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ようこそ、A-SPECへ#01 | いっしょに考えます、トイレのこと

■シリーズ紹介:A-SPEC開発ブログ
パブリックトイレ空間を自動設計するクラウドサービス「A-SPEC」の開発チームブログ。A-SPECって一体どんな人がつくっているの?、どんなことを考えてつくっているの?など、開発者からのお便りをお届けします。

みなさん、こんにちは。
株式会社LIXIL A-SPECプロジェクトの小松です。
本日から、A-SPEC noteがはじまります。


なぜnoteをはじめるのか?

A-SPEC ( a-spec.lixil.com ) は、
パブリックトイレ空間を自動設計するクラウドサービスです

この説明文だけでは、「単なるソフトウエアの紹介」と思われてしまうかもしれません。
「トイレ空間の設計」と聞いただけで、自分には全く関係ないと思われる方もいるでしょう。

しかし、私たちがお伝えしたいことは、もっと多様であり、一言では語りきれません。
そこで、このたびA-SPEC noteを開設しました。
今後、様々な切り口でA-SPECをご紹介し、私たちが実現したい未来をお伝えしたいと思います。
もちろん、A-SPECの効果的な活用方法も紹介していきますのでご期待ください。

A-SPECとは何か?

何はともあれ、まずは「A-SPEC」を知っていただく必要がありますね。

A-SPECは、パブリックトイレ空間を自動設計するクラウドサービスです。

指定した空間や器具に対し、LIXIL独自開発の自動設計AIプログラム様々なシミュレーションをおこない、数万件のアイデアからより良いプランを提案します。

2020年10月より、バリアフリートイレの器具をレイアウトする機能を公開し、2023年10月には、一般トイレの空間をレイアウトする機能をリリースしました。

設計されたプランは、その場(ブラウザ上)ですぐに3Dモデル化され、その設計の確からしさをシミュレーションしながら比較検討できます。
もちろん、2D図面や品番の一覧出力にも対応していて、パブリックトイレの設計シーンにおける総合的なサポートツールとしてご利用いただけます。

設計精度の均一化設計作業時間の削減効果により、トイレ空間設計に携わる方々から好評をいただいています。

いっしょに考えます、トイレのこと

サービス公開以来、私たちが最も大切にしているメッセージがあります。
それが「いっしょに考えます、トイレのこと」です。
「いっしょに考える」とは?何を指しているのでしょうか。
 
私たちが困りごとを解決するための助けが必要なとき、必ずしも「唯一の答え」を求めているとは限りません。時には、多様な考え方、別の視点からの気づきを求めていることもあります。
パブリックトイレの計画においても、それは同じです。
求めているのは、「頼りになる先輩」 や 「物知りなベテラン」 からの助言ではないでしょうか?
A-SPECはそういう存在でありたい、という願いが「いっしょに考えます、トイレのこと」に込められています。
 
A-SPECにアクセスしていただくと、すぐに気がつくことがあります。

「自動設計AIが提案する」と言いながら、唯一の答えを提示してくれないのです。アウトプットされるのは、①レイアウトの選択肢と、②その決断をサポートするためのヒントです。肝は後者(②)です。
 
日本の狭い空間では、必要な器具を使い勝手よく納めることが物理的に不可能なケースはよくあります。また多様性が叫ばれる昨今、検討が必要な配慮事項は複雑に絡み合っています。条件によっては、トレードオフの関係から優先順位を付けなくてはならないケースもあるでしょう。

トイレ設計者を悩ませるのはこういった課題であり、「ベテラン」に助言を求めているのです。

A-SPECは、LIXILがこれまで培ってきた設計ノウハウを用いて様々なシミュレーションを行い、AIが生成したプランを評価します。その結果は、点数やキーワード、3Dモデルなどで確認できます。まさに、「ベテラン」からの助言なのです。
 
空間レイアウトの検討という観点で「いっしょに考える」ことをご紹介しましたが、同じ文脈で「いっしょに考える」ことがA-SPECには沢山あります。
一例ですが、

  • 快適なトイレ空間レイアウトを「いっしょに考える」

  • トイレ空間に必要な商品を「いっしょに考える」

  • トイレ空間の計画に必要な配慮を「いっしょに考える」

  • 様々な関係者とのコミュニケーション方法を「いっしょに考える」

  • 業務効率化を「いっしょに考える」

  • ベテランのノウハウ継承問題を「いっしょに考える」

  • DXの進め方を「いっしょに考える」

  • AIとの上手な付き合い方を「いっしょに考える」

  • これからの新人教育を「いっしょに考える」・・・

パブリックトイレの設計から社会課題まで、気になるキーワードがみなさんにも1つはあるのではないでしょうか。
私たちは、このnoteを通して、様々な課題をいっしょに考えていきたいと思います。

線を引く設計から、より良い空間をえらぶ設計へ

手描きからCADへ移行した「デジタイゼーション」から、様々なシステムを導入して効率化を図った「デジタライゼーション」が進み、さらにその先の「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という新しい変革が求められる時代となりました。

トイレ設計者の業務効率化(自動化)を目的として始まったA-SPECプロジェクトですが、「いっしょに考える」という考え方を取り入れたことでトイレ設計の在り方が変容し、設計者の役割も大きく変わり始めています。

A-SPECを利用することで、線を引く設計から、より良い空間をえらぶ設計へと変わり、設計者に求められる技術・能力も変わっていくでしょう。まさに、「デジタルトランスフォーメーション」なのではないでしょうか。
 
これから様々な切り口で情報を発信していきます。
引き続き、A-SPECプロジェクトにご期待ください。

筆者紹介

小松 紀明  /  株式会社LIXIL 
2001年に法政大学建築学科を卒業。2003年に同大学院を修了後、株式会社INAX(現::株式会社LIXIL)に入社し、情報システム部門で図面関連システムの開発を担当。リーダーとして自動作図システムの開発に従事。2018年より現職、スペースプランニンググループ デジタルイノベーションチームにて、パブリックトイレ空間を自動設計するクラウドサービス「A-SPEC」の企画・開発を行っている。A-SPECプロジェクトリーダー。
■関連リンク
HP:A-SPEC