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【絵本レビュー】 『ごろごろ にゃーん』

作者/絵:長新太
出版社:福音館書店
発行日:1984年2月

『ごろごろ にゃーん』のあらすじ:


海の上に飛行機が一機。たくさんのねこたちがボートから飛行機へ乗り込みます。
飛行機は飛び立ち、クジラから逃れ、雨の中を抜け、街を越え、森を越え、犬から逃れ、人の手から逃れ、また海に戻ってきます。ごろごろにゃーん、ただいまー。

『ごろごろ にゃーん』を読んだ感想:

「これのどこが面白いの?」とは先にこの絵本を読んだ私の母のコメント。さて絵本を受け取り開いてみると、文章は一つだけ。一つの文章が最後まで繰り返されるのですが、全然つまらなくないのです。読んでいる間も聞いている子供たちから「ごろごろにゃーん」とつぶやいている声すら聞こえました。

言葉は少なくても、絵が多くを語るのです。ページごとにそれはもうたくさん想像するべき余裕があって、子供との会話が膨らみます。私たちに考えるスペースを与えてくれる本って、とても大切な気がします。

絵もまた幻想的で、猫たちの乗る飛行機を見ているだけで私の頭は絵本の中をぼんやりと回遊し始めました。これは一体飛行機なのか、魚なのか。果ては飛行船?「ごろごろにゃーん」は中に乗っている猫の声なのだろうか。それとも飛行機が飛ぶ時の音?みんなに読んでいるのに、私がすっかりはまり込んでいたのです。口に出す「ごろごろにゃーん」もいつしか猫の喉を鳴らす音のような効果が現れて。。。

ああ、良かった帰ってこられました。ぜひオススメです。



『ごろごろ にゃーん』の作者紹介:


長新太
1927年東京生まれ。蒲田工業高校卒業。「おしゃべりなたまごやき」(福音館書店刊)で文芸春秋漫画賞、国際アンデルセン賞国内賞、「はるですよふくろうおばさん」(講談社刊)で講談社出版文化賞受賞。「たぬきのじどうしゃ」(偕成社刊)「みみずのオッサン」(童心社刊)などの作品がある。


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