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『おせんべいくんとぷりんちゃん』

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すべてを破壊し、再生へと導くための、方舟。とにかく生と死、はいはい、生と死ゆうときゃいいんでしょ。
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2015年2月の記事一覧

『おせんべいくんとぷりんちゃん』八話

『おせんべいくんとぷりんちゃん』八話

八話

その時、ふいに、おせんべいくんにだけ聞こえる声で、そっと耳打ちしてくる女の子がいました。

「席、変わってあげるね」

それは、ぷりんちゃんでした。

ぷりんちゃんは、おせんべいくんの返事も待たず、おせんべいくんの隣に座るはずだった女の子のところへ行き、なにか小声で喋ったあと、すっと、その子と席を変わりました。

その女の子は、おせんべいくんの席からはずっと遠くの、後ろ

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『おせんべいくんとぷりんちゃん』7話

『おせんべいくんとぷりんちゃん』7話

7話

おせんべいくんの学校では、月に一度の席替えがありました。

先生がランダムに席順を決め、みんなの前で一斉に発表するというものです。

男の子と女の子は必ず隣り合わせで、左側に男の子、右側に女の子が座りました。

その日、発表された席順で、おせんべいくんの隣に座ることになったのは、例の、おせんべいくんのことを詰問し、追い詰めた女の子でした。

開口一番、その女の子は言いま

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『おせんべいくんとぷりんちゃん』六話

『おせんべいくんとぷりんちゃん』六話

六話

おせんべいくんは、教室でお掃除をしていました。

床を掃いて、ゴミを集めるのが、おせんべいくんの係りの仕事でした。

おせんべいくんは、床が綺麗になっていくのが好きで、いつも端から端まで、教室の床のゴミを丁寧に掃き、細かいチリひとつ残さずに、掃除をしました。

「おせんべいくん、おせんべいくん」

ふっと、自分が誰かに呼び止められたことに、おせんべいくんは気付きました。

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