抜く人
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席に着くとすぐに店員がやって来た。
「お飲み物のご注文からお願いします」
「じゃあ、ビール」
「僕もビール」
「私はレモンサワー」
「俺は烏龍茶。あったかいやつ」
みんな口々に好きなものを注文していく。大学の同期だから互いに気を遣うこともない。
「うーん、どうしようかなあ」
木寺はメニューを覗き込みながら首を捻った。
「何? 木寺はビールじゃないの?」
「うん。オレ炭酸が苦手なんだよね。ここがシュワシュワって痛くなるじゃん」
木寺は喉のあたりを指先で摘まむような仕草を