気と知恵が湧いてくる「言葉」をたくさん送った。その甲斐あって人々は勝利し、使者は亡くなった。

残された人々はその言葉を一冊の本にまとめた。すべてが書いてある最新版の神様の本という触れ込みだ。「読め」の命令はこの本のことだったのだと人々は喜んだ。新たな本の人々が誕生し、仲間も膨れ上がった。

時は流れ、火炎銃を持った一団が現れて本を焼き払った。人々は怒り、逆に火を放った。神様に対する冒瀆だと。

神様の顔は曇っていた。日夜自分が散りばめ続ける、天と地とその間の無数の徴しを、その本の人々に読む気のないことが露呈したからだ。それらを読み解いてはじめて、あの使者亡き後の神様の本ができるのに。

「読め」が「読むな」に変わってしまった。それこそ冒瀆だが、これを知る「本の人々」は少ない。

アラビア語の単語のご紹介

読め:اقرأ
本の人々:أهل الكتاب
神様: رب العالمين
使者:رسول الله
徴:الآية

解題

https://note.com/assalaam_action/n/n288bfebfe339

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