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脱毛症#14(カミングアウトしてどうだった?)ASPJ調査結果

この記事は私たちASPJが2021年に行った独自調査の集計結果をまとめたものです。調査は脱毛症、乏毛症、抜毛症の当事者、それぞれの症状のご家族に対してウェブによるアンケートを実施し、651人の方から回答がありました。

このNoteの記事では、症状ごとにデータをまとめてみなさんに還元していきたいと思います。今回は、調査にご協力くださった脱毛症当事者の方276名の属性をまとめています。調査の概要は下記のページでも紹介していますので、合わせてご覧いただけますと幸いです。

◆本記事内容
43.親御さん・医療機関以外で、ご自身の脱毛症について、実際に話したり相談をしたことがある方がいましたら教えてください。(複数回答可)

44.脱毛症であることを誰かしらに話したことがある方にお伺いします。お話しした時に、お相手にはどの程度受け止めてもらえたと感じましたか。(複数回答可)

45.脱毛症であることを誰かしらに話した事ある方にお伺いします。お話したことで、ご自身の気持ちに変化はありましたか(複数回答可)

1_円形脱毛症【当事者】(その他統合)_GTグラフ_43
1_円形脱毛症【当事者】(その他統合)_GTグラフ_44
1_円形脱毛症【当事者】(その他統合)_GTグラフ_45


◆当事者調査チームの感想
・身近な人へ話し、多くの方が受け止めてもらえていて安心しました。
一方で無関心、理解が得られなかった方もいると悲しくなります。

・勇気を出して話したのに、気まずくなるのは胸が痛いです。

・脱毛症の原因=ストレスだと思われがちなので、そればかりではないことが社会に周知されたらカミングアウトした際に色眼鏡で見られずに済むのになと思う。

相談を受ける側にもしっかり知識が広がることで
もっと相談をしやすい社会、受け入れられる社内になると良いなと思いました。



🔽メッセージ
隠された部分が気になるというのは人間の本能的な反応かもしれないと活動をしていると感じる事があります。また、未知な事に出くわした時に「驚く」という事がどのような形で現れるかも人それぞれです。
「びっくりした」といえる人、目を見開く人、思わず目をそらしてしまう人、返す言葉に詰まってしまう人、顔をしかめてしまう人、可哀想と言葉に出てしまう人、怒り出す人…。

どれも相手の「反応」です。その反応と「心の中」は必ずしも一致していないのではないでしょうか。頭の中で理解し、情報を収集し、整理して考えるまでには時間がかかります。そこに『経験』が大きく関係してるのです。
一度でも何かしらでその事柄を知っているのかと、全く初めて知るのでは次のアクションは違う事は分かりますよね。

日本人はハイコンテクスト文化があると言われています。

相手の「反応」から想像してしまっていませんか?驚きと拒否は違うということを知っておくのは大事な事です。また、伝わる側の私達も工夫が必要かもしれません。

「どうやって相手に伝えたらいいか分からない」とご相談いただく際におすすめしている方法は、「クッションを作る」とうことです。相手が受け止めてくれるまでの時間や余白を用意して伝える。
参考までに具体例を記しますね

①直接面と向かって話す前にLINEやメールなどのツールを使う
②ASPJのサイトや記事を加える
③どうしてほしいのかアクションを提示する

①ツールで事前に伝えておく
「話したいことがあるんだけど」だけではなく「話したいことがあって、私は脱毛症という症状を持っていて、普段ウィッグを使っているの」
などさらっと書いておくこと。長文にしてしまうと受け取る相手も構えてしまいます。また相手にきちんと考えてもらえる時間を設けるということも大事ですよね。

②ASPJの存在を知らせる
相手は知らない事だと、あたかもあなた一人だけの問題と思ってしまいがちですが、日本または世界中に多く同じ症状の方がいるという事を伝えることも大事です。ASPJでは「病気」「患者」といった言葉は使用せず「症状」「当事者」という言葉にしているのは、知らない人にとって柔らかい認知を生み出したいからです。
中には他の疾患を抱えている方もいらっしゃいますし、ご自身で「病気」という言葉を使用したほうが伝わると思われるのでしたら、そのお気持ちを尊重してくださいね

③相手にどうしてほしいのかを伝える
これはとても大事な事です。「ウィッグだけど変わらず接してほしい」のか「家やリラックスしたいときは帽子などで過ごしたいので理解してもらえるか?」「ウィッグだと人に知られたくないからあなただけの胸のうちに秘めてほしい」のか。など、どうしてほしい。という所までお相手に伝えられると、受け止めた側も返答がしやすいものです。

あくまで一例にすぎませんが、ひとつ私を大きく変えたエピソードをお伝えします。カミングアウトして半年も経った頃でしょうか、初対面の人と2時間ほどバスで隣で座ってイベントに行く事がありました。

そのお隣の方に「私はね、自分で髪の毛を抜いちゃう抜毛症というのを持っているんだよね」と打ち明けたときです。
なんと、その方は「えーーーー!!おもしろいーー!!!」と爆笑してくれたんです。(笑)ほんのちょっとショックな気持ちも沸き上がりましたが、あまりにも天真爛漫に笑ってくれたのでなんだか、悩んでいた自分も笑えてきてしまったことを覚えています。そしてその方は「きっと私にはわからない辛さとかあるんだろうけど」と前置きして私の良いところを褒めてくれたのです。

この出来事を通じて「髪がない」という事は私を構成するうちの、たったひとつの要素にしかすぎないのだ。と思えたのです。
あなたが「本当は伝えたい・・・」そう思っているお相手も、きっとあなたのたくさん素敵なところを知っています。そして受け止めてくださると思います。

もし、ASPJに相談したい事がありましたらいつでもご連絡くださいね。
ひとりじゃないです
🌸公式LINEでも個別メッセージを受け付けております。



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