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編集後記2019.11.27


久しぶりに編集後記です。たまにローマに関係ないツイートしてますが、140文字からはみ出した部分を備忘録程度に書いていければって感じです。

2019.11.23

この写真良くないですか?
夕方6時頃に撮影した吉祥寺のソープランドの看板なのですが、とても気に入ったのでツイートしてしまいました。これまで真夜中、早朝、季節問わず、通り掛かるたびに幾度となくこの看板を撮ってきて、そのどれもが「これ!」という感じにならなかったのだけれども、これはバッチリイメージ通りに撮れた。あ、別に一眼レフとかじゃなくてスマホやガラケーなので敷居の低い話です。あしからず。

何が撮りたかったのかというと、失われつつある昭和感。もしくは田町ニューレーン感。8mmカメラ感。風情と呼ぶほどには外国人観光客には勧められないけど、こういう景色はぼくの原風景なのかもしれない。それにしても、ソープランドって夕方には開店してるんですね。


ぼくは11歳まで新潟に住んでいた。その周辺には、閑散とした国鉄の巨大な集合団地と、湖(正確には沼)沿いのお城のような外観のラブホテルの壁に張り出した無数の室外機、宗教家の記念館に囲まれていて、それがそれぞれどのように特殊なのか、子供の教育に不適当かなんて当時はもちろん知る由もなかった。

ジェコの両親が内戦の気配を子供に隠そうとしてくれた話、パストーレの幼少期にはテレビゲームやネットなどなく、誰もが遊びと言えばサッカーだったという話。これをぼくは理解する事ができる。セックスの匂いも、国鉄民営化も、新興宗教も全て東京で知ったものだ。親が隠してくれていたのだろうと想像できる。ぼくたちは本ばかり読んでいた。読まないヤツは野球をしていた。インターネットなんてなかったからだ。だから、最初に夢中になったものに直線的になれたような気はする。

話を看板に戻すと、15歳くらいで「ソープランド」と猥雑に輝くそれを見て、ぼくはあれが九龍城なのかも知れないと思った。香港がまだ英国から返還される前の話。いつかあの城のてっぺんに昇って街を見下ろしたいと本気で考えていた。それがぼくの小さな世界征服計画の全てだった。

高校の図書室で毎月ロッキンオンを読んでいて、そこに掲載されたマンチェスターのロックバンド、ストーンローゼスの2万字インタビューに衝撃を受けた。そして、とある月曜の全校朝礼で、壇上の校長先生のマイクを奪って、友達と一緒にローゼスの『she bangs the drums』をテレコで流して歌った。その結果、ぼくらはロッキンオンと同じ2万字の反省文を書き、その執筆経験が、現在ローマ速報に全く活かされていないという事実にはひどく震えてしまう。

イアン・ブラウンは猿のように片手を上げて歌った。

『The past was yours but the future’s mine. You’re all out of time』過去はお前のものだが未来はぼくのもの お前ら全員時代遅れさ

おそらく高校生のぼくはこの歌詞と同じ事を考えていたに違いない。でなければあんな尊大で不遜な真似などするはずがない。でも、今となってはあんな過去でもぼくのもので、当然未来もぼくのものだ。

そんなことをぼんやりと考えながら飲む酒でひどく酔った。そして、ガツ串はとてつもなく沁みた。こいつがあれば、ぼくはタイムマシーンなんていらない。

風俗の業務形態に流行り廃りがあるかはわからないが、あんな煤けた看板は、そのうち令和の波に飲み込まれて消えるのだろう。

2019.11.25

昨年仲良くなったおじさん(含む自虐)たちで忘年会というか飲み会してきました。本当はレコーダーを回して記事にする予定だったのですが、飲み始めて最初の1時間VARの是非で白熱した時点で、「これは・・・」と、人様に聞かせるのは諦め、そっとレコーダーを鞄に仕舞ってとことん飲む気持ちに切り替えた。

昨年ローマにいたアンテ・チョリッチが練習でパストーレに股抜きして、謝りに行ったというエピソードがありますよね。後にチョリッチはそれを「時にボールは奪われた方が良い」と回想していて、この飲み会も、云わば、時にはなんでもテキストにしない方が良い、「時にはレコーダーはまわさないほうが良い」という飲み会なのだと思います。

ぼくたちは、おじさんならではのトークテーマで盛り上がったのだけども、おそらく他に年齢の異なる観測者がいると、この話は「おっさんが過去の栄光を語る昔話」みたいに思われるのかもしれない。事実、過去の栄光のセリエAの話しかしてないんだけど、40過ぎの4人だけで語らうと、単純にそれが昔話ではなく、全員で子供の頃に戻れるのは凄い体験でした。

ユヴェントス時代のジダンのポジション論とか、チャンピオンズでのネドヴェドとのマッチアップとか、インテルがなんであんなに左利きの選手ばかり補強するのか、これらを見事に先月の出来事かのテンションで語り合うのは、単なる懐話ではなく、すでにぼくたちは10数年前にタイプトリップしていた証左に他ならない。

あと、酔ったカズさんが「ローマなんて一度も好きになったことねえよ」と言っていて、まあそりゃそうなんだけどウケました。加えて「リーグ10連勝して優勝してないのローマだけ」とも言ってました。その詳しさ、本当はローマが好きなんだと思います(冗談)

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