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2021年お盆のお便り「近況報告3つと相談回答1つ」

※曹流寺からお檀家様へのお盆のお便りの転載です。

「近況報告3つと相談回答1つ」

 ◎一つ目『坐禅について』

 今年の3月にお彼岸供養のお参りにおみえになった方々にはご紹介しましたが、一昨年から私は「仏教のアレ編集部」という僧侶(遊心と道宣:立教大学と上智大学を卒業後、ドイツ人の禅僧ネルケ無方師の元で出家、安泰寺と永平寺の修行を経て、20代の7年間で1万時間弱の坐禅をしてきた)から、仏教や坐禅を学んでいます。彼らのお陰で、現在 平日は朝5時から、30分~2時間弱の坐禅をして、そのあと朝のお勤めをする生活が習慣となりました。GWの5月1~3日には、45分×12セットで一日中坐禅をする「摂心」という行事も曹流寺で開催させていただきました。彼らと予定が合えば来年も開催したいと考えております。

 永平寺や總持寺で修行中は、坐禅なんてただ坐ってるだけで何の意味があるのかよくわからずに、正直なところ嫌々坐っていました。しかしその後、お釈迦様も道元禅師も大事にされた坐禅修行の価値をわからないまま僧侶として生きているのも、当然釈然としませんでした。そんなところに自分から主体的に出家をして坐禅修行をする彼らに出会い、去年から自分なりに学んでおります。お陰で、私の仏教や坐禅に対するモヤモヤがほとんど氷解して、実際に平日は坐禅をするようになりました。これがまず一つ目のご報告です。

 ◎二つ目『7/4坐禅会のご案内』

 坐禅の何がそんなに面白いのか。その辺りをもう少し具体的にお話しながら、実際に坐る初心者向け坐禅会を7/4(日)のお昼13時30分から曹流寺で行います。少し坐って質疑応答(お喋り)をお昼から夕方まで数回繰り返そうかと考えています。僧侶は私一人の予定です。来て下さる方は、horibeyumin@gmail.com(またはTwitterのDM)までご連絡下さい。参加費は一般の方は三~五千円。学生・お檀家様は千円。お時間の許す方は夕食もご一緒しましょう(別途料金)。

 ◎三つ目『TikTokでプチ有名になった話』

 熱心に仏道を邁進する一環で、去年から力を入れはじめたYouTubeとは別に、去年の暮れからTikTokという若者に人気のサービスにも、15~60秒の仏教の話を動画にして投稿していました。すると、それがなんと今年の2月末に突然、拡散されて6月現在3万人フォロワーを超えました。1つの動画が数万から数十万人の目に留まり、感想コメントも何百人から頂くという稀有な体験をしています。

 どうしても日本でお坊さんや仏教というと、亡くなった方がお世話になるイメージが強く、生きている間はあまり関係がないとお考えの方が世の中には少なくないようです。しかし、そんなことはありません。2500年の歴史ある仏教は、 21世紀の令和を生きる私たちにも様々な気づきを与えてくれる。具体的にどういうことか。それをTikTokを通じて手を変え品を変えお話しています。今回、私のYouTubeチャンネル「堀部遊民の仏道奮闘記」にそのTikTokの動画を転載しております。宜しければご覧下さい。中にはふざけているとしか思えない動画もあるので、もしかしたら不快になる方もおみえになるかもしれません。そこだけは仏教を伝える方便とご寛恕ください。

 ◎相談回答『檀家をやめたい』

 最後は友人から頂いた相談についての回答と補足です。

「自分の菩提寺の住職の世話になりたくないのだが、どうすればいい?」

 この相談への単純な回答は、菩提寺にお墓がある場合は「檀家をやめたいので、お墓の移転(または墓じまい)をしたい」と住職に伝え費用を聞き、別の納骨場所やお寺を探す。菩提寺にお墓のない場合、そこのお寺に頼まなければいいだけ。答えとしては簡単ですが、細かく話を聞いてみると実際には、心情的な話や金銭的な問題、親類関係も関わってくるので、嫌ならやめればいいと簡単に片づけられる話ではありませんでした。

 具体的な心情面では、「先祖代々お世話になっているお寺との縁を自分の代で切っていいのだろうか。罰が当たりそうで不安だし、そんな不義理はできない。そもそも兄弟親戚が納得してくれず、勝手にそんなことはできない。でも住職は気に入らない……。」一方で金銭面でも、「お墓の移動費用が25万円くらいから(ピンキリ)。新しく納める場所の永代使用料に数十万。ご先祖の移動は全部で百万円くらいか…それ以上かかるかもしれない。そこまで費用をかけて菩提寺を変えるべきか。我慢しようかどうしよう……。」などなど、様々な要因が重なり、単純に嫌だから縁を切るという決断はできない。以上のような話を相談者の友人としました。これが菩提寺の檀家をやめる離檀問題の一例です。

 友人は最終的にどうするかまだ決定していません。何にしても、檀家をやめたいときは、まず、以上のように問題をしっかりと整理して、ご家族、できれば親族会議を開き、供養をする当事者を中心に周囲のみなさまが、なんとか納得できる選択を、それぞれのご家族で考えて判断実行して欲しいと思います。

 今回この相談を取り上げましたのは、もちろん曹流寺においても向き合うべき問題であると感じているからです。私は約10年 曹流寺のお勤めをするなかで新たに学んだことがございます。それは、すべてのお檀家様と良好な関係を保つのは、私自身の力不足もあり難しいということです。人間関係上、どうしても私の性格を快くお感じでない方もいらっしゃるかと思いますし、一面でこれは避けられぬことでもあるように感じております。そして、実際に私のことが苦手だとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。仮にそのような場合は、どうぞ一言ご相談いただければと思い、このようなお便りを差し上げました。例えば、他の御指名をいただければ、弟がご供養をお勤めすることもできます。お手伝いの僧侶 Aさんに頼むことも可能です。そして万が一お墓を移動して菩提寺を変更したい場合も、残念なことですが、お気軽にご相談頂きたいと思っております。

 死後、お世話になる菩提寺や住職に確かな信頼があれば、老いと病を経験しようとも落ち着いて死と向き合うことができます。晩年の不安も少なくなるかと思います。曹流寺に縁のある方には、老後のご生活をなるべく気持ちよく過ごしてほしいと、差し出がましいようではありますが、この相談を取り上げました。風通しのよい菩提寺とのお付き合いが私にとっても理想となります。この件に関わらず、なにかお心当たりのある方はどうぞ何なりとご相談いただければ幸いです。

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